2014年2月のコラム ~「エステル結合」そして「Child-Pugh分類」~
2014年2月の「薬局にソクラテスがやってきた」
抗インフルエンザ薬の話題と肝機能について
「エステル結合」と「Child-Pugh分類」
【第2回】
2014/02/04 「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」
構造式ネタ。関連の薬歴公開は「CASE 133 抗インフルエンザ薬の構造式」です。
代謝を受けて構造式がどのように変化していくか。「エステル結合」が見抜けるかどうかがポイントです。
プロドラックの多くがエステル系のプロドラックなので、エステル構造を発見すれば、それはプロドラックである可能性が高い。
リレンザとイナビルの代謝物ではメチル基一つの違いにすぎず、これでは薬物過敏症は免れません。が、このメチル基一つが半減期を大きく伸ばしているわけです。
あと余談ですが、イントロで話題にしたタミフル・ラピアクタの耐性の話も構造に由来します。側鎖にペンチルユニット(タミフル・ラピアクタ)を持つか、グリセロールユニット(リレンザ・イナビル)を採用しているかの差だそうです。
【第3回】
2014/02/18 「肝機能って、ASTやALTの値を見れば分かるんですよね?」
病態ネタ。関連の薬歴公開は「CASE 54 本当の肝機能」です。
副作用で肝臓がやられるときには、真っ先にASTやALTが上昇してきます。逆にいえば、服用初期に一般でいうところの肝機能、つまりASTやALTのモニタリングが義務つけられている薬は副作用としての肝障害(多くはアレルギー性)に注意が必要といえます。
今回のケースは肝臓が弱っている方に、この薬を、この量を投与すると過量や蓄積による副作用が起きてしまいますって話です。こういうときには添付文書のどこかに「Child-Pugh分類」が出てくることが多い。
そして軽度の、中等度の、重度の肝障害というときの重症度分類は、ほとんどの場合、この「Child-Pugh分類」に基づいた分類のようです。
さいきんの添付文書は親切になってきたので、かっこ書きで教えてくれています。
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