カテゴリー「(15) 添付文書にまつわるルール」の2件の記事

2013年8月30日 (金)

ジャヌビア錠25mgの剤型変更と添付文書改定からわかること

剤型変更と添付文書改定の関係。
割線が新設されることで禁忌が一つ減る。
その理由は?

【腎排泄型DPP-4阻害剤を比べてわかったルール】

 
 ジャヌビア(グラクティブ)とネシーナの用量設定と禁忌を比べることで、あるルールを導き出した(「腎排泄型DPP-4阻害剤を比べてみてわかること」参照)。

 それは、「腎機能に応じた規格や割線がない場合、その対応できないステージは禁忌となる」ことだった。

【ジャヌビア(グラクティブ)の剤型変更】

 まず、ジャヌビアの剤型変更の案内が先に薬局に送られてきた。

Photo
 これにともない添付文書も後日、改定となる。

Photo_2
 つまり割線が入ることで、従来対応できなかった重度腎機能障害のステージに対応できるようになる。ゆえに、禁忌「重度腎機能障害のある患者」が削除となっている。

 メーカーがこの対応を迫られたのには、競合他社からの誹謗があったものと思われる。その規格がないばっかりに、禁忌に「重度腎機能障害のある患者」があるばっかりに、腎臓に悪い薬というイメージをばらまかれていたのだろう。

 だが薬剤師にとっては、これが禁忌であろうとなかろうとやることはあまり変わらない。患者の腎機能に応じた薬の量をチェック、提案していくだけだからだ。

【ルール】

 腎機能に応じた規格や割線が新設されれば、対応可能となったステージは禁忌ではなくなる。

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追記:海外では主用量が100mgなので、25mg錠があることで、重度腎機能障害のある患者に対して禁忌ではない(くま☆さんから情報をいただきました<m(__)m>)

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2013年5月31日 (金)

腎排泄型DPP-4阻害剤を比べてみてわかること

腎排泄型のジャヌビア(グラクティブ)とネシーナ
ジャヌビアの禁忌「重度腎機能障害のある患者」
同じ腎排泄型なのに、なぜネシーナにはないのか?

【腎排泄型DPP-4阻害剤を比べてみる】
 


 まずはジャヌビア(グラクティブ)から。

Photo
 添付文書からわかること。ひとつは腎機能障害の重症度とクレアチニンクリアランスの関係がわかる。

軽度     CLcr > 50
中等度  30≦ CLcr < 50
重度     CLcr < 30

 もうひとつわかることがある。ここが大事な点なのだが、それは重度にあたるCLcr<30に適応するジャヌビアの規格がないということだ。

 さらに割線もない(苦いから無理だろうけど)。よって重度腎機能障害には対応できない。薬剤が蓄積してしまう。だからジャヌビアは重度腎機能障害に禁忌なのであって、禁忌だから腎臓によくないわけではない。

 では、ネシーナではどうか。

 ネシーナの禁忌には「重度腎機能障害のある患者」の記載はない。なぜなら、それに対応する規格、6.25mg錠が存在するからだ。

Photo_2
 ということは、ジャヌビアに12.5mg錠があれば、件の禁忌はなくなるのか? その通り。そして、実際にその動きもあるようだ。

【ルール】 

 腎機能に応じた規格や割線がない場合、その対応できないステージは禁忌となる。

 

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