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2015年5月22日 (金)

2015年5月のコラム ~新旧PPIについてコラムの補足~

2015年5月の薬局にソクラテスがやってきた
PPI朝投与の弱点<PPIとHブロッカー>
タケキャブ除菌の除菌率とCYP2C19<PPIとP-CAB>

【第32回】


 日本のPPI処方の多くは朝投与です。この用法にはコラムで扱った食事の前後の問題以外に、夜間のpH上昇作用が弱いという弱点があります。

 PPIは胃酸分泌を1/10くらいに減らします。ではH2ブロッカーではどうでしょうか。H2ブロッカーでは1/3くらい。やはりPPIはH2ブロッカーよりも強力といえます。しかし、胃酸分泌のパターンにはある特徴があります。

 昼間の食後の胃酸分泌は、ヒスタミンのほかにアセチルコリンやガストリンの分泌も行われているのに対し、夜間の空腹時のそれはヒスタミンの基礎分泌のみ。つまり、夜間に胃内のpHを上昇させるためには、就寝前のH2ブロッカーの併用は効果的なのです(PPIとH2ブロッカーの併用は保険上問題となる県もあるようです)。

 ただし、H2ブロッカーには耐性の問題もあり、長期に服用するのなら、やはりPPIを分2で服用するか夕食時への用法にと変更を試みるべきでしょう。

【第33回】


 「PPIが効果不十分のときに、1日2回にするのは有効だ。実際、同じ1日量でも投与回数を増やした方が、酸分泌抑制効果は高くなることが報告されている。これは、新たにできたプロトンポンプを阻害することができるためと考えられている」

 と、第32回の記事で書きました。これは既存のPPIが酸に不安定なため、分泌細管に長く留まることができないためでもあります。この点でタケキャブは、塩基性が強く、酸性条件下でも安定しており、分泌細管内に長く留まることができます。

Takwcab(タケキャブの製品情報概要より)

 ゆえにタケキャブは、血中薬物濃度の低下後に、新たに分泌細管の膜上へ移動してきたプロトンポンプも阻害することができるわけです。これが効果の持続と効果発現の早さの理由なのでしょう。

 さて、Twitterにて「タケキャブ20mgと他のPPI常用量を比較したら可哀想」というコメントがありました。確かにその通りです。が、現状、仕方がないとしか言いようがありません。

 現在、高用量のPPIが使用できるのは第32回の記事の表1でお示しした通り、ラベプラゾールのみです。それもピロリ除菌では使えません。しかし、これは安全性の問題というよりは、日本の保険制度の問題と考えるべきでしょう。

 保険を使用しないで、高用量PPIを用いて除菌を行えば、もっといい成績になることは間違いありません。しかしそれでも、CYP2C19活性の高いhomo EM(homozygous extensive metabolizer)患者での除菌はきっと難しいと思います(実際、三次、四次除菌の失敗例を調べるとhomo EMであったという報告をよく目にします)。記事で話題にしたクラリスロマイシン耐性株だけではなく、そういう意味でもタケキャブを用いたピロリ除菌は有用性が高いと言えるでしょう。

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