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2016年3月 4日 (金)

積極的な待機から「新しさ」を絞り出す

「マイナ故に自由なのだ」(P. 117)
決してマイナではないのだが、それでも自由でありたい。

作家の収支 [ 森博嗣 ]

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価格:820円(税込、送料込)


【出版社の「半お墨付き」】

・・・、広報活動に努力を惜しまなければそこそこの宣伝効果は見込めるだろう。なにもなかった時代に比べれば、である。ただ、新人で誰も名前を知らなければ、たとえネットで発信しても見向きもされない。ネットはそれほど普及しすぎてしまった。もう「普通」のメディアになったということであり、違いはただ、発信に費用がかからないというだけだ。効果は今となっては薄い。それが現実である。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 72)
 
 とくにネットの世界は玉石混交の情報で溢れかえっている。ゆえに発信した情報が誰にも届かないことがある。手紙を入れた瓶を海に流すように。だからといって、発信という行為そのものが無駄というわけでは決してない。誰も見ることがない日記とは異なり、誰かが目にするかもしれない発信は、本人の成長にとっても価値がある。

 アマチュア作家にとって、なによりも欲しいのはリンクなのだ。つまり、宣伝である。(中略)情報発信はできても、今は情報が多すぎて、誰も目を留めてくれないからだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 185)

 たしかに。先日、二年前に発信した記事「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」が日経DIのフェイスブックページで再録された。結果、2/27と2/28にランキングの上位にあって、ほんとうに多くの方に目にしていただけることができた。日経というリンクがある僕は、ほんとうに恵まれた環境にある。
 

【オリジナルなものを作ること】

 それは、一般的には「才能」という言葉で片づけられているものだ。しかし、僕はそうは考えていない。どちらかというと、「思考力」や「発想力」に近い。それも才能ではないか、と言われるかもしれないが、才能がなければ、時間をかけて考え、発想するまでひたすら待てばよい。スポーツや音楽や演劇などではこうはいかないが、文章を書く場合には、時間で解決できるということだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 95)

 恵まれた環境にあるからこそ、情報をただ右から左へとスライドさせるようなことだけは避けたい。情報を組み合わたり、視点を変えることでオリジナルなものを作っていく。そのために才能はなくとも時間をかける。積極的な待機といえる。とても勇気付けられる指摘だ。
 

「新しさ」を自分の頭から絞り出す

 新しさを生み出すこと、新しさを見せること、それが創作者の使命である。「使命」というと格好が良いが、もう少しわかりやすく表現すれば、「意地」だ。それが、それだけが、プライドを支えるもの、アイデンティティなのである。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 202)

 「使命」「意地」「アイデンティティ」と言い換えられているこれらの言葉を実践するためには、自分の頭で考え続けていくしかない。それが何の役に立つのか。そんなことは副次的なことであって、どうでもいい。まず表現こそがそれに先立つのだ。
 

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