« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »

2014年5月30日 (金)

日経DI 5月号と服薬ケア研究会 第53回例会のご案内

日経DI 5月号
湿製錠ってご存じですか?
そして、服薬ケア研究会からのご案内

【日経DI 2014年5月】

日経DIクイズ2 「デパス錠が飲み込みづらい場合の代替薬」

Cover201405

 エーザイグループの湿製錠を知っている人なら即答できた問題でした。たしかに知っているか知らないかだけなんですが、その情報は添付文書に載っていません。昔の添付文書では、商品名の下に製品の特長を記載するスペースがあったらしく、そこで案内をしていたようです。でもいまはない。だから、その特長を活かすには知っていないとどうしようもありません。記事内容を読んでいただければ、湿製錠についてはだいたい理解できると思います。

 ジェネリックにするかどうかを選ぶのは患者さんです。そして、どのジェネリックを選ぶのか、これは薬剤師の仕事です。なぜなら、ジェネリックの分野は製剤学の分野であり、医療者の中で製剤学を学んできているのは薬剤師だけだからです。ぼくはそう思います。だからこそ、半ば埋れた感のある製剤学の情報を掘り出してみました。

 しかしさいきん、「EMEC」の略号は「EE」となり、湿性錠の製品が新たに出てきていません。ふつうの口腔内崩壊錠ばかりです。やはり、これはブランド品に似ていないから売れないということなのでしょう。

 そもそもエルメッドの由来はElderly Medicine(高齢者向け医薬品)で、飲み込む力が弱く、唾液も少ない、そんな高齢者が薬を上手に服用できるように、というコンセプトのもとにEMECが設立されています。その理念のもとに湿製錠があって、EMECが1996年4月にスタートしたのと同時に湿製錠での販売も始まっています。

 であるならば、ブランド品に似せることを優先してよいのでしょうか? ブランド品が優れているのなら、それは致し方ない。でも製剤的に優れている特長を、技術を有しながら、ただ売れないからブランド品に似せて作るのであれば、これは情けない。設立の理念はどこにいったのでしょう。そう思いながら、このクイズを作りました。

【服薬ケア研究会 第53回例会】

「頭の中を POS に」特別編

 皆さん、服薬指導に自信はありますか?

 このワークは、薬剤師の患者応対を数段レベルアップさせる、大変ためになる演習です。ワークでは、模擬患者を一人おき、模擬症例を元にして、患者役とやり取りしながら服薬指導を組み立てて行きます。

 薬学的な注意点からコミュニケーション技術まで、すべてを学べる薬剤師としての実力を総合的に高める演習です。何度も参加すると、疾患別の服薬指導の要点も身に付きます。誰もが一度は参加して欲しいワークです。皆様のご参加をお待ちしております。

 *日時:平成26年6月22日(日) 10:00~16:00
 *場所:鹿児島市勤労者交流センター(よかセンター)
     (〒890-0053 鹿児島市中央町10番地 tel:099-285-0003)

 *内容:「頭の中を POS に」ワーク特別編 (症例#21)
 *タイムスケジュール(予定) ※ワーク途中昼休みを挟みます
       10:00~11:00 講義「服薬指導の組み立て方」
       11:00~16:00 全体ワーク「頭の中を POS に」演習

 *講師:服薬ケア研究会会頭 岡村 祐聡先生
 *参加費:一般 会員 4,000 円 非会員 6,000 円
 *参加人数:ワーク席 10 名 オブザーバー席 40名
         先着順(入金をもって正式に受付とします)

 お申し込みはこちら

 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 
 
 
 
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年5月23日 (金)

1日1回と1日2回 ~複雑な内容とシンプルな内容~

2014年5月の「薬局にソクラテスがやってきた
動態学ネタ2連発!
すぐに使えるネタと使えないネタともいえるか・・・

【第8回】
2014/05/12 「イグザレルトはどうして1日1回でいいんですか?

 動態学ネタです。関連の薬歴公開はなく、書き下ろしです。  

 プラザキサやイグザレルト、そしてエリキュースといったNOACの半減期はほとんど同じです。では、どうしてイグザレルトだけが1日1回でいいのか。この点についての動態学的なアプローチ。いや動態学的にしか考えることができなかったと言うべきか。  

 NOACという新薬効群が、どういう使い分けをされるようになるのか。今後の研究と経験がその答えを導いていくのだろう。ここでも時間というファクターが無視できないわけです。

【第9回】


 こちらも動態学ネタです。関連の薬歴公開は「CASE 147 定常状態になるベシケアとならないステーブラを使い分ける」です。

 Blogのネタの切り口を真逆にした格好です。ベシケアとステーブラという抗コリン剤はモニタリング・ピリオドがそれぞれ異なるわけですが、それは裏を返せば「使い分けに適している」「処方提案をしやすい」とも言えます。

 なじみのないデトルシトールやトビエースも勉強してみたいと思います。また、ポラキスだけはBBBを通過するので使いたくはありませんが、貼付剤ではその点の心配はないようです。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年5月16日 (金)

【服薬ケア研究会第4回大会 in 熊本】のご案内

僭越ながら大会長を務めさせていただきます。
教育講演には薬剤師界のジョブズ登場。
「本物の薬剤師!」養成講座もご用意してお待ちしております。

10253740_548810651899539_4366503232

「薬剤師の医療のために ~Skill is Blindness~」

 Skill is Blindness 恋は盲目ならぬ技術こそが盲目。

  見えていないもの、そして見ようとすらしていないもの。

    本大会であなたの医療者としての技術の概念が変わります

 僭越ながら大会長を務めさせていただくことになりました。ひのくにノ薬局薬剤師こと、アップル薬局の山本です。本年度の大会は、世話人として熊本大学医学部付属病院薬剤部の城野博史准教授ご尽力の元、熊本大学薬学部において下記の日程にて開催いたします。詳細ならびに参加方法などは随時お知らせ致します。皆様のご参加をお待ちしております。

日程: 平成26年9月14日(日)~15日(月・祭日)

場所: 熊本大学薬学部(詳細はこちら
     〒862-0973 熊本市中央区大江本町5番1号 TEL 096-371-4635

参加費: 事前登録 会員8,000円  非会員9,000円  学生3,000円
       当日参加 会員9,000円  非会員10,000円  学生3,000円
 
プログラム:
14日(日) 12:00~16:00
     大会長講演  「薬剤師の医療における服薬ケアの位置づけ」
                               アップル薬局 山本雄一郎
     「本物の薬剤師!」養成講座
      Ⅰ)「本物の薬剤師になるために何をどう学べばよいのか」 
                         服薬ケア研究所 所長 岡村祐聡
      Ⅱ)「薬物動態の捉え方~モデルと実態を区別しよう~」 
                         服薬ケア研究所客員教授 平山広喜
15日(月) 10:00~16:00
     教育講演 「多視点で考える本物の薬剤師のチカラ」
                                アクア薬局 原崎大作
     一般演題 会員発表
     会頭講演 「本物の薬剤師への道~医療者の心と人格の形成~」
                         服薬ケア研究会 会頭 岡村祐聡
 
 *薬剤師研修センター認定シール申請中
 *敬称略
 *14日の夜には懇親会もあります。
 *フェイスブックのイベントページはこちら
 *お申し込み・大会のHPはこちら

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年5月 9日 (金)

アリセプトで副作用が出た患者に、リバスタッチパッチは大丈夫?

認知症治療薬、コリンエステラーゼ阻害剤
アリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ
基本骨格を有しない同一薬効群というカテゴリ

CASE 158

女性 80歳 
他科受診・併用薬:なし

前回の処方内容:
Rp 1)アリセプトD錠3mg 1錠  / 1x朝食後 14日分

今回の処方処方:
Rp 2) リバスタッチパッチ錠4.5mg   14枚

患者の娘からのコメント:
「食欲がなくなってしまって。吐き気もあるので、貼り薬に変えておくと」

患者から得られた情報:
① 徐脈などはなし
② 自宅に保湿剤がある

□CASE 158の薬歴
#1 リバスタッチパッチによる皮膚症状を予防する
  S)食欲↓、吐き気(+)、貼り薬に変えておくと
 O) アリセプトD(3)→リバスタッチパッチ(4.5)
    自宅に保湿剤(+)
 A) 消化器症状は少ないが皮膚トラブルが心配
 P)吐き気などは少ないタイプだが、皮膚トラブルへのケアが必要。
   左右交互に貼り、翌日貼る側に保湿剤を。風呂上りが効果的。

□解説
 軽い認知症にてアリセプトをスタートした症例。初期量の3mgで食欲減と吐き気を訴え、同薬効群であるコリンエステラーゼ阻害薬(ChE-I)の貼布剤、リバスタッチパッチへと変更に。

 ChE-Iによる消化器症状は薬理作用によるものであり、とうぜんリバスタッチパッチにおいても発現の可能性はある。しかし、リバスタッチパッチはその製剤技術により、血中濃度が急激に立ち上がらないため、消化器症状の発現が非常に少なくなっている。現に、リバスタッチパッチの第Ⅱ相・第Ⅲ相試験でも悪心・嘔吐の発現率は、9mgまではプラセボと有意差はないようだ(18mgになると、さすがに増加している)。

 だが皮膚トラブルは多い。これは9mgでもプラセボに比べて明らかに多い。さらに13.5mg以上になると、かゆみや赤みの訴えが急に増えるという実感が現場にはあるようだ。

 幸い、自宅に保湿剤がある。皮膚症状を予防するポイントを中心に服薬指導を行っている。
 
□考察
 この分野はちょっと面白い。もちろん、病態ではなく薬のこと。下図はガイドラインにある『病期別の治療薬剤選択のアルゴリズム』だ。

Ad

 今回のような軽症アルツハイマーの患者に、効果なし(あるいは不十分)や副作用がおきた場合、同じChE-Iの中から他のChE-Iを選択するとなっている。こういう選択は他の疾患ではあまりない。

 今回のケースの副作用は薬理作用の延長線上にあるものであてはまらないかもしれないが、ふつう、ある薬で副作用がおこったら、同じ系統のものではなく、違う系統のものを考えることが多い。過敏症ならまずそうする。

 たとえばスタチンで薬疹が起きたとしたら、他のスタチンではなく、ゼチーアなど骨格の違うものをまず推薦する(抗生剤のほうがもっと身近だったかもしれない)。

 だが抗認知症薬では事情が異なる。メマリーが中等度以上でしか適応がないこともあるが、その理由はChE-Iの構造に由来する。すべて構造がバラバラで共通骨格を有していないからだ。

 ChE-Iのほかには、キサンチンオキシダーゼ阻害剤やDPP-4阻害剤においても、共通の、いわゆる基本骨格を有していない。

 こういう薬効群は言葉だけで同じものにまとめてしまってはいけない。従来の薬効群とは異なる取り扱いをしていく必要があるだろう。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年5月 2日 (金)

感覚に訴える。そして、「解」があって「問い」がない。

「ガリレオの実験は、実験だから成功したのではない。
 『感覚に訴えた』からこそ、成功したのである」(P. 140)


【哲学用語のむずかしさ】

 若いころから感じていたことだが、哲学用語のむずかしさは、抽象性の高さである。ただし高いからむずかしいのではない。階層を考えたら当然だが、下から上に行くときに、下位概念のくくり方を変えてもいいからである。トマトは野菜に入れても、果物に入れても、べつに差し支えない。そこはそれぞれの具体的な状況に応じてであろうが、各言語が適当に決めてしまっている。哲学ではその階層をどんどん上昇するから、上に行くほど、各言語間のズレが当然ながら大きくなる。それなら、高い階層にある哲学用語を他言語の人が理解するためには、いちばん基底である感覚面から、概念をあらためて持ち上げ直す必要がある。それをしないで、いきなり原語に対応した訳語だけを作ってしまうと、わけがわからないことになりがちなのである。
 
(養老孟司『養老孟司の大言論Ⅲ 大切なことは言葉にならない』新潮文庫 P. 162-163)

 なるほど。「階層を上に上がった言葉ほど、抱合される概念のズレが大きくなる」(同書 P. 35)わけだ。

 哲学的概念を学んで、わかった気になって、その抽象性の高い概念から具象世界(感覚世界)に下ろうとするとズレてしまうわけだ。

 例えば、ニーチェの概念を理解したつもりになって、周囲の人間を「大衆(末人)」と見下す「えせ超人」がどんどん出現してしまうようなことが起こるわけだ。

 いつも思うのだが、抽象から具象への下りのルートというのは、じつは存在しないのではないだろうか。

 むしろルートは無限大にあると言える。これは学びの場面でもいえる。ある理想とするロールモデルがいるとする。そして、その方の抽象理論を学び、その抽象理論を現場に持ってこようと試みる。でも付帯条件が異なる。環境が違う。もっと言えば同じ人間などいない。だからロールモデルそのものにはなれない。着地点が同じはずがない。

 では、どうすればいいのか。答えは簡単だ。養老先生の言う通り、感覚面から、具象世界から上っていけばいい。具象と抽象の世界をつなぐルート、確かなルートは上りにしか存在しない。

 
【解答が先にあって、問いが後からやってくる】

 若い頃、私は発生学の分野を研究していた。受精卵が発生して、成体を作る。発生学とはその過程を調べるものだが、この過程も答が先に存在している典型である。人間が調べようが調べまいが、受精卵があれば、発生過程を経て、ふつうは成体ができる。すでに目前に解が存在しているのである。なんでそういう解になるのだ。その疑問が発生学を生む。

(養老孟司『養老孟司の大言論Ⅲ 大切なことは言葉にならない』新潮文庫 P. 177)
 
 これは薬学でも似た状況がある。

 たとえば薬物動態学。ある薬Aと薬Bを飲んでいて副作用が起きたする。原因薬はBだとわかる。でもなぜ、その副作用が起きたのだろうか。それは相互作用だったのではないのだろうか。これも解が先にあって、問いのほうに後から気が付くパターンといえるだろう。

 日経DIオンラインのコラム「グリベンクラミドにリファンピシンを併用して低血糖が起きたのはなぜ?」で紹介した例もその典型だ。

 もう一つ。たとえばイグザレルト。これは、心房細動に適応のあるNOACの中で唯一、1日1回の服用で済む。1日1回でよいと「解」は与えれている。そして後から「問い」がやってくる。

 5月のコラムは「イグザレルトはどうして1日1回でいいんですか?」に取り組むことにしよう。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年4月 | トップページ | 2014年6月 »