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2014年4月25日 (金)

2014年4月のコラム ~「薬のキャラクタ」と「薬効群のキャラクタ」~

シベノールという薬のキャラクターとスタチンという薬効群。
それぞれの枠で、その特徴をおさえる。

【第6回】


 シベノールの初期投与量については、患者の腎機能(S-Cr)が良い悪いだけでなく、患者の体格(体重)も把握していなければ、Ccrを算出できないし、記事のノモグラムも使えません。

 また、シベノール(やリスモダン)が過量になると、薬の分布が変わります。心臓でQT延長のリスクになるだけではなく、膵臓でKチャネル遮断作用が現われてしまう。だから、低血糖という副作用が生じるわけです。

【第7回】

 こちらは新しい切り口。スタチン群を薬理学で考えてみました。関連の薬歴公開はなく、書き下ろしです。

 この質問、じつは意外に受けます。質問自体の答えはわかりません。でも、この質問の根拠が薬物動態学に、つまり定常状態になるかどうかに由来するのなら、その考え方は間違っています。

 たとえばメバロチン。このスタチンは1日1回で飲んでも、2回に分けても効果は変わらない。朝飲んでも夜飲んでも同じ。だから定常状態になっていると思い込んでしまったのでしょうか?

 スタチンネタはたくさんあります。なんせ昔は、毎日スタチンを売っていましたから。

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2014.4.25 9:50 追記

スタチンの隔日投与について、るるー主さんが薬剤師4コマ劇場R2の中で触れられていました。記事はこちら。別の視点から、この患者なら「ぶっちゃけ、どっちでもよくね」に着地しています(笑)。

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2014年4月18日 (金)

日経DI 3月号と4月号、そしてアプローチ

日経DI 3月号と4月号にお邪魔しました。
アプローチでの連載も始まりました!

【日経DI 2014年3月】

日経DIクイズ2 「高用量アスピリンは“抗血小板薬”か」

Coverdi20143

 Twitter仲間からのリクエストにお答えして書いてみました。

 「アスピリンは低用量だから抗血小板薬として働くのであって、高用量だとアスピリンジレンマがあるから、抗血小板薬としては働かないのではないか?」

 こういう意見が飛び交っていました。じつはDrにも同じ質問を受けたことがあります。でも違います。詳細は掲載紙で。

 ぼくは、この「アスピリンジレンマ」という言葉じたいが、そもそもの問題なのかな~という気もしています。

【日経DI 2014年4月】

特集「聞く力&伝えるココロ」

Coverdi20144

 この特集はすばらしい内容でした。ぼくも常日頃、「沈黙」を大事にするように心がけています。それは真空と例えてもいい。人間は真空に耐えられない。だから、患者の中で言葉が湧いてきている、その瞬間を、こちらがじゃまをしてしまう。

 サッカーでも同じで、スペースがないといいパスは出ないし、チャンスも生まれません。また、余白がなければ新しいことを書きこむこともできません。

 聞く力の第一歩は、やはりここだろうと思いました。

 あと、コラム陣もちょっと出ています。ぼくは平田オリザの書籍を紹介しています。関連記事はこちらです。

【アプローチ連載スタート】

 approach Vol.1(2014.4.7)から、「僕はMRをこう活用している」の連載が始まりました。今後に、ぼく自身も期待しています。

Ap_img01

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2014年4月11日 (金)

心房細動の脈のリズムは放っておいていいの?

心房細動(af)にワーファリン(WF)のみの処方
「脈のほうは放っておいていいの?」
レートコントロールとリズムコントロール

CASE 157

男性 75歳 

他科受診・併用薬:なし

処方内容:
Rp 1)ロサルタンK錠50mg  1錠
    ジャヌビア錠50mg    1錠 / 1x朝食後 14日分

追加処方:
Rp 2) ワーファリン錠1mg  2錠 / 1x朝食後 14日分 

患者からのコメント:
「血圧を測るときに脈がおかしいのに気がついてね。ふだんはどーもないんだよ」
(薬の説明を聞いて)「脈のほうは放っておいていいの?」

患者から得られた情報:
① 血圧 120/80
② 脈拍 50回/min
③ 納豆はあまり好きではない
④ サプリメントの服用(-)

□CASE 157の薬歴
#1 WF初回服薬指導
  S)血圧を測るときに脈がおかしいのに気がついてね
 O) af→WF処方、血圧 120/80
   サプリメント(-)、納豆→好きではない
 A) WF初薬
 P)脳梗塞にならないようにWFを継続する必要あり。
   出血傾向に注意。血圧も今の良い状態をキープして。
   納豆、クロレラ、青汁は禁止。
   サプリメントもなるべく手を出さないように。

#2 病識ケアにて服薬意欲を高める
 S) 脈のほうは放っておいていいの?
 O) ふだんは自覚症状なし。レート 50回/min
  A) afの病態理解を深め、WFを継続する
 P) この不整脈はもともと良性で、問題は脳梗塞を防ぐことです。
   ふだんどーもなければ心配はいらないし、脈拍も50なら心配ない。
   長嶋監督のようにならないようにWFを続けて。
  

□解説
 血圧測定時にたまたま心房細動に気がついた症例。このような、いわゆる無自覚性の心房細動がじつに5割にも上るという。とくに今回のように、もともとのレートが遅いと無症状のケースが多いようだ。

 さらにこの症例はいつから心房細動が起きているのかがわからない。なぜなら、患者自身がたまたま気がついただけなのだから。このような、いつから起きているかわからない持続性心房細動に対して、除細動は行わない。行えば塞栓症が5~7%も起こるという。さらにWFの効果発現には時間がかかる。その間に脳梗塞を起こしかねない。

 ならばレートコントロールを、となるのだが、この方はもともとレートが遅い。だからWFのみの投与になったわけだ。

 まず#1でWFについて、次に#2で患者の疑問について答えている。どちらもWFの継続は重要である、というメッセージで着地している。

 
□考察
 無自覚性の心房細動は多い。ふつうは狭心症のような動悸などを訴えることが多い。だが、それは半数にすぎない。残りの半数はこの症例のように「どーもない」のだ。

 無自覚になる理由は、「もともとレートが遅い」以外に、「酔って寝たあとに出る」かたもいれば、とくに高齢者では「ふだん、あまり動かない」ので感じないだけのかもしれない。また、認知症では表現できないといった理由もあるだろう。

 心房細動は65歳以上の5%、つまり20人に1人に起こると言われている。つまり、歳をとれば誰でもなり得るポピュラーな高齢者病なのだ。

 そして問題になるのは脳梗塞。「心臓じゃない。守るのは頭」(*1 P. 40)なのだ。

 そして、心房細動の血栓は大きい。だから脳梗塞のダメージも大きく重篤なものになる。

 なぜ大きいのか? 心房細動の血栓は血流が遅いところにできる。だから小さい血栓では飛びにくいわけだ。

 どのくらい重篤なのか? ポイントは「5」(*1 P. 41)だ。

 ○ AFがあると脳卒中になる危険が5倍に
 ○ 無治療のAFは5%/年の頻度で脳卒中に
 ○ AFで脳卒中になると1年以内に5割が死亡

 症例のCHADSスコアは少なくとも年齢で1点、高血圧で1点、そして糖尿病で1点の計3点。脳卒中の年間発症率は5.9%にも上ることになる。心房細動が見つかってラッキーだったと言わざるを得ないだろう。

 CHADSスコア
 
 Congestive heart failure  心不全/左室駆出率<40% 1点
 Hypertension                高血圧                    1点
 Age                             75歳以上                  1点
  Diabetes Mellitus           糖尿病                    1点
 Stroke/TIA                  脳卒中/TIA/塞栓症         2点

 CHADSが表しているファクターというのは主に内皮機能の問題なのです。CHADSスコアが高いということは血栓を作りやすい病的な内皮機能になっているということです。そこに心房細動が加わると時間が短くても一気に血栓ができる。内皮機能が良い人は心房細動になってもすぐに血栓はできない。多分そういうことがあるのだと思います。だからCHADSスコア見ることがとても重要です。(*1 P. 44)

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*1:三田村秀雄『心房細動クルズス』メディカルサイエンズ社

 

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2014年4月 4日 (金)

問題の本質は思想レベルにあるのかもしれない

ぼくらが、世間が、囚われている思想。
その思想には、ほんとうに普遍性があるのか?

【思想のない人間はいない】

 じゃあ、なにがオウム事件を引き起こしたのか。個人的には、私の疑問はつねにそこに戻る。だからそれは「われわれの思想」の問題なのである。われわれがある思想を持っているからこそ、オウム事件が発生する。もっとも、世間の人はそう考えないためのまず第一の予防策として、「自分には思想などという立派なものはない」「そんなものはだれか偉い人が持つものだ」という思想で理論武装をする。思想がなければ、なにがあるのか。そう尋ねると、「目の前の現実がある」と答える。現実とはその場合、お金であったり、不動産であったり、人事つまり課長とか…。(中略) 私個人にしてみれば、右のようないわゆる「世間の現実」とは、むしろきわめて抽象的なものである。そうした抽象を信じることを、私はその人の思想と呼ぶ。確固たる思想を持っているのは、その意味では私のほうではない。世間の人々なのである。

(養老孟司『養老孟司の大言論Ⅱ 嫌いなことから、人は学ぶ』新潮文庫 P. 14-15)

 思想のない人間はいない。そして「思想とは、考えることだけではなく、同時に信じるものである」。だから「思想がない」と考え、信じることも、「思想がないという思想」になってしまうわけだ。

 先日、EBMで有名な名郷先生が「風邪に必要なのは抗菌薬でなく休み。症状を抑える薬は少しほしい」とツイートされていたので、「休み+漢方薬のほうが早く治るのでは? 証さえあえば」と絡んでみたら、次のような返信をいただいた。

 「医療で早く治るという思想が休める世の中を邪魔するんです。早く治らなくていいんですよ。ゆっくり治す間、ゆっくり小説でも読ませてくれ。早く治ったら、最後まで読めないじゃないか!」

 薬剤師として、患者さんに早くよくなってほしいと思って薬をお渡しする。患者さんも早く治りたいとカゼ薬を受け取る。このどちらも現代思想の虜なのだ。名郷先生の上位階層からの、思想レベルの指摘がなければ、たぶん一生、その思想に気がつくことはなかったかもしれない。

【思想なしには人間は生きられない】

 心が個人的だという思想は、思想は社会の問題ではないという暗黙の了解をもたらす。社会で共有するものと思われていないのである。したがって思想的事件と見られるオウム真理教事件を、「破防法で取り締まれ」ということになるのである。末端の行為を法で取り締まっても、思想には関係ない。そこが思想の強いところであり、恐ろしいところなのである。

  (中略)

 八紘一宇などという、いまでは意味不明な言葉を普遍的でない考えを思想として押し付け、その結果がよくなかったから、思想一般を消してしまうという思想に転換するのは、明らかに間違いである。「普遍性のない考えを思想として押し付けたからだ」というのが正解であろう。

 それなら普遍的な思想がありうるのか。それこそ愚問というべきであろう。普遍的だから思想というのである。それを信じないからこそ、すべての思想から「下りた」のが、戦後の日本だった。だからこそオウムの発生なのである。なぜなら思想なしに人は生きられないからである。

(養老孟司『養老孟司の大言論Ⅱ 嫌いなことから、人は学ぶ』新潮文庫 P. 21-23)

 普遍的思想。それは誰もが認めざるを得ないことと言ってもいい。ということは、カゼを医療で早く治すこと、それが普遍的ではないのは先に見たとおり。ましてや普通のインフルエンザのときに、抗インフルエンザ薬を服用して、罹患期間を一日短縮するなんて、まさに現代思想の奴隷のようだ。

 では、その思想の問題をどうすればいいのか。

 それは「思想の中身を同じにする」ことではない。思想というものがなにか、それを明瞭に把握することである。普遍とはなにかを明瞭にするといってもいい。(同書 P. 25)

 じぶんの行為が、ある思想の枠組みの中で行われていることが把握できるか? 名郷先生と養老先生にいいきっかけを頂いた。

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