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2014年2月28日 (金)

2014年2月のコラム ~「エステル結合」そして「Child-Pugh分類」~

2014年2月の「薬局にソクラテスがやってきた
抗インフルエンザ薬の話題と肝機能について
「エステル結合」と「Child-Pugh分類」

【第2回】

2014/02/04 「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」

 構造式ネタ。関連の薬歴公開は「CASE 133 抗インフルエンザ薬の構造式」です。

 代謝を受けて構造式がどのように変化していくか。「エステル結合」が見抜けるかどうかがポイントです。

 プロドラックの多くがエステル系のプロドラックなので、エステル構造を発見すれば、それはプロドラックである可能性が高い。

 リレンザとイナビルの代謝物ではメチル基一つの違いにすぎず、これでは薬物過敏症は免れません。が、このメチル基一つが半減期を大きく伸ばしているわけです。

 あと余談ですが、イントロで話題にしたタミフル・ラピアクタの耐性の話も構造に由来します。側鎖にペンチルユニット(タミフル・ラピアクタ)を持つか、グリセロールユニット(リレンザ・イナビル)を採用しているかの差だそうです。

【第3回】

2014/02/18 「肝機能って、ASTやALTの値を見れば分かるんですよね?」

 病態ネタ。関連の薬歴公開は「CASE 54 本当の肝機能」です。

 副作用で肝臓がやられるときには、真っ先にASTやALTが上昇してきます。逆にいえば、服用初期に一般でいうところの肝機能、つまりASTやALTのモニタリングが義務つけられている薬は副作用としての肝障害(多くはアレルギー性)に注意が必要といえます。

 今回のケースは肝臓が弱っている方に、この薬を、この量を投与すると過量や蓄積による副作用が起きてしまいますって話です。こういうときには添付文書のどこかに「Child-Pugh分類」が出てくることが多い。

 そして軽度の、中等度の、重度の肝障害というときの重症度分類は、ほとんどの場合、この「Child-Pugh分類」に基づいた分類のようです。

 さいきんの添付文書は親切になってきたので、かっこ書きで教えてくれています。

 イグザレルトの禁忌

中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類B又はCに相当)のある患者[出血の危険性が増大するおそれがある.]

 ベタニスの禁忌

重度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア10以上)[血中濃度が過度に上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]

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2014年2月21日 (金)

補中益気湯とその派生処方

補気剤といえば「75→43→41」。
41を136にすると、「上へ」のイメージが「下へ」に。
夏バテ対策用方剤。

【補中益気湯】

 No.41(補中益気湯): 黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、升麻、柴胡、生姜、大棗

 
 適応:脾気虚、気虚下陥

 四君子湯から茯苓を除き、黄耆、当帰、陳皮、升麻、柴胡をくわえると補中益気湯となる。

 
 気虚下陥は「ききょげかん」と読み、その字の通り、下に陥ちる、下がることを意味する。胃下垂のような内臓下垂には西洋薬は打つ手なしだが、漢方なら対応できる。「気虚+内臓下垂」とくれば、補中益気湯しかない。

 気虚下陥に効き目のある生薬といえば黄耆だ。黄耆には補気とともに気を上昇させる作用がある。補中益気湯の主薬はこの黄耆である。人参と黄耆は補気薬の王様だ。気虚がひどいときは、四君子湯でもなく六君子湯でもなく、黄耆と人参を含んだ補中益気湯がよい。

 さらに、疲れると熱が出る、夕方になると熱が出るといったタイプで自汗にもよく効く。「気虚+発熱」も補中益気湯を用いるポイントだ。

【補中益気湯の派生処方】

 No.136(清暑益気湯): 黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、麦門冬、五味子、黄柏

 
 適応:気津両虚

 補中益気湯から升麻、柴胡、そして生姜と大棗の組み合わせを除き、清熱の麦門冬、止汗の五味子、消炎の黄柏をくわえると清暑益気湯となる。

 升麻や柴胡は上へのイメージだが、麦門冬・五味子・黄柏はどれも下げるイメージで、汗の出過ぎや興奮を鎮めるのによい。

 疲労感や疲れやすい、食欲不振といった「気虚」の症状や口渇や尿量減少などの「津虚」の症状、そして発熱や腹痛、下痢などの「湿熱」の症状。これらの二つないし三つの症状が同時に見られるときに適した方剤となっている。

 つまり、補中益気湯を夏バテ対策向けにつくり変えた方剤といえる。

【投薬時の注意点】

 No.136(清暑益気湯): 炎症症状が強い時や発熱時には服用しない。

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2014年2月14日 (金)

安心処方infoboxのサーチ実践例をまとめてみました

医師・薬剤師向けのサイト「安心処方infobox」
副作用サーチと相互作用サーチ。
実践例を監修しています。ぜひ使ってみてください。

【安心処方infobox】

 副作用サーチと相互作用サーチの二つの検索機能があります。慣れると便利です。時間の節約。思考の道具。

Photo

【副作用サーチ実践例】

2010/07/27  CASE24. ARBによる白血球減少症

2011/01/24  CASE30. 副作用サーチの結果をトレースレポートに

2011/03/22  CASE32. 副作用名を思いつかないケース

2011/06/27  CASE35. 副作用サーチの検索のポイント

2011/08/22  CASE37. 副作用サーチで資料作り

2013/11/25  CASE64. ACE阻害薬による味覚異常

2014/03/24  CASE68. 「スタチンが高血糖をひきおこすか?」スタチンをまとめて検索する

2014/05/26 CASE70. OTC医薬品の副作用を検索する

2014/07/28  CASE72  α1ブロッカーによる射精障害

2014/09/22  CASE74  脂質異常症薬と脱毛 ~検索しながら考える~

2014/11/25  CASE76. ループ系利尿薬で女性化乳房の報告のあるものとないもの

2015/01/26 CASE78. 血圧低下の報告のない抗血小板薬は?

2015/03/23 CASE80. 乳汁分泌の副作用のある薬は?

2015/05/25 CASE82. DPP-4阻害薬による血小板数減少

【相互作用サーチ実践例】

2010/10/28  CASE27. 相互作用サーチでうらおもて検索

2014/01/27 CASE66. チラーヂンS-プロマックの併用注意をうらおもて検索する

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2014年2月13日 (木)

カテゴリを再考しました。

2014年2月カテゴリを再考
たいへんでした(>_<)

【薬歴やコンプライアンス関連】

  01、SOAP

  02、薬学用語

  03、コンプライアンスや薬識など

   *これらのカテゴリは意外に勉強する機会が少ないかも

【薬剤師の技術】

  04、薬理学(副作用学を含む)

  05、体内動態学(相互作用学を含む)

  06、製剤学(GEを含む)

  07、構造式

  08、漢方

  09、漢方薬を学ぶ「基本8処方とその派生処方」

   *ぼくが考える薬剤師の中心技術!

【病態】

  10、腎臓

  11、肝臓

  12、心臓

  13、その他の病態

  14、妊婦・授乳婦

   *特殊な病態への投与のときこそ薬剤師の出番

【その他】

  15、添付文書にまつわるルール

  16、今月の1冊(ひのくのノ本棚)

  17、今月のコラム(DI online)

  18、安心処方infobox実践例

  19、日記・雑記

  20、勉強会・学会

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2014年2月 7日 (金)

「読書という行為は、それ自体のためにするものではない」

読書はそれ自体には意味のないシンボル行為である。
現代における「本を読む根本の動機」とは?

【読書は「合目的的行為のための手段的行為への代置行為」】

 それ自体が目的ではない行為が起こっているあいだ、私は他方でできるかぎり本を読むようにする。ではなんのために本を読むのか。読書に目的はない。ハウ・ツーものならともかく、読書はふつう合目的行為ではない。こうした私の心理状況を整理するなら、私にとって読書とは純粋ではない行為の象徴なのである。それ自体が目的ではない行為、そうした不純な行為をやむをえず自分が行っているとき、同時に私は読書をする。それは、現在の行為が純粋な行為ではないことを、私自身に対して示している行為なのである。

(養老孟司『養老孟司の大言論Ⅰ 希望とは自分が変わること』新潮文庫 P. 150)

 なるほど。これは指摘されるとじつにその通り。たとえば、どんな本を読むのかといえば、おもしろそうな本やなんとなく読んでおいたほうが良さそうな本を読むわけで、本を選ぶ段階から明確な目的があるわけではない。ましてや、そういう本を読むこと自体には、たしかに目的がない。ほぼ習慣だ。

 では、どんな時に本を読んでいるかとふりかえると、細切れの時間ややりたくないことをしないといけないときのような気がする。

 細切れの時間というのは、まとまった時間ではないので、「合目的的行為のための手段的行為」をすることができない。その「代置行為」が読書というわけだ。

 また、やりたくはないけれどしないといけないとき、たとえばテスト勉強のようなとき、なんとなく目に入った本を(テスト期間中なのに)読んでしまう。これも「合目的的行為のための手段的行為の代置行為」といえよう。つまり「現在の行為が純粋な行為ではないことを、私自身に示している」わけだ。

 
【本を読む根本の動機】

 八重洲のブックセンター本店の前に二宮尊徳の像が立っているのは、なんとも象徴的である。店のほうは、読書という行為に重点を置いて、あの像を置いているのであろうが、じつはいまでは、薪を背負うほうが重点のはずである。いまの若者は、薪なんか、背負うわけがないからである。つまりあの像は、現代社会を背景とするなら、「薪を背負うことの薦め」であって、読書の薦めではない。その意味では、八重洲ブックセンターの意図はともかく、像の展示自体は正しいというしかない。「若者よ、薪を背負え、薪を背負えば、やがて本を読むようになる」。あれはじつは、そういうややこしいメッセージとして、成功しているのである。

 いまの若者には、「尊徳の薪運び」ていどの必然性を帯びた行為すら、社会的に与えられていない。それなら本を読む根本の動機がない。読書は合目的的行為に「伴う」行為なのに、肝心の合目的的行為自体が欠けるからである。 

(同書 P.156)

 じつにおもしろい。たしかに読書は忙しいときほど、やることが明確なときほどしてしまう。つまり「本を読む時間がよくありますね」と言われる状態でなければ、読書はできないわけだ。また、休日やまとまった時間に「さあ、今日は読書をしよう」ではうまくはいかない。これも経験的によくわかる。なぜなら、読書はそれ自体に目的があるわけではないからだ。

 本を読むためには、多くの場合、時間が必要なのではない。「必然性を帯びた行為」が必要なのだ。

 そして、それに伴う行為として読書がある。現代においてそれが社会的に与えられないのであれば、自分で設定していくしかないだろう。

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2014年2月 4日 (火)

「頭の中をPOSに」(2014年3月21日 in熊本)のご案内

2014年3月21日(金・祭日)
熊本にて服薬ケア研究会のワークが行われます。
「頭の中をPOSに」特別編

【一言でいうと「離見の見」みたいなワークです】

 皆さん、服薬指導に自信はありますか? あなたが書いている薬歴、その内容に自信はありますか?

 これらの問に自信を持って「はい」といえる薬剤師は、以外に少ないのではないかと思います。この「頭の中をPOS に」のワークは、そのような薬剤師の患者応対を数段レベルアップさせる、大変ためになる演習です。

 ワークでは、模擬患者を一人おき、模擬症例を元にして、実際の服薬指導をその場で本当に患者役とやり取りしながら組み立てて行きます。そのときに、考え方の道筋を定めた「服薬ケアステップ」という方法論に沿って、「どのように服薬指導を組み立てていけば良いのか」を皆で学んでいきます。

 薬学的な注意点から、コミュニケーションの技術に関することまで、すべてを学べる薬剤師としての実力を総合的に高める演習です。用いる症例は毎回新しいものを用意しますので、同じものは一つもありません。何度も参加すると、疾患別の服薬指導の要点も、知らずに身に付いています。とにかく、誰もが一度は参加して欲しいワークです。皆様のご参加をお待ちしております。

【開催要項】

Fukuyaku

服薬ケア研究会HPならびに申し込みはこちら

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