夜間高血圧とRAS阻害薬
ひさしぶりに日経DIクイズ書きました。
夜間高血圧対策としての利尿剤。
その他の手をご紹介。
【早朝高血圧】
早朝高血圧には大きく分けて2つのタイプがある。サージタイプと夜間高血圧タイプ。どちらも早朝の血圧が高いので、その時点の血圧だけでは判別し難い。しかし、患者の背景に注目すれば予測できないこともない。
参考:サージタイプ対策の一つの手
日経DIクイズ 2014年11月「ノルバスクをアダラートCRに変えた理由」
日経DIクイズ 2014年11月「ノルバスクをアダラートCRに変えた理由」
【夜間高血圧】
糖尿病や肥満、CKDの患者においは食塩感受性が高いとされる。つまりNa貯留傾向にある。この過剰なNaを日中に排泄できなければ、本来血圧が低下するはずの夜間においても高くなってしまうわけだ。
当然、対策としてすぐに思い浮かぶのは利尿剤だ。詳しくは本誌を参考に。
もう一つの血圧日内変動を改善する薬効群、それはRAS阻害薬。たとえばARBの投与を朝から夜に変更すると、血圧日内リズムがnon-dipper型からdipper型に移行することが多い。RAS活性が高まる夜間から早朝の時間帯に、ARBの効果を最大限に引き出そうというわけだ(ちなみにCa拮抗薬は服用時間に係わらず昼間と夜間の血圧を同程度に低下させるので、血圧日内リズムに及ぼす影響は小さい)。
なぜなら、ARBの半減期はけっこう短い。朝1回の服用では夜間まで届かないのも頷ける。半減期の短いタイプのARBを単剤で使用するなら、1日2回での服用がいいかもしれない。
ロサルタン錠50mg 2~4時間カンデサルタン錠4mg 11.2時間バルサルタン錠80mg 3.9時間テルミサルタン錠40mg 20.3時間オルメサルタン錠20mg 6.3時間イルベサルタン錠100mg 13.6時間アジルサルタン錠20mg 13.2時間(月刊循環器 2013/4 Vol.3 No.4 P.97より引用改変)
早朝・夜間高血圧をターゲットとして拡宣しているARBといえば、テルミサルタンとオルメサルタン、アジルサルタンが思いつく。テルミサルタンは確かに半減期が一番長いのでさもありなん。では他の2剤はどういった理屈なのだろうか?
まずはアジルサルタン。これはカンデサルタンの改良型であり、脂溶性が高まったことによる組織移行性、そして受容体から解離しにくさが特徴と言われている。この受容体からの解離しにくさが降圧効果と半減期が相関しない理由らしい。たしかにT/P比は高いようだ。
もう一つはオルメサルタン。これは日経メディカルに関連の記事がある。
「オルメサルタンは昼間のNa排泄促進を介して、昼間・夜間のNa排泄のバランスを改善することでnon-dipperを正常化している可能性がある」らしい。
まあ、上の2剤は特殊と考えて、ふつうは半減期やT/P比を参考にすればいいわけだ。とすれば、じつはARBよりも優れているやつがいる。ACE阻害薬のペリンドプリル。半減期は57時間のT/P比は75~100%もある。じつに圧倒的なのだが・・・。
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