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2016年10月21日 (金)

六君子湯は補気剤であり去痰剤でもある

汎用漢方薬、六君子湯。
君子のようにすばらしい生薬が六つ。
逆食やFDだけでなく去痰作用も。

CASE 186

男性 75歳 

他科受診:なし  併用薬:なし  

処方(1,2は定期、3が追加となる):
Rp1) クロピドグレル錠50mg  1錠
    ネキシウムカプセル10mg  1C
     エナラプリル錠5mg     1錠  
     ピタバスタチン錠1mg  1錠  分1 朝食後  21日分

Rp2) カルボシステイン錠500mg   3錠
     アンブロキソール錠15mg  3錠   分3 毎食後 7日分

Rp3) ツムラ六君子湯エキス顆粒  7.5g 分3 毎食前 21日分

患者のコメント:
「つかえた感じがして食欲がない」
「痰の薬は効いている感じがしない。変わってないの? 先生に相談したけど」

患者・薬歴からの情報:
① 食欲、痰ともにDrに相談。Dr→Pt「薬を追加しておく」
② Rp2)残(+)のため、1週間分でOK
③ 脳梗塞の再発予防にて治療中
④ 痰は透明~白で量が多い
⑤ 手足のほてりやのぼせなどはない

□CASE 186の薬歴
#1 六君子湯が去痰剤でもあることを理解してもらう
 S)痰の薬は効いている感じがしない。
   (去痰剤は)変わってないの? 先生に相談したけど。
 O) お腹のつかえ、食欲不振、去痰剤が効いていない→Rp3)追加
   脳梗塞(+)、痰は透明~白で量が多い、手足のほてりやのぼせ(-)
 A) 六君子湯の証は適。去痰剤としても奏功するだろう。
   薬効について理解してもらう必要あり。
 P)六君子湯の説明書には胃のことしか書いていませんが、この漢方には去痰作用もあります。お伺いしたところ、病歴・体質的にも合っているようです。この漢方が効いてくれば、効いている感じのないRp2)を減らしていけるでしょう。
 
□解説
 脳梗塞後や高齢の方で、薄い白い痰がたくさん出るといった訴えをときどき耳にする。そして、こういった痰には西洋薬の去痰剤はあまり効果的ではないことが多い。

 痰の症状に加え、脾気虚が見られる本症例では、六君子湯が期待できる。さらに手足のほてりやのぼせといった陰虚の症状もなく、副作用の可能性も低い。

 漢方的な説明になるが、脾(胃腸)が弱ると、水の代謝が悪くなる。すると、水の吸収・運化機能が停滞し、水滞を呈する。そして、その結果として、痰を生じることになる。脾虚生湿だ。つまり、まずは脾を元気にしてあげないといけない。

 六君子湯の薬効は脾気虚、湿痰であり、そのような病態に期待できる。そもそも六君子湯は補気剤の基本処方の四君子湯と去痰剤の基本処方の二陳湯の合剤なのだから当然ともいえる。


 六君子湯の薬情には胃関連の説明のみの記載になっている。そこで、去痰剤としての効果があることも理解してもらえるように服薬指導を行っている。また同時に、効果が実感できないと訴える西洋薬の去痰剤の減薬できる可能性があることをほのめかしている。
 
□考察
 西洋医学では、診断から投薬という流れが患者の訴えごとに行われる。痰には去痰剤、FDには消化管運動賦活剤といったふうに。さらに、西洋医学は臓器ごとに専門医がいる。ということは同じ気虚であっても、肺は呼吸器から、胃は消化器からと、それぞれの科から症状に応じた投薬がなされることになる。

 こういった症状を超えた、臓器を超えたアプローチは漢方薬ならではのものだ。

 腎虚で夜間頻尿を呈し、目がかすみ、膝がガクガク、腰がフワフワして安定しない。こういった高齢者が泌尿器科、眼科、整形外科にかかったなら、少なくとも3種類の薬を受け取ることになる。少なくとも。しかし、漢方なら、例えば八味地黄丸一つで事足りるかもしれない。

 これからの超高齢社会、漢方薬はもっと見直されてしかるべきだ、と思うのだが。。。

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