カテゴリー「漢方 基本8処方とその派生処方」の34件の記事

2014年3月21日 (金)

人参湯とその派生処方

四逆湯もしくは四君子湯からの派生処方の人参湯。
桂枝+32→82。
低血圧で虚寒症の方に。

【人参湯】

 No.32(人参湯):人参、白朮、乾姜、甘草

 適応:脾胃虚寒

 附子理中湯から附子をのぞくと人参湯になる。これは補気剤の基本処方である四君子湯からの派生処方とも見ることができる。

 脾胃虚寒の初期に用いる。効果不足ならブシ末を0.5g/回くわえるか附子理中湯を考慮する。

 冷たいもので食欲不振や胃痛、膨満感、下痢になりやすく、四肢が冷えるタイプに適している。腹部の冷感がポイントで、温かいものを好む者に適しており、冷たいものが好きな者には投与を避ける。

【人参湯の派生処方】

 No.82(桂枝人参湯):桂枝、人参、白朮、乾姜、甘草

 適応:陽虚、虚寒

 人参湯に桂枝をくわえたもの。頭痛や肩こりとともに四肢の冷えや低血圧、ふらつき、立ちくらみ、そして疲れやすく、食欲不振といった症状に適している。

 陽虚のひとは血圧が低いことが多く、桂枝人参湯を2週間ほど服用すると、血圧が10くらいあがるといわれている。そして、それから随伴症状が緩和してくる。

 

【投薬時の注意点】

 No.82(桂枝人参湯):手足のほてりやのぼせ、潮熱などの陰虚はさける。

                発熱時には休薬する。

 

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2014年2月21日 (金)

補中益気湯とその派生処方

補気剤といえば「75→43→41」。
41を136にすると、「上へ」のイメージが「下へ」に。
熱中症、夏バテ対策用方剤。

【補中益気湯】

 No.41(補中益気湯): 黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、升麻、柴胡、生姜、大棗

 
 適応:脾気虚、気虚下陥

 四君子湯から茯苓を除き、黄耆、当帰、陳皮、升麻、柴胡をくわえると補中益気湯となる。

 
 気虚下陥は「ききょげかん」と読み、その字の通り、下に陥ちる、下がることを意味する。胃下垂のような内臓下垂には西洋薬は打つ手なしだが、漢方なら対応できる。「気虚+内臓下垂」とくれば、補中益気湯しかない。

 気虚下陥に効き目のある生薬といえば黄耆だ。黄耆には補気とともに気を上昇させる作用がある。補中益気湯の主薬はこの黄耆である。人参と黄耆は補気薬の王様だ。気虚がひどいときは、四君子湯でもなく六君子湯でもなく、黄耆と人参を含んだ補中益気湯がよい。

 さらに、疲れると熱が出る、夕方になると熱が出るといったタイプで自汗にもよく効く。「気虚+発熱」も補中益気湯を用いるポイントだ。

【補中益気湯の派生処方】

 No.136(清暑益気湯): 黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、麦門冬、五味子、黄柏

 
 適応:気津両虚

 補中益気湯から升麻、柴胡、そして生姜と大棗の組み合わせを除き、清熱の麦門冬、止汗の五味子、消炎の黄柏をくわえると清暑益気湯となる。

 升麻や柴胡は上へのイメージだが、麦門冬・五味子・黄柏はどれも下げるイメージで、汗の出過ぎや興奮を鎮めるのによい。

 疲労感や疲れやすい、食欲不振といった「気虚」の症状や口渇や尿量減少などの「津虚」の症状、そして発熱や腹痛、下痢などの「湿熱」の症状。これらの二つないし三つの症状が同時に見られるときに適した方剤となっている。

 つまり、補中益気湯を熱中症や夏バテ対策向けにつくり変えた方剤といえる。

【投薬時の注意点】

 No.136(清暑益気湯): 炎症症状が強い時や発熱時には服用しない。

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2014年1月17日 (金)

漢方薬の新しい副作用

黄連解毒湯、加味逍遥散、辛夷清肺湯
この三方剤に共通するもの
山梔子と特発性腸間膜静脈硬化症(IMP)

【2013年8月添付文書改定】
 黄連解毒湯(15)、加味逍遥散(24)、辛夷清肺湯(104)の三方剤において添付文書が改定され、重大な副作用に「腸間膜静脈硬化症」が追加記載となった。

 

Imp

 この副作用の原因の一つに山梔子の長期服用(5年以上で90%を占める)が考えられている。

【特発性腸間膜静脈硬化症(IMP)とは】
 腸間膜静脈硬化症に起因した還流障害による慢性虚血性大腸病変で、右側腹部の線状石灰化や粘膜の暗青色化などの特徴的な所見を示す。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満、便潜血(無症状)などの臨床症状が報告されている。

Imp_2
 

 この山梔子を含む漢方薬の長期服用による腸間膜静脈硬化症は、いわば漢方薬の新しい副作用であり、漢方薬の漫然投与に対する一つ警鐘と捉えることもできるだろう。

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 副作用の機序や対応、なぜ先の三剤のみが添付文書改定に至ったのかなどの詳細は、日経DI 2014年1月号のDIクイズに書いています。ぜひご覧ください。

 また記事の中で、防風通聖散を防風「痛」聖散とそれこそ「痛い」ミスをしてしまいました。この場を借りて訂正、お詫びいたします<m(__)m>

Di

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2013年12月20日 (金)

ユニークな生薬 ~どこに連れていくのか~

辛夷が入っていると
牛膝が入っていると
柴胡が入っていると 他の生薬はどこに向かうのか?

【辛夷の案内先】
 辛夷は他の生薬と引きつれて、鼻へ向かう。副鼻腔炎に汎用される葛根湯加川芎辛夷や辛夷清肺湯がその代表である。

 No.2(葛根湯加川芎辛夷

 No.104(辛夷清肺湯)

【牛膝の案内先】
 牛膝は他の生薬を引きつれて、下肢へ向かう。たとえば坐骨神経痛や足のしびれに汎用される牛車腎気丸、これは上肢にはあまり効かない。事実、臨床応用も腰や下肢に集中している。上肢のしびれには桂皮を含んだ桂枝加朮附湯(18)を用いるとよい。

 No.107(牛車腎気丸

 No.97(大防風湯

 *例外: 大防風湯によく似ている疎経活血湯(53)は牛膝を含んでいるが、羗活や威霊仙などの他の生薬の働きで遊走性の全身の痛みをカバーしている。

【柴胡の案内先】
 「肝」とは肝臓ではなく、気と血の流れや感情を調節する機能を指す。

 その肝がストレスなどで失調をきたすと、精神系や循環器系、消化器系とさまざまな症状を引きおこす。肝の失調を改善する生薬を「疏肝薬」といい、柴胡、枳実、香附子などがある。とくに柴胡は「肝の案内人」とも呼ばれる。

 No.12(柴胡加竜骨牡蛎湯

 No.54(抑肝散

 No.80(柴胡清肝湯):肝は目に通じる。よってアレルギー性結膜炎などにも応用される。

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2013年11月15日 (金)

温める生薬と冷やす生薬

附子は温める生薬の代表格。
石膏は冷やす生薬の代表格。
「黄」色い生薬は清熱が多い。

【温めて冷えを改善する生薬】

 1、附子:痛みや浮腫、下痢に。*附子があれば温める方剤と考えてよい。
      Ex.八味地黄丸、真武湯、桂枝加朮附湯など

 2、乾姜:生姜をほしたもの。腹部症状と呼吸器症状に。
      Ex.小青竜湯、人参湯、桂枝人参湯など

 3、桂皮:気をめぐらせて温める。
      Ex.桂枝湯、桂枝加芍薬湯、葛根湯など

 4、呉茱萸:頭痛や吐き気に。
      Ex.呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯など

 5、細辛:咳に。
      Ex.小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、麻黄附子細辛湯など

 

【冷やして炎症を改善する生薬】

 1、石膏:冷やす生薬の代表。*石膏があれば冷やす方剤と考えてよい。
      Ex.白虎加人参湯、小柴胡湯加桔梗石膏、越婢加朮湯など

 2、黄芩、黄連、黄柏:上焦の炎症には黄芩、中焦には黄連、下焦には黄柏。
      Ex.半夏瀉心湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯
     

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2013年9月20日 (金)

副作用に注意すべき生薬

【主要成分から予測可能な副作用】
 
1) 麻黄 
 ○ 原因:主要成分であるエフェドリン
 ○ 副作用:興奮、血圧上昇、動悸、頻脈、発汗過多、排尿障害など
 ○ 併用注意:麻黄含有製剤、エフェドリン含有製剤、MAO阻害剤、
      甲状腺製剤、カテコールアミン製剤、キサンチン製剤
 
2) 甘草
 ○ 原因:主要成分であるグリチルリチン酸
 ○ 副作用:低K血症、ミオパシー、偽アルドステロン症
 ○ 相互作用:グリチルリチン酸、ループ系利尿剤、サイアザイド系利尿剤
   漢方薬併用時の甘草の総量
 
3) 附子
 ○ 原因:主要成分であるアコニチン
 ○ 副作用:動悸、のぼせ、舌のしびれ、悪心
 ○ 相互作用:漢方薬併用時の附子の総量
 
4) 大黄
 ○ 原因:主要成分であるアントラキノン類
 ○ 副作用:腹痛、下痢、食欲不振、長期服用による便秘の悪化
 ○ 相互作用:漢方薬併用時の大黄の総量、センノシド
 
5) 芒硝
 ○ 原因:硫酸ナトリウム
 ○ 副作用:下痢、腹痛、浮腫
 
【経験的に知られている副作用】
 
1) 消化器症状が発現しやすい生薬:麻黄、地黄、当帰、川芎など
 
2) 皮膚症状の報告の多い生薬:桂皮、人参、地黄など
 
3) 流早産を惹起する生薬:大黄、芒硝、附子、桃仁など

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*参考図書:秋葉哲生監修『エッセンシャル漢方医学③』
 上記には出てこないが、「黄芩」を含む漢方薬では間質性肺炎や薬剤性肝障害に注意が必要と言われている。

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2013年8月16日 (金)

二陳湯とその派生処方 その4

二陳湯ベースの有名な処方
高血圧の随伴症状などに釣藤散
五十肩専用薬の二朮湯

【基本処方:二陳湯(詳しくは二陳湯とその派生処方 その1を参照)

 二陳湯はあまり使われていないイメージがあるが有名な基本処方だ。主薬は半夏と陳皮。この2つは古いものほどよく効く。そして「陳」には「古いもの」という意味がある。2つの古いものだから、二陳湯というわけだ。

 No.81(二陳湯):半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜

 適応:湿痰

 主薬の半夏、陳皮には化痰(けたん=去痰)作用がある。そして、茯苓が脾の水をさばき、痰の生成を防ぐ。甘草は諸薬を調和し、半夏の毒性を除くために生姜(「半夏+生姜」の配合法則)がくわえらている。

【派生処方】

 No.47(釣藤散) : 釣藤鈎、菊花、石膏、麦門冬、人参、防風、半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜

 適応 : 肝熱、風痰

 
 熱があると風、すなわち上昇気流がおきる。

 肝熱があると、風が生じ、痰を上にもっていく。すると、めまいや頭痛がおこる。これを「風痰」という。

 二陳湯に肝熱を冷ます釣藤鈎・菊花・石膏、補剤の麦門冬と人参、肝風を防ぐ防風を加えると「釣藤散」になる。主薬は釣藤鈎で肝熱や肝陽の上昇による頭部の症状(めまいや頭痛、目の充血、いらいら、顔の紅潮)を治療する要薬である。

 
 臨床では、脳血管障害に伴う認知症や降圧剤を飲んでも自覚症状のとれない方に用いられている。血圧は上の血圧が高いタイプによいといわれている。また、降圧剤を使わないと200くらいあるのに、使うといっきに100くらいまで下がるようなタイプにも向いている。

 No.88(二朮湯) : 半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜、蒼朮、白朮、香附子、羗活、威霊仙、天南星、黄芩

 適応 : 湿ひ

 二陳湯に白朮と蒼朮を加え(だから二朮湯)、その化痰利水作用で風湿(急な水の代謝異常)を除く。他の生薬は発散性の鎮痛・鎮痙作用を示す。

 よって、湿の邪気が身体に入ってきて、だるさやしびれ、痛みをひきおこすような症状(湿ひ)に二朮湯は適している。

 
 臨床では、五十肩専用の処方として用いられている。肩が重いといった初期には二朮湯単剤で充分だが、慢性となり活動が制限されるような痛みがある場合は瘀血が生じている可能性が高い。そのような場合は二朮湯に桂枝茯苓丸加薏苡仁を加えるとよい。

 ここで駆瘀血薬として桂枝茯苓丸ではなく、桂枝茯苓丸加薏苡仁を選択するのは、薏苡仁が風湿を除く要薬だからである。

 
【投薬時の注意点】

 No.47(釣藤散):低血圧の方には用いない。また石膏が入っているので、寒がりや冷え症の方は避ける。冷服がおすすめ。

 No.88(二朮湯):ほてりやのぼせ等の陰虚のある方には避ける。
 

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2013年7月19日 (金)

小柴胡湯とその派生処方 その3

9+16→96
9+17→114
小柴胡湯の合方剤

【基本処方:小柴胡湯(詳細は小柴胡湯とその派生処方 その1 を参照)】

 No.9(小柴胡湯) : 柴胡、黄芩、半夏、生姜、大棗、人参、甘草

 
 適応:半表半裏証

 柴胡剤の基本処方。もちろん主薬は柴胡。病期分類では少陽病、表裏分類では半表半裏。寒熱往来、胸脇苦満、食欲不振、全身倦怠感などがある場合に用いられる方剤だ。

 

【小柴胡湯の派生処方】

 No.96(柴朴湯) : 柴胡、黄芩半夏、生姜大棗、人参、甘草厚朴、茯苓、紫蘇葉

 適応:半表半裏証気滞、気逆

 小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方剤が「柴朴湯」だ。重複生薬は半夏と生姜。適応は両剤を足したものと考えてよい。

 胸脇苦満に咳や喘息、ヒステリー丘がある場合に用いる。また、肝鬱気滞型の自律神経失調症(胸のつまりや溜息、涙もろい、のどの異物感、精神不安、うつ傾向)にも用いられている。
 

 No.114(柴苓湯) : 柴胡、黄芩、半夏、生姜、大棗、人参、甘草沢瀉、茯苓、猪苓、蒼朮、桂枝

 適応:半表半裏証水毒

 小柴胡湯と五苓散の合方剤が「柴苓湯」だ。重複生薬はない。よって適応も2つの適応を足したものとなる。

 胸脇苦満に尿量減少やむくみ、口渇、頭痛、嘔吐、下痢があるような場合に用いる。臨床では、腎炎や糖尿病性腎症などで胸脇苦満がある方に応用されている。
 

【投薬時の注意点】

 共通する注意点:

 ① 小児には長期間投与しない(柴胡剤は子どもには長期間つかわない。六味丸などを考慮する)。

 ② 手足のほてりやのぼせ、寝汗など陰虚の症状がある場合には用いない。

 No.96(柴朴湯):喘息や咳に用いるが、小柴胡湯が入っているので、空咳には適さない。

 No.114(柴苓湯):皮膚がカサカサになったり、発疹、かゆみが見られる場合は中止。全身倦怠感が見られる場合も中止する。

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2013年6月21日 (金)

配合法則

 「配合法則」→「基本8処方」→「派生処方」と理解していけば、方剤の成り立ちや目的がよくわかる。

 「漢方で実際に治療に用いるのは、個々の生薬ではなく方剤である。(中略)この場合、生薬は無原則に集められているのではなく、一定の配合法則にしたがって方剤に構成される」

 *1:桑本崇秀『健保適用エキス剤による漢方診療ハンドブック増補改訂版』創元社  P. 46-47 (この愛用図書は、じつに30年ぶりに増補改訂版が平成24年6月に出版された)

 ならば、ぜひこの配合法則を知っておきたい。その組み合わせがあるから、その効果を示す。構造式や薬理作用から医薬品の効果を考える薬剤師の思考にピッタリではないか。

 『漢方診療ハンドブック』には15個の配合法則が紹介されている。それらのいくつかを参考にしつつ、覚えておくと便利な配合法則を紹介する。

【守りの配合法則】

 1)生姜+大棗 → 副作用防止、作用緩和 (例:小柴胡湯四君子湯桂枝湯

 2)生姜+半夏 → 半夏の副作用を中和させる (例:二陳湯、半夏瀉心湯、半夏厚朴湯)

 * 生姜が乾姜(生姜を蒸したもので温作用が加わる)になる場合もある

【麻黄の配合法則】

 
 1)麻黄+桂枝 → 発汗 (例:葛根湯、小青竜湯、麻黄湯

 2)麻黄+石膏 → 止汗 (例:麻杏甘石湯、越婢加朮湯

 3)麻黄+桂枝+石膏 ⇒ 発汗

 4)麻黄+薏苡仁 → 鎮痛、利尿 (例:薏苡仁湯、麻杏薏甘湯

 5)麻黄+杏仁 → 鎮咳・平喘 (例:麻黄湯

【その他の配合法則】

 1)柴胡+黄芩→ 裏熱証で胸脇苦満に (例:小柴胡湯柴胡桂枝乾姜湯

 2)竜骨+牡蛎 → 裏虚証で神経症状のある場合に鎮静の目的で (例:柴胡加竜骨牡蛎湯桂枝加竜骨牡蛎湯

 3)荊芥+防風 → 皮膚病を治すには欠くことのできない組み合わせ (例:当帰飲子荊芥連翹湯

 4)当帰+川芎 → 裏虚証で貧血ないし血液循環不全のある場合に (例:四物湯、当帰芍薬散

 5)芍薬+甘草 → 痛みや筋肉のけいれんに (例:芍薬甘草湯)

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2013年5月17日 (金)

四逆湯とその派生処方 その2

寒湿とは、「冷え」+「水分の代謝異常」
冷えると痛む むくみや下痢
温裏に用いる四逆湯の派生処方

【基本処方:四逆湯詳細は四逆湯とその派生処方 その1 参照)

 四逆湯 : 附子、乾姜、甘草

 適応 : 少陰病、亡陽虚脱

 腎の陽を温め補う附子と脾胃を温める乾姜。ともに熱性の生薬である。そして甘草は附子の毒性を弱め、附子・乾姜の作用を緩和するために配合されている。

 陽虚、寒証に用いられ、お腹を温める方剤の基本処方である。

【四逆湯の派生処方】

 No.18(桂枝加朮附湯) : 桂枝、芍薬、蒼朮、附子、甘草、生姜、大棗

 適応 : 寒湿脾証

 桂枝湯に蒼朮、附子をくわえると桂枝加朮附湯になる。そしてその中には四逆湯が含まれている。生姜をほしたもののが乾姜だからだ。

 上半身が冷えるとひどくなるようなしびれや痛みを治療する方剤

 詳しくは→桂枝湯とその派生処方 その2を参照。

 
 

 No.30(真武湯) : 附子、茯苓、白朮、芍薬、生姜

 適応:温腎散寒、健脾利水

 腎の陽を温め補う附子が主薬であり、水湿代謝も強める。これに茯苓、白朮といった水湿を除き、脾のはたらきを助ける生薬が加わる。さらに痛みに芍薬、表の水湿に生姜を加えると、真武湯になる。

 真武湯は陽虚によるむくみを治療する代表処方だ。利水といえば、五苓散が有名だが、五苓散は原因を治すわけではないため、飲まないとすぐに元に戻ってしまう。たいして真武湯は、からだのバランスから、つまり腎陽を回復させる。

 頻尿や残尿感、下痢、むくみ、四肢の冷感や痛みを伴う寒がりの方に適している。

 No.100(大建中湯) : 山椒、乾姜、人参、膠飴

 適応:温中補虚、降逆止痛

 補虚散寒の力が小建中湯よりもはるかに強いので「大建中湯」と呼ばれる。その理由はどの基本処方から派生しているかを考えれば理解できる。つまり、小建中湯が桂枝湯からの派生処方なのにたいして、大建中湯は四逆湯から派生しているからだ。

 ところで、この構成生薬を眺めても、附子はないし、四逆湯の派生処方には見えない。じつは、もとは人参湯(No.32:人参、乾姜、甘草、白朮)だ。これから甘草、白朮を除き、温脾胃・散寒除湿の山椒を加え(主薬)、膠飴を加えると大建中湯になる。

 四逆湯→附子理中湯→人参湯(理中湯)→大建中湯と変化している。つまり、大建中湯は立派な四逆湯の派生処方なわけだ。

 陽虚・寒証に伴うきつい腹痛に使われる大建中湯は、現在、外科のオペ後によく使われている。オペ後の胃や腸が回復していない状態では、それらは冷えや腫れを伴っている。すると循環がわるくなり、陽虚となる。だから四逆湯からの派生処方である大建中湯がよく効くわけだ。

 しかし胃腸が回復すれば証が変わる。漫然服用しているその大建中湯は、ほんとうに継続すべきものなのだろうか。

 【投薬時の注意点】

 No.18(桂枝加朮附湯) : 関節の発赤や腫脹、熱感には用いない(こういうときは越婢加朮湯を用いる)

 No.30(真武湯) : 実証の(冷えがない)浮腫には用いない。手足のほてりやのぼせ、発熱時はさける。

 No.100(大建中湯) : 手足のほてりやのぼせ、発熱時はさける(オペ後の感染症による発熱時もさける)。

 *これらはすべて温裏の方剤であり、陰虚内熱と発熱時にはさける必要がある。

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