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2014年12月12日 (金)

アクトスは「重篤な腎機能障害のある患者」に禁忌なのか?

合剤には注意。
腎排泄型DPP-4阻害薬は減量で対応。
重篤な腎機能障害に禁忌のアクトスは?

CASE 165

男性 50歳 

他科受診:なし、併用薬:なし

定期処方:
Rp1) カルブロック錠16mg 1錠 
        オルメテック錠20mg   1錠
    リオベルLD錠     1錠 分1 朝食後  28日分

Rp2)フロセミド錠40mg   2錠 分2 朝・昼食後  28日分

Rp3)炭酸水素ナトリウム 4.5g 分3 毎食後   28日分

患者の家族のコメント:
「身体がきついみたい。仕事のとき以外はほとんど動かない」

患者、お薬手帳から得られた情報:
① 今の仕事が終わり次第、透析導入予定(まだ半年は無理と言っている)
② お薬手帳より重層が増量 3g→4.5g
③ 門前の薬局で待つのがきついため、本日より当局へ

疑義照会:
(内容) 透析導入予定→ネシーナ過量
(回答) リオベルLD→4)へ変更

Rp4)ネシーナ錠6.25mg  1錠
    アクトス錠15mg   1錠  分1 朝食後 28日分

□CASE 165の薬歴
#1 処方変更の内容を理解してもらう
  S) 身体がきついみたい。仕事のとき以外がほとんど動かない
 O) 透析導入予定(今の仕事が終わり次第、半年先?)
   重層→増量、疑義にてネシーナ減量
 A) 身体のきつさはネシーナの蓄積ではなく、アシドーシスだろう。
   どちらにしろ、処方変更について理解してもらう必要がある。
 P) 身体にたまった酸を中和する必要があります。
  飲みにくく、量も多くなりましたが粉薬をしっかりと。
  糖の薬はDrと相談して、数は増えましたが、薬の量自体は減っています、と伝えてください。お薬手帳にもその旨を記載しておきます。
 
□解説
 透析を先延ばしにしている患者。待ち時間がつらいとの理由で当局へ。お薬手帳から薬はほとんど変更がなく、リオベルLDもずっと続けていた。

 疑義にて、リオベルの中のDPP-4阻害薬ネシーナは腎排泄型で減量を提案する。アクトスについては減量の必要はないとの意見も合わせて伝え、Rp4)へと変更となった。

 患者の主訴のきつさは、透析導入を先延ばしにしていることにあり(おそらくアシドーシスが問題)、ネシーナの蓄積ではないだろうと判断するも、処方変更への理解が必要であり、そこを重点に服薬指導を行っている。

参考2:CKD病期によって発症する諸症状
     GFR <45mL/min:易疲労感、労働能力の減退
         <30mL/min:貧血、代謝性アシドーシス、Ca・P代謝障害
         <15mL/min:消化器症状
         <10mL/min:浮腫、心不全、高K血症、出血傾向、不眠、精神症状
 
□考察
 今回のケースにおいて、肝消失型であるアクトスが蓄積する可能性はほとんどないと言っていい。ではなぜ、アクトスは「重篤な腎機能障害」に対して禁忌なのか?

 その答えをIF等に見出すことができない。どうもこれは発売した時期に関係するようだ。アクトスが発売された当時はSU剤やBGにおいて重篤な腎機能障害に禁忌だったから、それに倣った。当時は厳しかった。そんな答えしかメーカからは帰ってこない。

 これに対してアメリカでは、アクトスは重篤な腎機能障害には禁忌ではない。

 腎機能障害患者に安心して使える経口糖尿病薬は少ない。SU剤やナテグリニドは重症低血糖、BGは乳酸アシドーシスとただでさえアイテムが少なくなるなか、こんなくだらない理由でわざわざ選択肢を少なくする必要はないではないか。

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