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2017年6月30日 (金)

セファドールを漫然服用する患者

患者は不安だから薬を続けたい。
薬剤師は副作用や病態の悪化が気になる。
患者にそれらを提示することで自己決定を促す。

CASE 189

女性 80歳 

他科受診:なし  併用薬:なし  

定期処方
Rp1) カンデサルタン錠8mg 1錠
    ドネペジルOD錠5mg     1錠  朝食後  21日分

Rp2) 酸化マグネシウム錠330mg  3錠   
      セファドール錠25mg              3錠 分3 毎食後 21日分

Rp3) ステーブラOD錠0.1mg 1錠
         プルゼニド錠12mg       2錠  就寝前  21日分

患者・薬歴からの情報:
① ここ最近、ガムを噛むようになった→「口がカラカラ」
② めまいはもう感じないし、医師もめまいの薬はやめても構わないと言ってくれているが不安なので続けている
③ セファドールは半年前から。追加になってMgOのドーズがアップ
④ セファドールが追加になる前、認知症を考慮し、ベシケアからベタニスへ変更になるも、動悸が発現し、ステーブラの就寝前1回投与となっている(夜間頻尿)。

□CASE 189の薬歴
#1 セファドール服用によるリスクと中断による不安をてんびんにかけてもらう
 S) めまいはもう感じないし、先生もめまいの薬はやめても構わないと言ってくれているが不安なので続けている
 O)  口がカラカラでガムを噛んでいる。
   セファドール追加後にMgOのドーズ↑、認知症治療中
 A)  セファドール継続のリスクを提示して、中断を決断してもらおう
 P) セファドールは口渇、便秘悪化の原因で、認知症にも悪影響が考えられる。
 R) そーなの? 先生もやめていいって言ってるし、一度試してみるわ。
 
□解説
 軽度認知症にてドネペジルを服用中の患者。こういう患者には抗コリン作用のある薬剤は気になるもの。認知機能の低下には、単剤の抗コリン作用の強弱だけではなく、併用薬の総コリン負荷が関与することになる。そして、特に高齢者では、抗コリン作用による副作用が生じやすい。

 過去にも抗コリン薬による認知症の悪化を懸念して、ベシケアをベタニスへと変更したがうまくいかず、現在はステーブラの就寝前1回投与にてリスクの軽減を図っている。

 そこにセファドールがオンになる。今回はガムを噛むようになった患者の変化にて口渇にまずは気づいた(もっと早く気付けただろうに・・・)。セファドールは昔から口渇が出やすい薬剤として有名だが、今では認知症の悪化も気になるところだ。漫然投与は控えたい。医師も中止を提案しているが、患者の不安がそれを拒んでいる。

 そこで、セファドールの漫然投与によるリスクとセファドールを飲まないことによるリスク(不安)をてんびんにかけてもらうことにした。
 
□考察
 セファドールの漫然投与。もう何ヶ月もめまいなんてない。そして副作用と思われる症状も出ている。だったら、一度中止してみるとよい。僕はこういったことを平気で口にする。

 もちろん、薬の副作用、それがイコール薬剤の中止ではない、ということは重々承知している。それを許容しながら継続することもよくあることだ。患者の不安もその一つなのだろう。だが、そういった理由ならば、リスクを抱えたままに延々と続けるわけにはいかないだろう。

 そんなことをすると医師に怒られる? そう、怒られるかもしれない。でも、怒られればいいじゃない、とも思う。それは医師とコンタクトを取れるようになる機会となるかもしれないのだから。MR時代、僕をかわいがってくれた医師は僕をよく指導してくれた。最初はそう、怒られた(笑)。

 医師に怒られたって、患者の容態が悪くなるわけでもないし、薬剤師のライセンスがなくなるわけでもない。怒られることに過剰に反応する必要はない。怒られたら、謝まりに行こう。その行為が医師の処方を変えることになるかもしれないのだから。

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