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2014年6月27日 (金)

基本骨格が同じでも違う薬理作用を有するものと基本骨格がなくても同じ薬理作用を有するもの

2014年6月の「薬局にソクラテスがやってきた
ARBのクラスエフェクトを打破する。
基本骨格を有しない同一薬効群というカテゴリ

【第10回】
2014/06/03 「オルメテックがアルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくいのはなぜ?

 薬理学ネタです。関連の薬歴公開はなく、書き下ろしです。  

 サブタイトルを付けるなら、ARBの違い その1(その2は日経DIクイズにて展開予定です)。とかくクラスエフェクトが謳われ、その強さ、降圧効果だけに焦点が当てられがちなこの薬効群。でも血圧が下がってもいても、アルドステロン・ブレイクスルーを起こしていたら、病態によってはまったく意味をなさなくなってしまいます。 

 じつはこの話には続きがあります。記事のカスケードのその先の話です。まだ論文的なものがないので、展開はできませんが、辻褄は合っているんです。これがほんとうなら、ARBも捨てたものではないわけですが・・・。

【第11回】

 構造式ネタです。関連の薬歴公開は「CASE 158  アリセプトで副作用が出た患者に、リバスタッチパッチは大丈夫?」です。

 Blogの考察を丁寧に展開してみました(編集者さんの助けを借りますと、すばらしいものになります。図や表があると、ぜんぜん違いますし、リーダビリティなものになります)。

 基本骨格を有しない同一薬効群というカテゴリ。これだけ構造式を異にしておきながら、共通の薬理作用を有しているほうが驚きとも言えます。スイッチングという利点があるわけですが、逆に言えば、副作用も特有のものがあってもおかしくはないと思っています。

 

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2014年6月20日 (金)

スタチンによる糖尿病発症のリスク上昇について

スタチンによる糖尿病発症リスクはすべてのスタチンなのか?
ストロングスタチン(高強度スタチン)だけなのか?
はたまた人種差はあるのか?

【スタチンと糖尿病発症リスク】

 2014年も1月、3月、5月と安心処方infoboxのサーチ実践例を監修している。


 3月の段階でスタチンで添付文書に高血糖の記載があるものはリピトールだけだった。しかし当時から、スタチンによる糖尿病発症のリスクは指摘されていた。

 Lancetに掲載された「スタチンと糖尿病発症リスク:無作為化スタチン試験の共同メタアナリシス」の結果・考察から気になったところを引用すると・・・

 □ それぞれの試験における糖尿病の発症率は大きく異なっていた
 □ データを合わせると、スタチン群では・・・糖尿病発症リスクが9%高い
 □ 各スタチンならびに脂溶性スタチンと水溶性スタチンの比較でもほぼ同等のリスク
 □ さまざまなスタチンのグルコーストランスポータ4に対する効果を検討した研究によると、他のスタチンには当てはまらないものの、アトルバスタチンはこの機序を介して糖代謝に有害な影響を及ぼすと考えられることが示されている
 □ スタチン群における糖尿病174例の増加というのは、絶対数としては糖尿病の若干の増加にすぎない。血管イベントの減少との関係でみても、そのリスクは小さい
 □ スタチン同士を比較した試験の糖尿病発症と血糖値の変化に関するデータもあり、そのいくつかは高用量や強力なスタチンでグルコースホメオスタシスの悪化を示している
 □ 中等度ないし高度の心血管リスクやすでに心血管疾患がある患者では、スタチン治療の方針を変える必要はないとわれわれは考える。しかし、心血管リスクが低い患者や心血管ベネフィットが証明されていない患者群にスタチン治療を考える場合は、糖尿病の発症リスクが上昇する可能性があることを考慮すべきである

 スタチンをプラーク安定化(退縮)薬として用いる場合には、そのベネフィットはリスクを上回る。さらにリピトールには血糖上昇の仮説と高用量やストロングスタチンには同様のリスクがある。そんなふうに理解していた。

【相次ぐ報告、添付文書改訂】


 心血管疾患の2次予防のために行われるスタチン投与では、低強度スタチンに比べて高強度スタチンの方が糖尿病発症リスクが高いこと、特に処方開始から4カ月間のリスク上昇が大きいことが、複数の住民ベースのコホート研究と、それらのメタアナリシスの結果として示された。

 とある。さらに添付文書改訂も相次ぐ。2014年6月20日現在、いずれも自主改訂だが、クレストールとローコールの添付文書が改訂さて、「糖尿病発症のリスクが高かったとの報告がある」といった記載が追加となっている。

 意外だったのが、ローコールの改訂だ。いやいや君はレギュラースタチンでしょ、と突っ込みたくなったが、ローコールだけはストロングスタチンと同様に、構造式にフッ素が導入されていて、ストロングスタチンの構造の特徴を有している。

 もう一つ。ストロングスタチンの中でリバロはまだ添付文書改訂に踏み切っていない。さらに日本人で相反するような報告がさきの糖尿病学会でなされている。


 この中で「IGTに対するピタバスタチン投与は、『効果は弱いものの糖尿病発症を18%抑制した』と結論した。また、いずれの診断基準で評価してもピタバスタチンは糖尿病発症を増加させなかった」とまである。

 これは人種差なのか? 試験デザインの問題なのか?

 いずれにしても、スタチンと糖尿病は無視できない問題であり、トータル的なベネフィットの考慮が必要な問題でもある。

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2014年6月13日 (金)

規格を適正化することで医療費の無駄を省く

リピトール錠5mgとベイスンOD錠0.2mgをGE変更する。
ジャヌビアの50mg2錠を100mg1錠に変更する。
どのくらい一部負担金が安くなる?

CASE 159

女性 50歳 

初来局  他科受診・併用薬:なし

処方:
Rp1) ジャヌビア錠50mg 2錠   朝食後   28日分
Rp2)ベイスンOD錠0.2mg 3錠  毎食直前 28日分
Rp3)アジルバ錠20mg 2錠
    リピトール錠5mg 1錠      夕食後 28日分
Rp4)ノボラピッド注フレックスペン300単位 3キット
Rp5)トレシーバ注フレックスタッチ300単位 2キット

患者のコメント:
「糖尿病はお金がかかって・・・。少しでも安くなればとジェネリックをお願いしたら、院内にはないので、院外処方箋にしておきますと」

患者から得られた情報:
① インスリン療法になって5年くらい
② 低血糖もほとんどなく、HbA1cは7.3~7.4%くらい
③ ジャヌビアやアジルバを調整することはない

疑義照会:
(内容)負担金軽減のために、ジャヌビアとアジルバの規格を変更してよいか
(回答)ジャヌビア錠50mg 2錠→ 100mg錠 1錠
    アジルバ錠20mg 2錠→ 40mg錠 1錠   へ変更

□CASE 159の薬歴
#1 ジャヌビアとアジルバの規格変更で負担金を軽減する
  S)糖尿病はお金がかかって・・・。少しでも安くなればとジェネリックをお願いした
 O) 本日より院外処方。ベイスン・リピトールをGE変更。
   ジャヌビア・アジルバ→用量調整(-)
 A) 1回2錠に意味はないようだ。規格変更でさらに負担減
 P)疑義照会にて、ジャヌビアは100mg1錠、アジルバは40mg1錠へ。
   規格・錠数の変更と成分量は今までと同じであることを説明。
    くれぐれも錠数を間違えないように。
 
□解説
 糖尿病はたしかにお金がかかる慢性疾患で、患者の支払う一部負担金がアドヒアランスに影響するケースは多い。

 このケースの患者は病院での院内処方の患者で、ジャネリックを希望したところ、院外処方箋を発行され、当局への初来局となっている。

 処方薬の中で、ベイスンとリピトールにはジェネリックが存在するので、すぐに用意にとりかかる。その際、ジャヌビア錠50mgとアジルバ錠20mgがともに1回2錠というのが気になった。というのも、大きな病院ほどありがちなのだが、オーダーが院内採用薬でないと入力できないということがままあるからだ。

 患者に確認するとジャヌビアはもちろん、アジルバも調整したりすることはないという。さっそく、処方医に疑義照会をかけると、案の定、オーダーの問題に過ぎず、規格変更の了解を得る。

 患者にはジェネリック変更以外に、適正な規格を用いることで、さらに負担金を減らすことができたことを伝えるとともに、服用錠数を習慣で間違えないようにアナウンスしている。

 
□考察
 患者の一部負担金がどのくらい安くなったか。まず、最初の処方(先発)だと、3割負担で、11,180円。やはり糖尿病薬は高い。これをジェネリックに変更する。ベイスンとリピトールが変更できるので、それで計算すると、10,510円となる。670円安くなった。

 次に、規格を適正化する。まずはジャヌビア。50mg2錠を100mg1錠へ。すると9,840円となり、その差額は670円。なんとジェネリック変更とまったく同じ金額だった。そしてアジルバ。20mg2錠を40mg1錠にすると、9,250円となり、さらに590円も安くなった。2剤の規格変更での差額はなんと1,260円。

 まさかここまで変わるとは予想もしていなかった。せいぜい1剤100円くらいかと。これはジェネリック変更どころではない。患者もまさかこんなに差があるなんて夢にも思わないだろう(そもそも上の規格があることすら知らなかったのだが)。

 病院が採用薬を制限するのは仕方がない。そして、使い勝手から考えて汎用される規格の下の規格を採用することもよくわかる。しかし、こんなに薬価に差があるのであれば、それは問題だ。医療費の無駄も甚だしい。患者もジワジワ苦しむことになる。そういう意味でも院外処方なら対応できる。病院のように採用薬に縛られることはないからだ。

 ジェネリックの推進も重要だが、もっと規格を適正化することで医療費の無駄を省くことも必要なのではないだろうか。

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2014年6月 6日 (金)

どのように生きるべきか?

主人公ゼンのビルディング・ストーリー 第2弾!
抽象性の高い文章が思考を誘発する。


【人の知恵を継承する】

 「ああ、それは素晴らしい。人の知恵というものは、ここにあるように書き残さなければ、一代で消えてしまう。また自身でそれぞれが探っていたのでは、神秘を解き明かすには命の長さが不足する。ああ、そうそう、茶を出すのであった」
 
(森博嗣『ブラッド・スクーパ』中公文庫 P. 88)
 
 ゲーテも「大きな遺産を受け継ぐ」ことの重要性を説いている。

 とくに薬局薬剤師の世界では、知恵の継承がほとんどないのではないかと危惧している。現状で努力を続けること、もちろん、それも大切。でも、それだけでは足りない。未来の薬剤師を視野に入れた行動が必要だ。実務実習や職場での後身の育成などがそれにあたる。そして、ぼくのブログもその一翼を担えればと思っている。
 

【花が枯れるのは、花のせいではない】

 「まず、自然の摂理に反しているということです。これは、さきほども申し上げたように、不老というものがそもそもありえないことだからです。生きていることと、老いることは、まったく同義です。赤子から大人に成長するときでさえ、老いているのです。油に火を灯せば光り、熱を発しますが、しかし、油はなくなります。ものが変化するから、光や熱が生じます。生きていることは、まさにこれと同じ変化の集まりで、私たちも動物たちも命の火を灯し、そして命の元になる油を使い切るまで生きます。ものが燃えれば、そこにあるものは焦げて、捩れて、やがて灰になります。これがゆっくりと現れるのが、つまり老いというものです。したがって、老いを薬によってなくすことはできません。それは、火を消す以外にない、熱を冷ます以外にありません。それはつまり、死んだ状態です」

(森博嗣『ブラッド・スクーパ』中公文庫 P. 158-159)

 こういう文章に触れるたびに自分の仕事を考える。そして「老い」というものを。老いは自然なものだ。老いにあらがうことと病気の境界線。これは恣意的なもので、そのときそのときの時代が決める。これはぼくにはどうしようもない。でも自分の生き方なら話は別だ。
 
 引用はヒロインのハヤの持論で、ハヤはこうも続ける。「花が枯れるのは、花のせいではありません。・・・花はただ、役目を終えただけです」と。ぼくも、ぼくの役目を果たしたい。そう思う。

【自分を信じるために】
 
 「ええ、つまり、神様を信じるのも、竹の石を信じるのも、それから、たぶん、剣を信じるのも、結局は、自分を信じることにつながっているのです。人間は、そういうふうに回り道をしなければ、自分を信じることができないのではないでしょうか」

 「うーん。そうなると、信じるというのは、どういうことでしょうか?」

 「なにかを信じることは、自分が自分の思うようになるという希望の道筋だと私は思います」

 「希望の道筋」

 「この道を行けば、きっと自分は自分の望みのとおりになれる、そういう道を歩くことが、ものを信じること。それは、たぶん、今の苦しさを少しでも和らげて、なんとか生きていく方法ではないかしら」
 
(森博嗣『ブラッド・スクーパ』中公文庫 P. 365-366)

 人間は無根拠に自分を信じることなどできない。回り道が必要なのだ。仕事を通して、趣味を通して。そして、夢のために、理想の人に近づくために。そういった道を歩むことを通して、はじめて自分を信じることができるようになるわけだ。

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