ホクナリンテープのTmax
テープを貼るだけで症状が和らぐ。
喘息や薬を嫌がる子供をもつ親にとってはありがたい。
正しい知識が伴わないと実感できない薬かもしれない。
CASE 16
3歳の女の子
既往歴:なし 体重:14kg
他科受診:なし 併用薬:なし
今回の処方(*前回もDo処方を3日分)
Rp1)クラリスドライシロップ小児用 100mg 1g
アスベリン散10% 0.2g
ムコサールドライシロップ1.5% 0.5g
分3 毎食後 3日分
Rp2)ホクナリンテープ0.5mg 3枚
(寝前1枚貼付)
患者のコメント:(母親より)このテープは効かないから、いらないのでは?
薬剤師とのやりとりで得られた情報:
①ホクナリンテープは夜、胸に貼っている。
②Rp1)2)3日分服用済み→SE(-)、コンプライアンス良好
③夜の咳は続いている。朝方の咳は改善している。
□CASE 16の薬歴
♯1 ホクナリンテープの薬識不足によるノンコンプライアンスの恐れ
S) ホクナリンテープは効かない。いらないのでは?夜に咳(+)
O) SE(-)、コンプライアンス良好
貼付時間もNP→朝方の咳は改善
A) ホクナリンテープTmax>10hr、薬識補正必要
P) このテープは即効性がなく、夜に貼って深夜から早朝の咳を
予防するための薬です。効果(+)なので引き続き貼付を。
□解説
ホクナリンテープの特徴をインタビューフォームより抜粋する。
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
一般に、呼吸機能にはサーカディアンリズム(日内リズム)があり、1 日のうち深夜から早朝にかけて低下することが知られている。特に気管支喘息においてはモーニングディップと呼ばれる早朝の呼吸機能の低下となってあらわれ、これによって起こる早朝発作は患者や介護者の大きな負担になってる。アボット ジャパン(株)ではこれらの問題に対して、ツロブテロールの血中濃度を必要な時間に必要な濃度にコントロールすることで解決し、かつ、全身性の副作用を回避するために、1 日1 回貼付製剤 ホクナリンテープの開発に着手した。
定常状態までに要する時間 は、t 1/2(≒10hr) x 4~5 = 40hr~50hrであり、Tmaxは子供で14hr、成人で11hrと、即効性は期待できない薬剤である。つまり貼付時間が重要であり、かつその意味を伝えておく必要がある。そのような意味で、A)にはホクナリンテープのTmaxと薬識補正との言葉を使用した。ちなみに、薬そのものの情報はO)ではなくA)に記載するのが正しい。O)は患者の情報である(参照:服薬ケア研究会(H21.1.11))。
□考察
ホクナリンテープは実にユニークでありがたい薬だ。喘息の子供を持つ親にとっては、精神安定剤みたいな薬でもある。ちょっと調子の悪いときには、「念のためテープを貼っておこう」ということもできる。もちろん、ちゃんとした薬識があってこそできるのである。「なぜ、寝前に貼るのか」の説明を省いては、効果を実感するどころかノンコンプライアンスを招く恐れもある。取り説のない電化製品より性質が悪い。
外用薬は使い方が効き目を左右する。外用薬と薬剤師は使いようである。
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