« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »

2016年3月25日 (金)

2016年3月のコラム その2 ~フルボキサミンはCYP非特異的阻害剤~

2016年3月の薬局にソクラテスがやってきた」(その2)
ヒット記事再録は記念すべき第1回記事。
フルボキサミンは強力なCYP1A2阻害剤であり・・・

【ヒット記事再録】


 関連の薬歴公開は「半減期の長い睡眠薬」(2009/2/13)です。

 【ヒット記事再録】「半減期24時間のユーロジンって、飲むと1日中眠いんですか?」勉強熱心な新人薬剤師からのこんな質問。あなたならどう答えますか。
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。2014年1月から連載開始。
※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

 懐かしいですね~。これが記念すべき第1回でした。この辺のしくみもベルソムラの登場に伴い理解が深まってきました。


【第52回】


 関連の薬歴公開は「ルボックス ‐ テオドール」(2010/8/20)です。

 テルネリンの相手をどちらにするか迷いました。フルボキサミンかシプロキサシンか。じつはどちらも経験があります。今回はストーリー的にフルボキサミンを選びましたが、このフルボキサミン、現在では新規に処方されることはほとんどありません。

 記事で紹介したように、フルボキサミンは強力な
CYP1A2
阻害剤なわけですが、その正体はCYP非特異的阻害剤。下の表ではCYP2C19にも強い阻害
、CYP3A4、2C9
には中程度の阻害作用を持っています。ということは、併用禁忌以外にも多くの相互作用を考慮する必要があるわけです。

Photo

(古野拓. 臨床精神薬理 2011; 14: 1291-302)


  
* 阻害の程度については、薬物相互作用ガイドラインで示されているものとは若干違っている。そちらでは、フルボキサミンはCYP1A2と2C19は強い阻害薬と同じ記載だが、2C9や3A4では弱い阻害薬となっている。また2D6の阻害薬としての記載はない。

 * その他にも阻害の程度の記載が若干異なるものがあります。ミニ丸さんのブログが参考になります
こちら

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年3月18日 (金)

アラミストが壊れている?

アラミスト点鼻液が出ません。
手技の確認そして手技の意味。
理解を促す一枚の写真。

CASE 180

女性 65歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠   分1 朝食後   28日分

Rp2) フェキソフェナジン錠60mg  2錠 分2 朝・夕食後  28日分

Rp3) アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用 2キット

患者のコメント:
「(アラミストが)ときどき出ないことがあるの」

手技の確認:
① 使い始めの空打ちはOK
② 使用前によく振っていない

□CASE 180の薬歴
#1 アラミスト使用前に振ることの意味を理解する
 S) (アラミストが)ときどき出ないことがあるの
 O) 使用前によく振っていない
 A) よく振っていないのが原因だろう。まずその意味を知ることが必要。
 P) よく振ることでサラサラの液体になって噴霧できるようになります。
 
□解説
 アラミスト点鼻液の手技に関する話題。レバーが固いという訴えもよくある。そんなときは両手での噴霧方法を指導するとうまくいく。そして、もう一つがこれだ。「ときどき出ないことがある」このくらいならまだいいが、「液が出ない=壊れている」となることもある。

 今回のケースでは使用前に振っていないことが原因だった。アラミストの中身は粘り気のある懸濁液で、よく振ることでその液体がサラサラになり正しく噴霧できるからだ。

Photo

 
□考察
 薬をきちんと飲めない・飲まない理由の一つに、その薬の必要性を理解していないことがある。つまり、「なぜ、それが必要か」を理解していないから、服薬行動につながらない。

 アラミスト点鼻液に関する今回の訴えも同じ理屈だ。なぜ、その手技が必要なのか。それを理解していないから、おざなりになってしまったのだろう。

 よく振る目的が均一にすることなら、薬は噴霧されるはず。出ないということは壊れているに違いない、となるわけだ。こういうことは、その手技の意味を理解しておくことが対策になる。先の写真はそのよきツールになるだろう。
 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年3月11日 (金)

2016年3月のコラム その1 ~抗インフルエンザ薬の構造式とDPP-4阻害薬の構造式~

2016年3月の薬局にソクラテスがやってきた」(その1)
ヒット記事再録とDPP-4阻害薬の続編。
ともに構造式関連ネタ

【ヒット記事再録】


 関連の薬歴公開は「抗インフルエンザの構造式」(2013/1/25)です。

 【ヒット記事再録】リレンザが処方された12歳のKさん。薬歴の副作用歴に「リレンザで発疹」の記載が! 疑義照会するときは、ドクターに代案を提示したいけど…。

 ※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

 「現状と異なる可能性があります」たしかに。今なら次の可能性も考えないといけないでしょう。


【第51回】


 2014/12/22のコラム「DPP-4阻害薬を構造で分類してみる」の続編です。

 同じ薬効群なのに基本骨格を持たないDPP-4阻害薬。その中で同じシアノピロリジン系といってまとめようとしましたが、それは間違いでした。

 薬力学的な分類としての結合様式による分類、完成版です。

Photo

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年3月 4日 (金)

積極的な待機から「新しさ」を絞り出す

「マイナ故に自由なのだ」(P. 117)
決してマイナではないのだが、それでも自由でありたい。

作家の収支 [ 森博嗣 ]

作家の収支 [ 森博嗣 ]
価格:820円(税込、送料込)


【出版社の「半お墨付き」】

・・・、広報活動に努力を惜しまなければそこそこの宣伝効果は見込めるだろう。なにもなかった時代に比べれば、である。ただ、新人で誰も名前を知らなければ、たとえネットで発信しても見向きもされない。ネットはそれほど普及しすぎてしまった。もう「普通」のメディアになったということであり、違いはただ、発信に費用がかからないというだけだ。効果は今となっては薄い。それが現実である。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 72)
 
 とくにネットの世界は玉石混交の情報で溢れかえっている。ゆえに発信した情報が誰にも届かないことがある。手紙を入れた瓶を海に流すように。だからといって、発信という行為そのものが無駄というわけでは決してない。誰も見ることがない日記とは異なり、誰かが目にするかもしれない発信は、本人の成長にとっても価値がある。

 アマチュア作家にとって、なによりも欲しいのはリンクなのだ。つまり、宣伝である。(中略)情報発信はできても、今は情報が多すぎて、誰も目を留めてくれないからだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 185)

 たしかに。先日、二年前に発信した記事「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」が日経DIのフェイスブックページで再録された。結果、2/27と2/28にランキングの上位にあって、ほんとうに多くの方に目にしていただけることができた。日経というリンクがある僕は、ほんとうに恵まれた環境にある。
 

【オリジナルなものを作ること】

 それは、一般的には「才能」という言葉で片づけられているものだ。しかし、僕はそうは考えていない。どちらかというと、「思考力」や「発想力」に近い。それも才能ではないか、と言われるかもしれないが、才能がなければ、時間をかけて考え、発想するまでひたすら待てばよい。スポーツや音楽や演劇などではこうはいかないが、文章を書く場合には、時間で解決できるということだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 95)

 恵まれた環境にあるからこそ、情報をただ右から左へとスライドさせるようなことだけは避けたい。情報を組み合わたり、視点を変えることでオリジナルなものを作っていく。そのために才能はなくとも時間をかける。積極的な待機といえる。とても勇気付けられる指摘だ。
 

「新しさ」を自分の頭から絞り出す

 新しさを生み出すこと、新しさを見せること、それが創作者の使命である。「使命」というと格好が良いが、もう少しわかりやすく表現すれば、「意地」だ。それが、それだけが、プライドを支えるもの、アイデンティティなのである。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 202)

 「使命」「意地」「アイデンティティ」と言い換えられているこれらの言葉を実践するためには、自分の頭で考え続けていくしかない。それが何の役に立つのか。そんなことは副次的なことであって、どうでもいい。まず表現こそがそれに先立つのだ。
 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »