« アイデンティティにまつわる問題 | トップページ | 漢方薬の新しい副作用 »

2014年1月10日 (金)

透析患者へのファムビル

腎機能低下患者への抗ウイルス薬。
CLcrに応じた用量でも副作用は起こっている。
透析中の場合は?

CASE 154

65歳 男性 

処方内容:
Rp 1) ファムビル錠250mg 3錠 / 分3 毎食後 7日分

患者のコメント: 「下唇と鼻の下にヘルペス。痛くてね・・・」

患者から得られた情報: 
① 他科にて透析施行中、併用薬多数
② 透析は週3回、今日これから透析予定あり

疑義照会:
(内容)過量。透析後に1錠のみを提案。
(回答)Rp 1) → 2)へ変更
        Rp 2) ファムビル錠250㎎ 1錠 / 分1 透析直後 3日分

□CASE 154の薬歴
#1 ファムビルは透析直後のみに服用する
  S)下唇と鼻の下にヘルペス。痛くてね・・・
 O) 疑義にてファムビル透析直後のみへ
    今日これから透析を受ける
 A) 透析スタッフの協力をしてもらったほうがいいだろう
 P)ヘルペスの薬は透析をしないとほとんど身体から抜けないので、透析直後のみの服用でOK。こちらから透析の病院に電話しておくので、薬をあちらのスタッフに預けておくとよい。

□解説
 皮膚科からの処方せん。抗ウイルス薬は腎排泄型薬剤の代表格なので、腎機能の低下がないかの確認をかならず行う。すると患者は透析施行中だと言う。

 ファムビルの添付文書には 「血液透析患者には本剤250mgを透析直後に投与する。なお、次回透析前に追加投与は行わない」とある。

 また、IFには

血液透析患者に関する解説

外国において、血液透析24 時間前の腎不全患者3 例を対象に、ペンシクロビル5mg/kg を1時間かけて点滴静注し、4 時間の血液透析を施行したところ、ペンシクロビルの血漿中濃度が約75%低下することが認められた。血液透析患者では腎機能が低下しており本剤はほとんど排泄されないので、本剤の250mg を透析直後に投与し、次回の透析までの期間は本剤を投与しないこと。

との記載がある。つまり透析しないと薬がほとんど抜けないわけだ。

 なお、服薬は早い方が望ましいので、初日に透析がない場合、その日は服用する。透析がある場合は透析後となる。そして、週2回の透析なら2日分、週3回の透析なら3日分、透析直後の服用でいいわけだ。

 患者は皮膚科受診後、このまま透析を受けにいくところだったので、3日分で事足りる。疑義照会にて変更後、患者に説明を行う。

 また透析直後に服用ということは、とうぜん透析施設で服用することになる。であるならば、透析スタッフの力を借りれば間違いのリスクは減るし、副作用モニタリングにもよいだろう。

□考察
 抗ウイルス薬は腎排泄型で、その用量にはとくに注意を払う。クレアチニンクリアランスに応じた用量で投薬したとしても、じっさいに副作用は起こっている。透析レベルになると、ほとんど抜けないと考えたほうがいいのだろう。

 抗インフルエンザ薬のタミフルは透析を行っても、「カプセル75mg単回投与は、腹膜透析あるいは血液透析を実施する末期腎障害患者に対し、5日間にわたりインフルエンザウイルスに効果を示す薬剤濃度を維持することが示され」ている。

 今回のファムビルは透析による除去率が75%あるため、透析後の服用となっている。ではバルトレックスはどうか? 

 クレアチニンクリアランス(mL/min):<10  500mgを24時間毎

 「血液透析を受けている患者に対しては、患者の腎機能、体重又は臨床症状に応じ、クレアチニンクリアランス10 mL/min未満の目安よりさらに減量(250mgを24時間毎等)することを考慮すること。また、血液透析日には透析後に投与すること」となっている。

 一つ苦言を述べさせていただくと、250mgを勧めてはいるが、250mg錠がないうえに、割線もなく500mgを割るとかなり苦い(顆粒製剤をすぐに手配できればいいのだろうけど…。ジェネリックで250mg錠が発売されるのを期待しよう)。

 本題に戻る。バルトレックスも4時間の透析で70%が抜けるので、透析日には透析後に服用する。しかし、250mgを24時間毎での服用を提案しており、ここがファムビルと違う。

 初日以外は透析のない日に服用のないファムビルに比べるとバルトレックスは、用量を減らしているとはいえ、透析回数によっては蓄積していくのではないだろうか。だから、精神神経系の副作用が多いのでは。そもそもファムビルの用法のほうが理論的にも適っているし。

 バルトレックスの透析患者への用法もファムビルに倣ったほうがいいかもしれない。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

 *蛇足*
 クレアチニンクリアランスが低くなると、バルトレックスもファムビルも最終的には、単純疱疹だろうと帯状疱疹だろうと用量が変わらなくなってしまう。健常人だと2倍の差があるのに。この点も腎機能低下患者において、副作用が多いとされる原因の一つなのかも?

|

« アイデンティティにまつわる問題 | トップページ | 漢方薬の新しい副作用 »

(10) 腎臓」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 透析患者へのファムビル:

« アイデンティティにまつわる問題 | トップページ | 漢方薬の新しい副作用 »