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2014年8月 8日 (金)

クリアミンをマークせよ!

CYP3A4阻害剤が関与する併用禁忌。
ランサップには要注意。
もっとも警戒すべきは「羊の皮をかぶった狼」だ。

CASE 161

男性 45歳 

他科受診:なし、併用薬:なし

定期処方:
Rp1) バルサルタン錠80mg 1錠 分1 朝食後   28日分
Rp2)クレストール錠2.5㎎  1錠 分1 夕食後   28日分
Rp3)アムロジピン錠5mg  1錠 分1 夕食後  28日分

臨時処方:
RP4)ランサップ400     1シート 分2 朝・夕食後 7日分

*残薬:クリアミン配合錠A、ロキソニン(60)

患者のコメント:
「ずっと胃がへんだった。ピロリ菌がいるって」

患者から得られた情報:
クリアミンAもロキソニンも最近は使っていないが10錠くらいずつある

□CASE 161の薬歴
#1 ランサップ-クリアミンAの相互作用回避
  S) ずっと胃がへんだった。ピロリ菌がいるって
 O) ランサップ処方
   クリアミンA・ロキソニン残薬あり(各10錠ずつくらい)
 A) クラリスロマイシン-クリアミンA→麦角中毒
 P) 除菌の薬を服用中と服用終了後3~4日は
   クリアミンAを飲まないように。ロキソニンはOK。
 
□解説
 クラリスロマイシンはCYP3A4阻害剤として有名だが、ランサップの隠れ蓑にくるまれているときは見落とさないようにしなければならない。

 患者は片頭痛発作時にクリアミンAを頓用している。クラリスロマイシンとは併用禁忌で、CYP3A4阻害作用によってエルゴタミンの血中濃度が上昇し、重篤な麦角中毒(四肢虚血)を引き起こしてしまう。

 さらにクラリスロマイシンのCYP3A4阻害による相互作用は、阻害効果が強く、投与中止後も持続する可能性があることを考慮し、その期間を考慮した相互作用回避の服薬指導を行っている。
 
□考察
 クリアミンとクラリスロマイシンの併用禁忌は、原因こそクラリスロマイシンのCYP3A4阻害ではあるが、もたらされる副作用はクリアミンAの過量服用状態からの麦角中毒である。ほんとうにマークすべきは、阻害剤ではなく、相手によって変身してしまう「羊の皮をかぶった狼」のようなクリアミンAだと考えている。

エルゴタミン製剤(クリアミン)が関与する併用禁忌

 (14・16員環)マクロライド系⇔エルゴタミン製剤⇔アゾール系抗真菌薬

 エルゴタミン製剤⇔トリプタン系⇔他のトリプタン系(24時間以上)

 今回の症例でのポイントはクリアミンを頓用で使用していることを把握できているかどうかにある。いくらクラリスロマイシンがCYP3A4阻害剤で併用禁忌の薬がたくさんあると知っていたとしても、把握できていなければ意味がない。

 クリアミンは薬の性格上、ごくたまに処方され、患者が管理することになる。お薬手帳でも流れていってしまって、すぐには把握できないかもしれない。そこで当局では、薬情での注意喚起はもちろんのこと、フェイスシートにて一目で把握できるように管理している。

 クリアミンはマークすべき、「羊の皮をかぶった狼」のような薬なのだ。

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(05) 薬物動態学(相互作用学を含む)」カテゴリの記事

コメント

クラリスロマイシンとアムロジピン、クレストールの併用についてはどのようにお考えでしょうか?

投稿: | 2015年1月23日 (金) 14時53分

名無しの方にはコメントを返さないことにしているのですが、丁寧な口調であることと、ちょっと整理がてら返答です。


腎機能の低下している高齢者で、Ca拮抗薬とスタチンを併用している場合に、クラリスロマイシンというのはイヤなケースだと思います。急性腎不全、横紋筋融解症、総死亡の増加と心配なデータはたくさんあります。が、このケースなら特に注意は払わなくていいのではと考えます。

1、45歳で腎機能の低下もない
2、アムロジピンのCYP3A4の影響度はCa拮抗薬の中では小さい
3、クレストールの場合、考えるのはクラリスロマイシンによるOATP1B1阻害ですが、臨床上の問題にはおそらくなっていない。スタチン類薬の記載だったかと。CYP3A4で代謝されるスタチンのほうが問題になる。
4、クラリスロマイシンが400mg/日であること。だいたい問題になった報告は海外用量の1,000mg/日などの高用量で、CYP3A4阻害作用は用量依存だからです。ランサップの800mgは要注意です。

*クラリスロマイシンとCa拮抗薬だけの記事は一度書いていますので、考え方はこちらをご覧ください→http://kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-a1c7.html

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2015年1月23日 (金) 17時04分

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