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2014年11月28日 (金)

知っているようで知らない薬「メトグルコ」特集!

2014年11月の「薬局にソクラテスがやってきた
メトグルコの実力と副作用。
そこにあるちょっとした誤解。


【第20回】


 メトグルコ前編です。関連の薬歴公開はなく、書き下ろしです。この記事は本当にたくさんの方に読んでいただきました。11月24日のランキングでは「昨日」「週間」「月間」の三冠! ありがとうございました。

 さて内容ですが、若い薬剤師に糖尿病薬を強い順に挙げてもらうとだいたい記事のような順番になります。そしてそれは、低血糖の出やすい順番であることが多く、そういったイメージに引っ張られていることがよくわかります。

 糖尿病の治療の歴史は合併症の克服と新たな合併症への対応の繰り返しのように見えます。つまり高血糖昏睡に始まって、三大合併症、心血管系イベント、そして新しい合併症としてのガン。ここまで視野の射程に入れた治療、それがメトグルコには期待できると考えています。


【第21回】


 メトグルコ後編です。関連の薬歴公開は、「CASE 163 SGLT2とBGの危ない関係」です。

 高用量が使われるようになり、その力を発揮し始めたメトグルコですが、安全性はどうなのでしょうか?

 BGの副作用といえば「乳酸アシドーシス」。これを予防するために注意すべきことは果たして用量なのか。否。それは用量のコントロールでは対応できません。

 乳酸アシドーシスをおこさないようにするための対策、それは「点での対応」では不充分です。そのモニタリング・ピリオドは服用している間ずっと続いていくのです。


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2014年11月21日 (金)

日経DIクイズ11月号 Ca拮抗薬の違い

日経DI 11月号
汎用薬Ca拮抗薬!


【日経DI 2014年11月】

日経DIクイズ1 「ノルバスクをアダラートCRに変えた理由」

 製剤学ネタ。元ネタは「CASE 128 アダラートCR錠は不完全がゆえに価値がある」です。

 Ca拮抗薬は新薬の登場もなく、アムロジピンなどのメインどころの特許切れも手伝って、もうほとんどコールされることもない薬効群。市場も安定している。だからこそ、両方採用されているのなら、医師も使い分けているはずなんです。

Cover201411_2

 薬剤師や製剤学的特徴を理解している方は、当然こんなことはしません。

Photo

 医師がアダラートCR錠を0.5錠で処方することがあっても、それを薬剤師が調剤する状況は想像できません。病院の採用上の問題であるならば、そういうときこそ院外処方せんを切ってほしいと思います。
 

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2014年11月17日 (月)

メモや手帳の本質

お薬手帳を持ってもらいたい。
でもお薬手帳でなくてもいい。

【総統閣下がお薬手帳を持たない方にお怒りのようです】

 
 長崎県五島の田中さんの力作(最高です)! まあ、こんなに怒ったりはしないですけど、薬剤師としてはお薬手帳を全ての患者さんに持っていただきたいわけです。

 僕だって服用している薬はあります(ついに生活習慣病の薬まで・・・)。そして僕だって、意識を失って倒れたりしたら、○○を服用していますって告げることはできないわけです。薬剤師だからいらないってわけじゃありません。

 ということで、薬剤師の僕もお薬手帳を持ってます(今は、「くまもん」ではなく「しまねっこ」を使ってます。かわいいから)。

20141117_204229_2


【飲める薬、飲めない薬を記録しよう-あなたの生死を分ける、たった一枚のメモの作り方】

*ログミーはこちら

 
 こちらは薬剤師界のジョブズこと鹿児島の原崎さんのペチャクチャナイトでの様子。

 原崎さんのプレゼンを聞いて感じることは「僕らはお薬手帳という形式にこだわりすぎているのかも」ということでした。

 だから原崎さんは、お薬手帳を「分解」する。原崎さん曰く、「手帳はメモの進化系なのでそういう源流をおさえようとおもった」とのこと。なるほど。さすがの視点です。

 そして彼がたどり着いた着地点は「生きたい」という生への意欲。

まずは、何でもいいです。「生きるために」自分の身に付けているものに何かメモを残すようにしてください。
 
お薬手帳ではなくてもいい。そう、生きるためのメモを。

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2014年11月14日 (金)

気虚による発熱には補気剤を

「気虚」の発熱に解熱剤は効かない。
気虚には補気剤。
漢方は症状ではなく病因に。

CASE 164

男性 75歳 

他科受診:なし、併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後   28日分
Rp2)メリスロン錠6mg 3錠 分3 毎食後 
    レバミピド錠100mg 3錠 分3 毎食後 28日分
Rp3)オメプラゾール錠10㎎ 1錠 分1 夕食後   28日分

臨時処方:
Rp4)ツムラ補中益気湯エキス顆粒 7.5mg  分3 毎食前 14日分

患者のコメント:
「夕方になると熱が出る。先生は疲れがたまっているんだろうって。
 たしかに疲れてはいるけど。この漢方が解熱剤?」

患者から得られた情報:
① 平熱は低いのに、16時くらいになると毎日37度を超える。
② 食欲はある。ふつうに摂れている
③ さいきん、寝汗(+)

□CASE 164の薬歴
#1 補気剤のアドヒアランスを高める
  S) 夕方になると熱が出る。先生は疲れがたまっているんだろうって。
   たしかに疲れてはいるけど。この漢方が解熱剤?
 O) 平熱は低いのに、16時くらいになると毎日37度を超える。
   食欲はふつうだが、寝汗(+)
 A) Drの見立て通りに気虚だろう。証は適。
   原理を理解して、しっかり飲んでもらう必要がある。
 P) 疲れがたまることによって、寝汗をかくこともあれば、夕方に熱が出ることも。
  こういった発熱には解熱剤はあまり効きません。
  原因の疲れに対しての漢方を1日3回、食後になってもいいので続けてみて。
 
 
□解説
 補中益気湯が出ている時点で、症状はどうであれ、医師は気虚と診断している。それを踏まえて、問診していく。

 夕方になると微熱が毎日続いている。食欲はあるものの、本人の「たしかに疲れはある」とうコメントと寝汗。どうやら気虚で間違いなさそうだ(参考:四君子湯とその派生処方 その1)。証さえあっていれば、漢方の場合、副作用は少ない。納得して飲んでもらうほうに力を注いだほうがいい。

 気虚ならびに気虚の発熱には解熱剤は効果があまり見られないことをお話して服用を促している。
 
□考察
 処方医が漢方に明るいと薬剤師としてはありがたい。

 僕の服薬指導の基本姿勢としては、証があっているならコンプライアンス重視。証が合っていない、もしくは不安なときには副作用アナウンス重視だ。

 そして、得てして副作用アナウンスよりもコンプライアンス重視の服薬指導のほうが難しい。なぜなら、漢方の考え方じたいが、患者にとっても、西洋医学中心の日本では馴染みがないからだ。

 今回の症例では、患者は解熱剤を求めて受診した向きがあった。漢方の解熱剤では、勝手に頓用にしてしまうかもしれないし、説明としても嘘になるし。少し時間はかかるが、漢方は原因からアプローチするんですよ、というお話をするしかないだろう。

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2014年11月 7日 (金)

因果関係、常識、そして五臓六腑の謎

生体はむやみやたらに複雑だ。
「三焦」ってなに? 


【現代人はしばしば、ものごとを単純な因果関係として考える】


生物はむやみやたらに複雑で、単純な因果関係が成立することなど、生物学的事象のなかでは、むしろ稀であろう。単純な因果関係が成立する例は、研究者にとっても素人にとっても、はなはだわかりやすいから、例として人々に知られやすいだけのことである。そういうことしか知らないから、タバコを吸えばガンになると思っている。これも確率の問題に過ぎない。 (中略) だから「タバコを吸えば」「ガンになる」のである。つまりああすれば、こうなると考える。どうすれば、ボケませんか。ボケの予防はどうしたらいいですか。これも質問自体が「ああすれば、こうなる」である。
 
(養老孟司『脳のシワ』新潮文庫 P. 109‐110)
 
 たとえばアクトスは膀胱癌のリスクを有意に増やすか。これはNoだ。少なくとも現時点で、アクトスが膀胱癌のリスクを高めるというデータはない。

 話題になったデータはすべて解析の仕方に問題があった。糖尿病の罹患期間というものを勘定していなかったのだ。問題となった時点では、どのデータにも調整因子として、糖尿病の罹患期間が含まれていなかった。現に、アメリカでは5年の時点で黒だったものが、調整因子として罹患期間が加味された10年のデータでは白になっている。

 つまり、「糖尿病は罹患期間が長いほど、重症なほど、癌のリスクが高い」という大前提が考慮されてなかったわけだ。

 いまや糖尿病は、高血糖昏睡でもなく、三大合併症でもなく、ましてや心血管イベントでもなく、癌で亡くなる時代が到来しようとしている。生物はむやみやたらに複雑で、どんなにいい治療法が出てきても、次から次へと新しい合併症が現れる。
 
 
【疑問と解答は融解して一つの事実となる】

あることを不思議に思う。それが解けるまでは、私の頭はそれを記憶している。解けてしまうと、もとの疑問はおそらく忘れてしまう。疑問と解答が融合して、一つの事実となって記憶されるらしい。それは記憶というより、泳ぎを覚えるとか、自転車の乗り方を覚えるのに近いのかもしれない。それ以降は、その「事実」は私の「常識」の一部を構成するようになるのである。こうして頭のなかに、世界のあるイメージがしだいに形成されていく。
 
(養老孟司『脳のシワ』新潮文庫 P. 148)

 コラムを書くにあたっていちばん難しいのがこれだ。もう常識化してしまうと、昔、なにが疑問だったのかがわからない。

 「アスピリンジレンマ」の反応を見てて思うことは、みんな同じようなことをしでかしてきているんだな、ということだ。それを個人の経験のままに留め、教育の現場が変わっていないのなら、これからも同じことが繰り返されていくことになる。

 そういうことは継承することで克服できる。だが繰り返すが、難しいのは「解答と融合してしまった疑問」を取り出すことだ。いつも心のどこかに留めておかないといけない。


【五臓六腑の疑問】

 漢方では、五臓と五腑はそれぞれ対応する。肝臓と胆嚢、腎臓と膀胱、脾臓と胃といった具合である。「五腑」ではなくて、六腑ではないのか? もちろん六腑である。五臓に腑を対応させると、だから腑はひとつ余る。それを三焦という。六腑目は一つではなく、じつは三つあって、それが三焦なのである。上中下の三つに分ける。これがなにかというと、正体がわからない。一種の数あわせである。こういうものを置いておかないと、五臓五腑以外に、なにか内臓らしいものが見えると困るではないか。変なものがあったら、それは三焦だ、ご託宣をくだせばいいのである。
 昔の人だって、ちゃんとものを考えているのである。話のつじつまさえ合わせておけば、たいていの人は納得することをよく知っていたのであろう。
 
(養老孟司『脳のシワ』新潮文庫 P. 163)

 納得。昔の人を納得させるべきものに、現代人がそれこそ「腑」に落ちないなんて・・・。

 得心がいかない? それは頭が固い。漢方には漢方のルールがある。知らないルールは学べばいい。ただそれだけだ。
 

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