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2015年10月30日 (金)

リリカの用法と浮動性めまいの発現率

リリカによるめまいや眠気
高齢者、腎機能、服用初期。
そして、その他の要因について。

CASE 175

女性 80歳 

他科受診:整形外科  併用薬:ボノテオ錠50㎎、エディロールカプセル0.75μg

定期処方:
Rp1) ミカルディス錠40mg 1錠
       アムロジピン錠5㎎ 1錠
    ピタバスタチン錠1㎎ 1錠
    トラゼンタ錠5㎎ 1錠 
    グリメピリド錠0.5㎎ 1錠
    ダイアート錠30㎎ 1錠  分1 朝食後   28日分

Rp2)リリカカプセル25㎎ 2C 分2 朝・夕食後 28日分

Rp3)ランタス注ソロスター 2キット
     1日2回(朝12単位、寝る前4単位)

患者のコメント:
「リリカは食事してこないときも飲んでいいの?」

患者の情報:
① リリカを服用開始して2週間。めまい・眠気など副作用なし。
② 今朝採血のため食事なし。念のため、リリカを服用してこなかった。
③ しびれは相変わらず。Drはもう少し様子を見ようと。
④ 体重52kg、身長145cm、S-Cr:1.10、eGFR:30.17mL/min

□CASE 175の薬歴
#1 朝食抜きのときはリリカの服用を控える
  S) リリカは食事してこないときも飲んでいいの? 採血があるから。
   リリカは念のため飲んでこなかった。
 O) リリカ服用2週間→めまいや眠気など(-)
   他科にて骨粗鬆症治療中
 A) 空腹時服用→Tmax↑→めまい→転倒・骨折リスク↑
 P) 空腹時の服用にてめまいが起きやすくなるので今回の対応でOK
    空腹時での服用は避け、食後に服用するように。
   これからはむくみや体重などにも注意しておいて。
 
 
□解説
 糖尿病性の神経障害疼痛にてリリカの服用を開始した患者。腎機能の低下(eGFR:30mL/min)があり、初期用量を50㎎/dayとやや少なめでスタートをしているものの、骨粗鬆症の高齢女性のため、めまいからの転倒・骨折を心配していた。幸い、服用初期に発現しやすいめまいや眠気の発現はなく、開始して2週間が経過している。

Photo

 しびれは続いているが「今回はこのまま様子を見よう」と28日分の処方。そこで、服用1~2か月頃から注意が必要な末梢性浮腫と体重増加についてのアナウンスをしようと考えていた。

 ところが、「リリカは食事してこないときも飲んでいいの?」と、患者より質問を受ける。今日は採血があるため食事をしておらず、念のためグリメピリドだけでなくリリカも飲んでいないという。

 じつは、このリリカ。食事の有無の違いで血中濃度の推移が大きく異なる。

Photo_2

 (リリカカプセルIF P. 83)

 AUCはほとんど変わらないものの、Cmaxは空腹時と食後でそれぞれ 4.95 及び 3.22μg/mL、tmaxは 0.947 及び 3.37 時間とそのふるまいは大きく変化している。その結果、当然ながら「浮動性めまいの発現率は、食後投与 5.3%(1/19 例)と比べ絶食時投与 30.8%(12/39 例)で高かった」となっている。

 そこで転倒・骨折リスクを避けるために、空腹時での服用を避けるように指導している。
 
 
□考察
 
80歳で骨粗鬆症、もうこれだけでリリカの服用というのは心配だ。大腿骨近位部骨折でもやってしまったら、約2割はそのまま寝たきりになってしまうからだ。

 おまけに腎機能の低下まである。腎機能が正常でも高齢者なら少なめでいきたいくらいなのに、副作用の起きやすい患者背景まであるわけだ。理由はいろいろ言われているが、それ以外にも問題になることがある。それが今回の空腹時での服用だ。

 白鷺病院の古久保先生は、ハイリスク薬に対して、次のように対応しようと提案されている。

 ① 薬をよく知る
 ② 副作用の特徴をよく知る
 ③ 仮説を立て、検証する
 ④ 実践して修正する

 対策が頭の中にあるからこそ、その対策を実践して修正を加えているからこそ、患者の質問にも適切に返答できるし、副作用を未然に防止できるというわけだ。
 

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2015年10月23日 (金)

2015年10月のコラム ~NOACとシベノールの関連記事をまとめてみました~

2015年10月の薬局にソクラテスがやってきた
超ハイリスク薬のプラザキサとシベノール。
過去のコラムでも連載記事が多数ありました。

【第42回】


 プラザキサとシベノール、どちらも腎機能に応じた用量調節が気になる薬剤。ハイリスク薬の中でも特に注意が必要な“超ハイリスク薬”と考えていいでしょう。

 記事の中で、NOACを“新規抗凝固薬”ではなく“非ビタミンK阻害経口抗凝固薬”と紹介しました。今はそのように呼ばれるようです。たしかに4つもあったら、もう新規とは呼べないですよね。

 過去の関連記事をまとめてみました。NOACの記事が多いですね。話題性に加え、クラスエフェクトではない点が大きいのかもしれません。


<シベノール関連記事>



<NOAC関連記事>






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2015年10月16日 (金)

誰も言わないことを綴ることができるか? ~日薬分科会12の演者について~

11月の日薬大会が近づいているせいなのか?
この本を読みながら、まさに、熊谷さんと青島さんだなと。

【誰も言わないことを言う】

 自分が感じていること、考えていることを発表するときには、できるだけ「自分が死んだら、これと同じことを感じたり考えたりする人がいなくなる」ことだけを選択的に語るほうがいいと思います。
   (中略)
 「自分と同じ意見の人間が他にもたくさんいる」と宣言した瞬間に、その人は「いくらでも替えが効くので、いなくなっても別に困らない人」というカテゴリーにおのれを類別してしまう。
 本人は気づいていませんが、「私はいなくなってもいい人間です」という自己申告は弱い酸のようにその人の生命力を蝕んでいきます。
 ほんとうに。
 命の力を高めるためには、「私がいなくなったら、誰もそれを言う人がいなくなるようなこと」だけを選択的に語ったほうがいい。
 これは僕の経験的確信です。
 自分以外の人でも言いそうなことはできるだけ言わないでおく。
 誰でも言いそうなことをあちこちで言い募って時間を浪費するには人生はあまりに短いからです。

(内田樹『困難な成熟』夜間飛行 P. 284-287)
 
 誰も言いそうにないことを書き連ねている薬剤師といえば? 日薬大会も近いせいか、熊谷さんと青島さんのお二人の顔が浮かぶ。

Nichiyaku4

 熊谷さんといえば「炎上」。温和な外見とは裏腹に肝が据わっている。ほんとうに。とても僕には耐えられそうにない。

 炎上するということは、当然ながら、そのスレッドにいる人は賛同者ばかりではない。援護しようにも、火に油になりかねないこともよくある。そんなスレッドが展開するコラムリストは他にはいない。僕なんて、せいぜいミスを指摘されるくらいだ。

 次に青島さん。青島さんはコラムではまだ節度を保っている(失礼!)。しかし彼はTwitterやFBにおいて、誰も言わないようなことを呟いている。たとえば「もう糖尿病という病名はやめて、『おしっこに、糖が出ちまうんだけど、いかがなもんでしょ症』くらいが良いのではないか」といったもの。もう糖尿病という病名をなくしてしまえ、と。おもしろい。こんなこと誰も言ってない(以下、青島さんの意図と違ってたらごめんなさい)。

 糖尿病という病名を恣意的に作り上げたとき、血糖値は下げなければいけないものになった。「厳格な血糖コントロールを行うことで20%くらい死亡が増えるかもしれない」であってもだ。

 いわゆる三大合併症を防ぐには、どの薬を使おうと、ある程度下げておけばいい。糖尿病性腎症だって、ある程度以上になると、血糖値よりも血圧のほうがより重要だし、いわゆる集学的治療が必要となる。いわんや、それ以上の合併症、CVDやガン、認知症などを防ごうと思ったら、血糖コントロールが主眼ではないでしょう。メトホルミンによる合併症予防効果だって、血糖コントロールによるものというより、AMPKの活性化を介した多面的な作用によるものだと僕は思っている。

 米国糖尿病学会(ADA)は、2015年のガイドライン改訂において、すべての糖尿病患者に対してスタチンの投与を推奨している。これなんかも厳格な血糖コントロールだけを考えているようではダメだ、といういい例だ(その良し悪しはおいといて)。
 
【誰も気がついてないゴミを拾う】

 もし、あならが「これからの日本を良くする」ことについて多少でも決定に与りたい、できるなら実効的にかかわりたいとほんとうに願っているなら、誰も気がついていない「床のゴミ」をまず拾い上げることから始めるしかありません。
 ふつうそれは「まったく新しいタイプの社会的活動をはじめる」というかたちをとることになります。
 だって、「誰も気がついてない床のゴミを拾う」わけですから、「あ、そんなところにそんなものがあったんだ……」という気づきから始まるのは当然のことですからね。
 あなたが誰も気づかなかった「床のゴミ」を見つけ、それを拾ったことで、場が新しいフェーズに上がります。
 そのフェーズにおいては、あなたがうるさく要求しなくても、あなたを「ハブ」にして、さまざまなものごとが動き出します。
 健闘を祈ります。

(内田樹『困難な成熟』夜間飛行 P. 81-82)
 
 熊谷さんは毎週毎週、薬剤師界の床のゴミを拾いつづけ、日経DIOのコラムを牽引しつづける。僕も熊谷さんを「ハブ」にして、その一員に加わることができた。

 青島さんもEBMの伝道師として、DIOはもちろん、JJCLIPやその他の活動を展開している。

 そして、僕らのブログやコラムが読まれるかどうか。それは「誰も気がついてない床のゴミ」を拾えているかどうか。それと同義なのかもしれない。
 
日薬大会鹿児島 11月23日(祝・月) 分科会12

Nichiyaku02

 演題も出そろいました。こんなメンツでこんな内容の日薬なんて、過去に一度もなかったのでは? 僕自身もとても楽しみなんです。

 

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2015年10月 9日 (金)

DIクイズ17とソクラテスクイズ第1弾

日経DIクイズ17発売
DIOコラム#41のクイズは簡単? 難しい?


【日経DIクイズ17】
 発売になりました。今回は少なめで、2本のエントリーです。

Q32) ノルバスクをアダラートCRに変えた理由

Q39) 間欠性跛行で抗血小板薬を変えた理由

 どちらも同じ薬効群での薬剤変更です。どうして変更になったのか。それを説明する病態がどちらにもあるわけです。


【第41回】


 DIOコラムは新しい試みとして、クイズ形式を採用してみました。ソクラテスクイズ第1弾! “Vaughan Williams分類のワナ”

 同じクイズでも本誌のように状況設定をしなくて済みますし、なにより紙面の制限がなく、図表を多く使える。今回のように難しい内容をお伝えするには向いていますね。

 講演会などで今回のクイズを参加者に提出しますと、若い薬剤師は十中八九、間違えます。アミオダロンはⅢ群に分類されることに加え、毒薬ですし、とにかく怖いイメージなのでしょう。

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2015年10月 2日 (金)

夏に注意すべき副作用 ~安心処方infobox 実践例第84回と86回~

医師・薬剤師向けのサイト「安心処方infobox」
第84回、第86回サーチ実践例監修。
夏に注意すべき副作用! 

【第84回サーチ実践例】

 「NSAIDsのテープ剤と光線過敏症」 

 モーラステープは禁忌なのでわかります。有名ですから。では他のNSAIDsテープ剤での記載はどうなのでしょうか? 疑義照会する前にちょっと検索を。

Ims84

【第86回サーチ実践例】

 「発汗減少がおきる抗てんかん薬は?」 

 発汗減少という副作用がなぜ起きるのか? これはわかりません。ということは薬理作用から推測することができません。そこで薬効群をまとめて検索しちゃいます。

Photo

 余談ですが、エクセグランに発汗減少の報告があるということは、トレリーフにもあるということです。どうも用量が少なくても、この副作用は免れないようです。

 先日、トレリーフを服用している患者のご家族からのコメントをいただきました。「(発汗減少のことを)きいていて、よかったです。暑いのに汗かいてないな、と思ったら、身体が熱かったんですよ。助かりました」と。

 熊本の夏は暑いですから、光線過敏も発汗減少もともに侮れません。


【副作用サーチ実践例】

2010/07/27  CASE24. ARBによる白血球減少症

2011/01/24  CASE30. 副作用サーチの結果をトレースレポートに

2011/03/22  CASE32. 副作用名を思いつかないケース

2011/06/27  CASE35. 副作用サーチの検索のポイント

2011/08/22  CASE37. 副作用サーチで資料作り

2013/11/25  CASE64. ACE阻害薬による味覚異常

2014/03/24  CASE68. 「スタチンが高血糖をひきおこすか?」スタチンをまとめて検索する

2014/05/26 CASE70. OTC医薬品の副作用を検索する

2014/07/28  CASE72  α1ブロッカーによる射精障害

2014/09/22  CASE74  脂質異常症薬と脱毛 ~検索しながら考える~

2014/11/25  CASE76. ループ系利尿薬で女性化乳房の報告のあるものとないもの

2015/01/26  CASE78. 血圧低下の報告のない抗血小板薬は?

2015/03/23  CASE80. 乳汁分泌の副作用のある薬は?

2015/05/25  CASE82. DPP-4阻害薬による血小板数減少

【相互作用サーチ実践例】

2010/10/28  CASE27. 相互作用サーチでうらおもて検索

2014/01/27 CASE66. チラーヂンS-プロマックの併用注意をうらおもて検索する

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