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2016年1月29日 (金)

2016年1月のコラム ~ニフェジピン‐CAMとランサップが二規格ある理由~

2016年1月の薬局にソクラテスがやってきた
ニフェジピンとクラリスロマイシンの併用注意
コラボ企画第2弾!

【第47回】



 「クラリスロマイシンのCYP3A4阻害作用は、併用後すぐには起こらず、4~10日後に生じることが多い。そして、投与中止後も影響がしばらく残る」というタイムラグの問題。

 クラリスロマイシン(CAM)が3日分の処方だったら? 併用が終わったあとに影響がでることになる。そこまで視野に入れないといけないといけないわけです。

Photo_2

(出典:杉山正康編著『薬の相互作用としくみ 全面改訂版』[日経BP社、2012])
 
 

【第48回】


 コラボ企画第2弾です(第1弾は熊谷さんのコラムにお邪魔しました)。今回はEBMの伝道師とのコラボ。青島さんにソクラテスの世界にお越しいただきました。いらっしゃいませ~。

 前半は青島さんとのFB上での実際のやり取りをもとに作成しています。そして後半は、実際に青島さんを召喚しています。

 また、コラムの中で、ピロリ菌の除菌パック製剤が登場します。とうぜん、CAM800mg配合の製剤は、それだけリスクなわけです。当時はタケキャブもなく、ランサップなどでの除菌がメインでしたが、今では当局はタケキャブのレシピばかりです(「

 そもそも除菌パック製剤の400と800ではどのくらい除菌率に差があるのでしょうか? 例えばランサップ。
武田薬品の使用成績調査によると、その除菌率は
400で80.7%(95%CI 78.79-82.45)、
800で80.2%(95%CI 77.26-82.92)と、その差はほとんどなく、同等といっていいようです。ただし、
喫煙者においてはCAM800mgの方が400mgより除菌率が高いという報告もがあります(
Ishioka H, et al. Digestion 75:P63-68 2007.)。しかし、これは後からわかったこと(タバコによる胃血流量の低下が原因で、除菌実施中はやはり禁煙すべきですね)。

 では、なぜ除菌レシピが二つ存在することになったのでしょう。これは
発売当時の使用実態調査を基にしたという理由であって、確固たる根拠があったわけではないようです。
タケキャブのパック製剤の発売が待たれるところですが、400のみの検討と聞いています。除菌率の高さからいくと、さもありなんという感じです。
 

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2016年1月22日 (金)

「探偵のように推理し、患者の暮らしを守る」

薬剤師のやるべきことは、・・・、薬と人の支援、つまり「服薬支援」と「患者支援」です。(P. 73)


【暮らしが先に来る思考回路】

薬剤師は、患者さんに薬をしっかり飲んでもらうことが大切だと思うけど、患者さんの願いはただ一つ、「暮らしを守ってほしい」という思いですよ。これを医学用語に言い換えたものが「クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を守る」でしょう。(中略)QOLを守ったり上げるために薬剤師のやるべきことは、「薬によってQOLを下げないように守る」ことなんです。そこに薬剤師の大いなる使命と役割が存在するんです。薬剤師の、人へのかかわりというのは、そこにある。
 薬がその人の暮らし、QOLに影響を与えていないかを視る。それは「薬が先に来る思考回路」ではなく。患者さんの暮らしを視て、薬の影響が出ていないかを視る、つまり、さっきの逆。そこで、僕はそれを、「モノが先に来る思考回路」に対して、「暮らしが先に来る思考回路」と名付けて、ずっと言い続けてきている。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 14-15)
 
 川添先生が形を与えた、この「暮らしが先に来る思考回路」という概念。この考え方に初めて触れたのは平成18年、漆畑先生の調剤報酬改定の講演目当てに参加したセミナーでのことだった。衝撃だった。

 この思考回路を通して、「暮らしから薬をアセスメントする」。そして、そのためには「薬学的知識が欠かせない」。もちろん「経験」も。

 知識と経験で予測もできる。患者の暮らしを守る。現在の、そして将来の。
 
 
【食事、排泄、睡眠の中には、直接薬をアセスメントできる項目がいっぱい】

 でも、思うんです。じゃあ、薬っていうのは、血圧さえ下がればいいのか? それは違うでしょう? 人間にとって薬を飲む意味は、血圧を下げることによって長生きすること、例えば脳梗塞の発症リスクを下げることにあるわけですよね。
 では、何のために長生きするかというと、それはやっぱり豊かな人生を歩んで、人生を楽しく生きるためじゃないですか。じゃあ、薬によって人生が楽しくなくなってしまっては元も子もないだろうと。
 楽しむためには、食事と排泄と睡眠の三つが満たされていることはすごく大事だと、僕は思うんですよ。快食、快便、快眠という言葉は、見事に人間のクオリティー・オブ・ライフを言い表していると思うんですよ。クオリティー・オブ・ライフって何なのか、人生の質って何なのかを考えると、究極は、快食、快便、快眠なんだと僕は思っています。
 それらが人生おいて重要だと考えれば、副作用チェックに際して最も優先すべきことは、快食、快便、快眠を妨げるような副作用チェックをすることじゃなかろうかと。もちろん、命にかかわるような副作用チェックは重要ですけど、この三つが脅かされていないか、副作用が出ていないかをチェックすることは決して忘れてちゃいけないと思うんですよね。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 170-180)
 

 ほんとうにこの三つのチェックは忘れちゃいけない(フローチャートには「運動」と「認知機能」が加わる。2010年2月26日 (金) 「暮らしが先に来る思考回路」参照)。そして、薬歴の記載において重要な指摘が続く。

比較のためには、問題がなかったときの記録を残しておくことが大切なんです。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 181)
 
 僕らは薬歴の記載において、POSの考え方でSOAP形式で記録をつける。POS(Problem Oriented System)とは、患者の持っている医療上の問題点に焦点を合わせ、その問題を持つ患者の最高の扱い方(best patient care)を目指して努力する一連の作業システムのことをいう。この定義、いや日本語訳が問題なのだ。

 Problemを問題(問題点)と訳するから、その言葉に引きずられる。つまり、患者の問題(問題点)を探してしまう。だから、よい状態、問題がなかったときの記録を残すことができない。結果、後から読み返したときの価値が目減りしてしまう。経時的な変化が追えなくなる。そうなるくらいなら、Problemは「プロブレム」のまま使えばいい。そして、「テーマ」くらいの意味合いで捉えておけばいいのだ。
 
探偵のように推理するのが薬剤師の仕事

 例えば僕は、新しい薬が発売されたときにその薬を知ろうと思ったら、まず添付文書を見て「食事」に関する副作用に赤で丸を付ける。そして、次に「排泄」に関する副作用は青で囲む。そして「睡眠」は緑とかで印を付けていく。そうすると、全部の副作用の8割ぐらいは、食事か排泄か睡眠かのどれかに影響する副作用に該当します。(中略)だから、食事、排泄、睡眠に関する簡単な質問を入り口に、いろんな副作用の可能性が引き出せる。そして、出てきた可能性を一つずつ検証しながら、可能性をつぶしていく。患者さんに聞いて確認したり、自分の目で患者さんの様子を視たり、介護者に聞くというのもありでしょう。そうやって、探偵のように推理しながら、原因を確かめていくのも薬剤師の仕事だと思います。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 188)

 この勉強法は面白い。今度やってみよう(赤・青・緑って齋藤孝の三色ボールペン術みたいだし)。しかし、ただ副作用を見つけて終わりじゃない。その先、次の段階の問題点まで視野に入れて行動することが大切だ。

 薬剤師は、副作用を見付けて、見付けたことを喜ぶ職業じゃない。時々、口渇を見付けた途端に、「患者さんが『口が渇く』と言っています。副作用じゃないでしょうか」と医師に相談してしまう薬剤師がいるんですけど、それだけで相談されても医師は困る。何が問題なのか、本当に患者さんが困っているポイントは何かをしっかり見極めて、解決策を医師と共に探していくことが大切でしょう。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 198-199)

 探偵のように推理する。そして、患者のQOLが薬で下がることがないように、暮らしを守る。薬剤師ってかっこいいじゃん。

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2016年1月15日 (金)

入眠禁止ゾーンへの理解と実践

何時に睡眠薬を飲んでいる?
「入眠禁止ゾーン」

高齢者は“遅寝早起き”が基本です。

CASE 178

女性 75歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠   分1 朝食後   28日分

Rp2) ウルソデオキシコール酸錠100mg  3錠 分3 毎食後  28日分

Rp3) デパス錠0.5mg  2錠 分1 就寝前 28日分

患者のコメント:
「安定剤は1錠でいいときもあるが、だいたい2時に目が覚めて追加している」

患者の情報:
① 持ち越し(-)
② デパスを20時に1錠服用して就寝している
③ 2時に追加服用。6~7時に起床。

□CASE 178の薬歴
#1 22時以降に就寝・服薬をしてもらう
  S) 安定剤は1錠でいいときもあるが、だいたい2時に目が覚めて追加している
 O) デパスを20時に服用し就眠。2時に覚醒し追加服用。
 A) 入眠禁止ゾーンを実践できれば、デパスを減らせるかもしれない
 P) 就寝・服薬が早すぎるので、追加になっている。
   量が多いとふらつき、転倒のもと。
   入眠禁止ゾーンを示し、22時以降の就寝・服薬を提案。
 
□解説
   「睡眠薬が効かない」「睡眠薬を追加している」こういった訴えのときはまず服用状況を確認している。今回も、案の定、服薬タイミングが早すぎるケースだった。加齢とともにメラトニンが分泌される時間が前倒しとなって、睡眠相が前進してしまっているわけだ。高齢者は生理的に就寝が早くなり、起床も早くなる。つまり、よくあるケースといえる。

 最近、こういうケースでは「入眠禁止ゾーン(19時~22時)」を示した資料を使っている。この時間に服薬すれば、それはもちろん薬の効きもイマイチだろうし、眠れたとしても睡眠の質もよくない。そして、睡眠欲求も低下していく。

睡眠は、睡眠欲求と覚醒シグナルのバランスにより保たれているため、普段の入眠時刻の2~3時間前の時間帯は、最も覚醒水準が高くなり入眠に適しません。そのため入眠禁止ゾーンと呼ばれています。そして、いったん入眠すると睡眠欲求は低下し、十分な睡眠をとると睡眠欲求は消失します。

Photo


 昔から、良い子は“早寝早起き”だが、高齢者の場合は“遅寝早起き”を実践してもらわないといけない。
 
 
□考察
 
そもそも65歳以上になると、生理的睡眠時間は6時間くらいだといわれている。20時に就寝して2時に起きるというのは、ちょうど6時間、十分に眠って目が覚めたともいえる。それからまだ寝ていたいというのは無理な欲求ともいえる。

 “無理な睡眠への欲求”この問題、じつは根が深いのかもしれない。

 この早寝の習慣を助長するものに「入院」がある。21時消灯。これがよくないのだろう。高齢者が退院したら、この点を確認しておかないといけない。

 さらに、もう一つ考えるとすれば、夕食後の薬の副作用が、この入眠禁止ゾーンでの睡眠を招いていないか、ということだ。例えば、一包化されている患者で、夕食後の中に安定剤やリリカなどが入っていたとしたら? そういうときは服薬タイミングの見直し、つまり処方の見直しを提案することから始めないといけないだろう。
 

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2016年1月 8日 (金)

2016年始動(講演会のご案内)

2016年ブログ始動。
講演会のご案内から。
今年もよろしくお願いします。


 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年もブログは毎週金曜日にアップ。コラムも月2本のペースを維持できればと考えております。また、その他の企画も水面下にて進行中です。時が来ましたら、随時アップしていこうと思います。

 さて、新年一発目は講演の案内です。昨年は日薬大会や熊薬の卒後教育と講演をしましたが、じつは僕は講演活動を公にはしていません。物理的な理由以外は特にないのですが、強いて言えば、滅多にしない人が講演すれば希少価値が出るのでは、くらいでしょうか。ということで、佐賀県薬剤師会にお邪魔して、川添先生の前座を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします(詳しくはこちらの生涯学習を参照ください)。

Saga

 さいきんは講演タイトルだけは楽につけられます。「○○にソクラテスがやってきた」で○○に地名なんかを入れればバッチリですから。内容は? それは会場でのお楽しみということで。また、講演会終了後には懇親会も企画されているようです。ご都合のつく方はぜひお越しください。

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