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2015年5月29日 (金)

安心処方infoboxサーチ実践例 第80回と第82回

医師・薬剤師向けのサイト「安心処方infobox」
第80回、第82回サーチ実践例監修。ぜひ使ってみてください。

【第80回サーチ実践例】

 「乳汁分泌の副作用のある薬は?」 

 こういう僕にとって機序のわからない副作用を考察するときには、まずは副作用サーチです。考えるのはそれから・・・。

80

【第82回サーチ実践例】

 「DPP-4阻害薬による血小板減少」 

 2015年3月、シダグリプチン(グラクティブ、ジャヌビア)の添付文書が改訂され、重大な副作用の項に「血小板減少」が追記となりました。

 これはシダグリプチンに特有な副作用なのでしょうか? 他のDPP-4阻害薬ではどうなのでしょうか? こんな疑問が頭をよぎったら、さっそく副作用サーチです。
82


【副作用サーチ実践例】

2010/07/27  CASE24. ARBによる白血球減少症

2011/01/24  CASE30. 副作用サーチの結果をトレースレポートに

2011/03/22  CASE32. 副作用名を思いつかないケース

2011/06/27  CASE35. 副作用サーチの検索のポイント

2011/08/22  CASE37. 副作用サーチで資料作り

2013/11/25  CASE64. ACE阻害薬による味覚異常

2014/03/24  CASE68. 「スタチンが高血糖をひきおこすか?」スタチンをまとめて検索する

2014/05/26 CASE70. OTC医薬品の副作用を検索する

2014/07/28  CASE72  α1ブロッカーによる射精障害

2014/09/22  CASE74  脂質異常症薬と脱毛 ~検索しながら考える~

2014/11/25  CASE76. ループ系利尿薬で女性化乳房の報告のあるものとないもの

2015/01/26  CASE78. 血圧低下の報告のない抗血小板薬は?

【相互作用サーチ実践例】

2010/10/28  CASE27. 相互作用サーチでうらおもて検索

2014/01/27 CASE66. チラーヂンS-プロマックの併用注意をうらおもて検索する

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2015年5月22日 (金)

2015年5月のコラム ~新旧PPIについてコラムの補足~

2015年5月の薬局にソクラテスがやってきた
PPI朝投与の弱点<PPIとHブロッカー>
タケキャブ除菌の除菌率とCYP2C19<PPIとP-CAB>

【第32回】


 日本のPPI処方の多くは朝投与です。この用法にはコラムで扱った食事の前後の問題以外に、夜間のpH上昇作用が弱いという弱点があります。

 PPIは胃酸分泌を1/10くらいに減らします。ではH2ブロッカーではどうでしょうか。H2ブロッカーでは1/3くらい。やはりPPIはH2ブロッカーよりも強力といえます。しかし、胃酸分泌のパターンにはある特徴があります。

 昼間の食後の胃酸分泌は、ヒスタミンのほかにアセチルコリンやガストリンの分泌も行われているのに対し、夜間の空腹時のそれはヒスタミンの基礎分泌のみ。つまり、夜間に胃内のpHを上昇させるためには、就寝前のH2ブロッカーの併用は効果的なのです(PPIとH2ブロッカーの併用は保険上問題となる県もあるようです)。

 ただし、H2ブロッカーには耐性の問題もあり、長期に服用するのなら、やはりPPIを分2で服用するか夕食時への用法にと変更を試みるべきでしょう。

【第33回】


 「PPIが効果不十分のときに、1日2回にするのは有効だ。実際、同じ1日量でも投与回数を増やした方が、酸分泌抑制効果は高くなることが報告されている。これは、新たにできたプロトンポンプを阻害することができるためと考えられている」

 と、第32回の記事で書きました。これは既存のPPIが酸に不安定なため、分泌細管に長く留まることができないためでもあります。この点でタケキャブは、塩基性が強く、酸性条件下でも安定しており、分泌細管内に長く留まることができます。

Takwcab(タケキャブの製品情報概要より)

 ゆえにタケキャブは、血中薬物濃度の低下後に、新たに分泌細管の膜上へ移動してきたプロトンポンプも阻害することができるわけです。これが効果の持続と効果発現の早さの理由なのでしょう。

 さて、Twitterにて「タケキャブ20mgと他のPPI常用量を比較したら可哀想」というコメントがありました。確かにその通りです。が、現状、仕方がないとしか言いようがありません。

 現在、高用量のPPIが使用できるのは第32回の記事の表1でお示しした通り、ラベプラゾールのみです。それもピロリ除菌では使えません。しかし、これは安全性の問題というよりは、日本の保険制度の問題と考えるべきでしょう。

 保険を使用しないで、高用量PPIを用いて除菌を行えば、もっといい成績になることは間違いありません。しかしそれでも、CYP2C19活性の高いhomo EM(homozygous extensive metabolizer)患者での除菌はきっと難しいと思います(実際、三次、四次除菌の失敗例を調べるとhomo EMであったという報告をよく目にします)。記事で話題にしたクラリスロマイシン耐性株だけではなく、そういう意味でもタケキャブを用いたピロリ除菌は有用性が高いと言えるでしょう。

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2015年5月15日 (金)

8月23日(日) 熊本でお会いしましょう!

2015年度の講演のご案内、第1弾!
熊薬出身以外の方でも参加OKです。
熊本の夏は暑い(ほんとに)!

【平成27年度 薬剤師のための医療薬科学研修会(第28回)】
 
 日時:平成27年8月23日(日) 13:00~17:30
 会場:熊本大学薬学部 大江総合研究棟2階多目的ホール
 主催:熊本大学薬学部教育委員会卒後教育部会
 参加方法:事前申し込みはありません。直接会場へお越しください。
       ※当日受付で受講料2,500円(テキスト代含む)をお支払いください。
 連絡先:熊本大学薬学部 卒後教育部 会長 平田純生
      〒862-0973  熊本市中央区大江本町5-1  TEL/FAX:096-371-4856
      e-mail:hirata@kumamoto-u.ac.jp

Photo

 添付文書情報だけでは薬物適正使用はできません。くすりのキャラクタをどうとらえ、どのようにして情報を得ればよいのか?そして情報の使いこなし方について考えてみたいと思います。講師はCKD患者・透析患者の薬物適正使用について鋭い感性を持っている古久保拓先生。日経DIの連載「薬局にソクラテスがやってきた」で難しい話を分かりやすく小説のように著し一躍有名人になった熊大薬学部OBの山本雄一郎先生、高齢者の服薬支援とその実践についてクールに語る森直樹先生。そして腎臓病の専門家の平田が加わります。

 ■  透析患者と薬の怖くて大切な話
      古久保拓先生 (白鷺病院薬剤科:大阪市)

 ■  薬のキャラクタをどのように読み解くか ~中空構造薬学の深層~
      山本雄一郎先生 (アップル薬局)

 ■  高齢者医療における服薬支援 ~患者情報の共有と連携~
      森直樹先生 (温石病院薬剤科)

 ■  腎機能低下時のハイリスク薬管理
      平田純生先生 (熊本大学薬学部臨床薬理学分野)

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2015年5月 8日 (金)

ベニジピンは冠攣縮性狭心症患者の長期予後を改善するデータを有する唯一のCa拮抗薬

ベニジピン(コニール)の特徴といえばチャネル?
1日1回は高血圧で、1日2回は狭心症?
ベニジピンは冠攣縮性狭心症でもっと使われていいと思う。

CASE 170

女性 70歳 

他科受診:なし、併用薬:なし、タバコ・アルコール:なし

定期処方の変遷1:
Rp1) フルバスタチン錠20mg 1錠  分1 夕食後   42日分
Rp2)ニソルジピン錠5mg     2錠  分2 朝・夕食後   42日分

定期処方の変遷2:
Rp1) フルバスタチン錠20mg 1錠  分1 夕食後   14日分
Rp3)ニソルジピン錠5mg     2錠  分2 朝食後・就寝前   14日分

今回の処方:
Rp1) フルバスタチン錠20mg 1錠  分1 夕食後   14日分
Rp2)ニソルジピン錠5mg     2錠  分2 朝・夕食後   14日分
Rp4)ベニジピン錠4mg  1錠  分1 就寝前 14日分

患者のコメント:
「やっぱり朝が高くて、150くらいはある」
「薬は元に戻して、一つ加えましょう、と」

薬歴・患者から得られた情報:
① もともとは狭心症発作で、循環器のDrのお世話になっている。
② フルバスタチンとニソルジピンをずっと服用しており、ここ5年は変更がない。
③ 朝に動悸も少し感じる。

□CASE 170の薬歴
#1 Ca拮抗薬の併用と副作用のアナウンス
  S) 朝が高くて、150くらいはある。動悸も少しある。
 O) ベニジピン追加。もともと冠攣縮性狭心症(+)
   早朝高血圧とともに狭心症発作も併発
 A) ベニジピン初薬とCa拮抗薬併用についての理解要
 P) ベニジピンもニソルジピンと同様に狭心症と血圧の両方に効果がある。
  ベニジピンは冠血管への選択性が高く、狭心症発作・予後ともに期待できる。
  飲み始めの立ちくらみやフラッシング→慣れることが多い。
  頻脈や下肢浮腫、過降圧、ひどい便秘→用量調節要、申し出て。
 
 
□解説
 
広域処方せんを持参する患者。当局の利用以前からRp1)2)をずっと服用している。朝が高めとなり、ニソルジピン(先発品:バイミカード)の夕食後を就寝前に変更して対応を試みるが、うまくいかずにベニジピン(先発品:コニール)が追加となっている。

 高血圧だけの患者と考えるとこのCa拮抗薬の併用だけの降圧薬の処方は理解できないが、高血圧と冠攣縮性狭心症を併発している患者と考えるとわかる。

 Ca拮抗薬は冠攣縮性狭心症の第一選択薬だが、そのすべてに異型狭心症(冠攣縮性狭心症の一種)の適応があるわけではない。ニソルジピン、ニフェジピンCR(アダラートCR)、ジルチアゼムR(ヘルベッサーR)の3剤は狭心症だけではなく異型狭心症の適応も有している。ニソルジピンは降圧力はマイルドだが、カルシウムチャネルへの結合性が高く、狭心症には強いとの評価がある。

 スタチンもガイドラインにおいて、冠攣縮性狭心症に対してクラスⅡbとなっている。なかでもフルバスタチンはSCASTというエビデンスを有しており、冠攣縮性狭心症の新しい治療薬になることが期待されている。ゆえに、もともとの処方から、この患者の病名は容易に推測できる。

 ともあれ、今回の状況では、Ca拮抗薬を併用することになる。その意義と起こり得る副作用についてのアナウンスを中心に服薬指導を行っている。
 
 
□考察
 ニソルジピンもベニジピンもCa拮抗薬の世代分類でいったら、一世代前のタイプで、添付文書上は1日1回の薬ではあるが、じっさいには1日2回で使われることが多い。またベニジピンはチャネルの薬理的な話題も非常に魅力的だが、やはりカントリードラッグであり、エビデンス的にも市場的にも・・・、という印象だった。

 しかし、こと冠攣縮性狭心症に関しては見方を変えている。ガイドラインにはこうある。

さらに,Ca 拮抗薬にはRhoキナーゼを抑制する効果や,Ca拮抗薬のなかでも予後改善効果に差異がある可能性が示唆されている.一方で,複数の Ca 拮抗薬の組み合わせ投与や,硝酸薬との併用が試みられる場合があるが,治療効果に関する客観的なエビデンスはない.また,長期間 Ca 拮抗薬の投与を中止した場合,症状が増悪すること(リバウンド現象)がまれならず報告されており,減量,中止 の場合は,段階的に減量して,その度ごとに Holter 心電図 などで冠攣縮の悪化がないことを確認するなどの注意を要する.


 「Ca拮抗薬のなかでも予後改善効果に差異がある可能性が示唆されている」これを裏付けるメタ分析(Nishigaki K et al:Circ J 74 :1943, 2010)でのベニジピンの成績には目を見張るものがある。

Ccb4

 Ca拮抗薬同士の直接比較ではないので、どれがいちばん優れているといった歯切れの良いことは言えないが、これを見る限り、ジルチアゼムRよりベニジピンのほうが予後の改善という点では良いように思える(理論的にはCa拮抗薬を併用するなら、同じ系統ではない、ジルチアゼムRを併用する手も捨て難いが・・・)。少なくとも、ベニジピンは冠攣縮性狭心症患者の長期予後を改善するデータを有する唯一のCa拮抗薬といっていいだろう。

 とはいえ、このベニジピン、血圧コントロール状況によっては1日1回だったり2回だったり。冠攣縮性狭心症の場合でも1日2回の用法のはずだが、今回のケースのように就寝前の1xで処方されるケースもあるだろう。ということは、その用法からだけで、病名を推測することはしないほうが良さそうだ。

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2015年5月 1日 (金)

「考えるといってもいろいろな考え方があるけれども、生活習慣として見れば、それほど難しいことはない」

「知的に活発でありうるためにはしばしばじゃまな知識をあえて棄てなくてはならない」(p. 92)



【どうしたら知識のもつ毒をなくすことができるか】

 知識を得たら、すぐに、使わない。時間をおいて、変化するのを待つ。善玉忘却によって知識を解体、浄化するのである。“時”の力を加えることで、知識は変容し、昇華する。正確でなくなるかもしれないが生産性を獲得する。そういう特化した知識は、思考と対立しない。
 
 知識は貴重である。ただ生のままでは、思考を封じるおそれがある。思考にとって役立つ知識は、善玉忘却をくぐってきたものである。

(外山滋比古『知的生活習慣』ちくま新書 P. 48-49)
 
 講演会の依頼が時折ある。苦手ではないけれどもあまり好きではない。なぜなら、書くことは前向きに進んでいる感じがあるのに対して、話すことは、話すためにプレゼン資料を用意することは後ろ向きの感覚しか持てないからだ。それで伸ばし伸ばしにしていたツケがたまり、5月は3回も話さないといけない。

 内容はなんでもいいと言われるのがいちばん困るのだが、次に困るのは“どうやって勉強すればいいのか”といったお題だ。よくよく聞いてみると、勉強の方法というよりも考え方をどうやって身につけたのか、といった内容に近い。つまり知識ではなく思考だ。

 であるならば、まずは“得た知識をすぐには使わない”ことだ。ナマものは手ごわい。そこで“時”の力を借りることになる。うまくいけば、それは“発酵”する。正確ではなくとも生産性を獲得した“特化した知識”となる。つまり有益なものになる。

 ただし“腐敗”することもある。発酵も腐敗も時の力によるものだが、知識の場合、腐敗すらも有益である。なぜなら、それは忘却によって、考えるための頭の容量を空けてくれるからだ。
 
【考える習慣を身につける】

 知識人は、あらゆることを既知によって処理できるとし、実際そうすることで、独自の思考を怠る傾向がつよい。

 結局、普通の人がもっともよく考える人間になりやすいということになる。

 考えるといってもいろいろな考え方があるけれども、生活習慣として見れば、それほど難しいことはない。

 腑に落ちないこと、わからないこと、不思議なことに出会ったら、素朴に、「なぜ」「どうして」などと自問するのである。すぐ本を調べたりすることは必ずしも賢明ではない。疑問はいつまでも疑問としていだいていれば、そこにおのずから独自の思考が生まれるきっかけになる。
 

(外山滋比古『知的生活習慣』ちくま新書 P. 93-94)


 考えるといっても、「さあ、今から考えるぞ」というわけにはいかない。なにかきっかけがいる。そのきっかけこそが「なぜ」「どうして」だ。

 僕らの業務はこの「なぜ」「どうして」に回答しなくても、だいたいはこなせる。基本的には困らないことが多い。だが、応用は効かない。とうぜんだ。知識を右から左に動かすことはできても加工ができないというわけだ。

 手を加えるにはその構造を知らなければならない。このとき、すぐに調べるのは賢明ではない。今風にいえば、すぐにググるのはよくない。なぜか。もったいないからだ。その効率と引き換えに失うものがある。

 まずは、調べる前に考える。仮説を立ててみる。使える概念がないか当てはめてみる。そうして得られたものが、たとえググって数秒で知り得たものと内容が同じであっても、じぶんで手にしたものとはまったく違う位相にあることは間違いない。

 僕は何一つとして、新しいこと、新しい知識を創出することはない。だが、エディットすることはできる。情報誌が情報の選択や順番、組み合わせなどを通して、その存在価値を放つように。だから、僕は小さな「なぜ」「どうして」を大切にする。そのときに“すぐに使わなかった知識”が時の発酵作用を経て、ポコポコと音を立ててくれる。きっと、そういうことなのだと思う。

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