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2013年10月25日 (金)

ARBによる尿酸排泄作用

ARBの中に尿酸を低下させるものがある。
腎組織移行性に起因するのか?
ニューロタンとイルベタン(アバプロ)

CASE 150

男性 65歳

処方:
Rp 1)ミカルディス錠40mg 1錠 / 1x朝食後 28日分
Rp 2) レバミピド錠100mg 3錠 / 3x毎食後 28日分
Rp 3) プロテカジン錠10錠 / 1x夕食後 28日分
Rp 4) フェブリク錠10mg 1錠 / 1x朝食後 28日分

*Rp 4) が初処方

患者の訴え : 「はじめて尿酸が8になった。ずっと7ちょっとだったのに。薬の副作用じゃないの?」

患者から得られた情報:
① 尿酸:8.0、以前は7.1~7.2くらいだった
② 痛風発作(-)

薬歴から得られた情報:
① 3ヵ月前に朝の血圧が高めだったために
   ニューロタン錠50mg 1錠 → ミカルディス錠40mgに変更
② 降圧剤変更後、血圧は安定している
③ 腎臓NP
④ 服薬指導の傾向:高血圧→脳卒中、動脈硬化

□CASE 150の薬歴
#1 誤解を解き、UAのコントロールを理解する
  S) はじめて尿酸が8になった。ずっと7ちょっとだったのに。
   薬の副作用じゃないの?
 O) UA:8.0 → フェブリク(10)追加
    3ヶ月前に早朝高血圧対策として、ニューロタン(50)→ミカルディス(40)
      この当時のUA:7.1~7.2
 A) ニューロタンが尿酸を下げていたのだろう。
   誤解を解き、UAをコントロールするように意識を向けたい。
 P)ニューロタンには尿酸を下げる効果があったが、ミカルディスにはない。
   そのぶん上がったのかも。しかし、ミカルディスのほうが早朝高血圧には適。
   このままだと痛風だけでなく動脈硬化にもよくないので、
   フェブリクで尿酸もコントロールしていきましょう。
 R) 前の薬がよかったな~ → トレースレポート提出 
 
□解説
 「薬の副作用じゃないの?」にはびっくりした、。なるほど患者にとってみれば、尿酸が8になるのは初めてで、さいきん変わったことと言えば、降圧剤の変更しかないというわけだ。

 ニューロタンの付加価値的な効果である尿酸低下作用は、UA7以上の患者で平均0.7くらい下げると言われている。また、この効果は用量依存的でもあり、25mgでは-0.32、50mgでは-0.77、100mgでは-1.25というデータがある(Nakashima M et al,Eur J Clin Pharmacol 1992; 42(3) 333-335.)。

 ニューロタン服用時の尿酸が7.1~7.2で、いまが8.0なので、だいたい計算通りということになる。

 これを副作用と勘違いされたら、その後の服薬行動に影響を与えかねない。そして、尿酸コントロールの必要性を理解してもらう必要もある。

 「前の薬がよかったな~」とのコメントは、ごもっとも。医師にトレースレポートで経過と患者の感想を伝えることにした。

 
 
□考察
 ARBの中でも尿酸排泄作用のあるのは、ニューロタンとイルベタン(アバプロ)の二剤だけである。高尿酸血症のある患者には向いているARBといえる。

 では、なぜ、この二剤だけに尿酸排泄作用があるのか。その理由はわからない。ただ、この二剤は腎組織への移行性という面で、他のARBより優れているようだ。

 ARBはAngⅡ依存性の輸出細動脈血管抵抗を減弱し,糸球体血行動態を改善し,過剰濾過を改善することにより,アルプミン尿,蛋自尿が減少し,腎障害の進展を抑制することに加えて,糸球体構成細胞に直接作用して腎保護効果を示していると考えられている。これら腎臓を構成する種々の細胞にARBが作用するためには,血漿中の薬物濃度に加えて,腎組織での濃度がその作用強弱に影響を及ぼす。図2は,14Cで放射ラベルしたそれぞれのARBをラットに経口投与した後,最高血漿中濃度到達時点での腎臓/血漿中の放射濃度比を示している。イルベサルタンとロサルタンは,それぞれピークの血漿中濃度の1.6倍と1.4倍程度の値を示したが,他のARBは血漿中濃度よりも低値を示した。

Arb

 <Progress in Medicine Vol. 29 No.8 (2009-8) P. 94(1992)-99(1997)>
 

 ラットの試験とはいえ、この差は偶然だろうか。

 残念ながら、尿酸のガイドラインの目標値である6まで下げるような効果は、先の二剤にはない。これらの作用は尿酸が7以上の場合にのみ確認されている。しかし、尿酸を7くらいまで下げられれば充分と医師が考えている場合には助けになる。場合によっては、薬の数を一つ減らすことができるかもしれない。

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H25.11.27 追記

ニューロタンとイルベタンはURAT1阻害剤だった。

 したがって,URAT1の阻害効果を持つベンズブロマロン,プロベネシド,ロサルタンは近位尿細管での再吸収を阻害して尿酸の排泄促進により血清尿酸値を低下させる.実際にベンズブロマロンやロサルタンは野生型URAT1遺伝子を持つ健常者の腎臓での尿酸排泄を促進するが,URAT1欠損患者では尿酸排泄を促進しないことから,ヒトでベンズブロマロンとロサルタンはURAT1を阻害することが臨床的に報告されている7).これらの事実は,生活習慣病に合併する尿酸排泄低下型高尿酸血症の治療にはURAT1の阻害薬であるベンズブロマロンやロサルタンが効果的であることを示す.また近年,イルベサルタンでもURAT1ならびにURATv1を阻害できるという報告がある。

*鳥居薬品 ユリノームHPより引用 

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2013年10月18日 (金)

記事ならびに講演のご案内

DIクイズ、ブログと違ってたいへんです。
講演のテーマは「勉強」。この概念を一新する。


【日経DIクイズ】

 日経ドラッグインフォメーション(日経DI)の2013年8月号より、日経DIクイズの執筆陣に加わりました。どうぞよろしくお願いします。

 その8月号の記事が日経DIクイズ(15)に掲載されました。

【日経DIデジタル】

 DI記者の「この人に聞きたい!」のコーナーに取り上げていただきました。ぜひ、ご覧ください。

 ⇒ 「後輩たちに“踏み台”にしてもらうために、薬歴を公開した」

【講演案内】

 このブログでいちばん多い質問は「どうやって勉強してるんですか?」といった勉強法に関するものです。どういった勉強法がいいのか? といった問題は、人あるいは環境によって異なるもので、ぼくがやっていることが他の人に効果的かというと、そうではないと思います。

 ただ、ぼくの考え方や具体的にやっていることを公開することで、なにかのきっかけになれば幸いです。

1、薬学生薬剤師キャリアアッププレゼン交流会

   日時:2013年10月27日(日) 13時~17時
   場所:変幻自在(東京、浜松町) 

 薬学生と薬剤師のためのキャリアアップ・プレゼンイベントです。プレゼンターは5名くらい。その他、ライブやプレゼン講義、17時からは第2部としてワイン会的交流会も企画されています。とても楽しみな内容です。

 プレゼンは一人10分前後なので、勉強の捉え方・考え方について、ざっくりとお話したいと考えています。

2、服薬ケア研究会第3回大会

   日時:2013年11月24日(日) 10時~17時
   場所:昭和大学旗の台キャンパス

 教育講演を仰せつかりました。こちらは1時間たっぷりです。勉強法や勉強会の具体的な内容やそのコツなどをご紹介したいと思います。

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会誌に掲載予定の抄録を転載します。

 Blog「薬歴公開 by ひのくにノ薬局薬剤師。」を平成201030日にスタートして、丸5年が経過した。このBlogが名刺代わりの機能を果たし、この度、教育講演を仰せつかるに至ったと考えている。

 しかし、Blogはわたしの取り組みの一環にすぎない。文字通り、一つの環にすぎない。このままではダメだと焦燥感を抱えていた一薬剤師が、服薬ケアに出会い、何を考え、何に取り組んできたかを時間の許すかぎり紹介したい。

 医療人としての薬剤師には、薬学的な力と人間的な力の両方が必要と言われる。これに異論の余地はないだろう。しかし、その両面に対しての努力を続けているかと問われたときに、自信を持って、具体的に答えられる薬剤師がどれくらいいるだろうか。

とくに人間的な力については、定義の問題もあるだろうし、可視化できるものでもない。そこをあえて可視化し、マッピングを行う。そして、それを続けることでの成熟を信じる。そんな一例を紹介する。

どうやって勉強していけばいいのか。薬学的な力においても、この質問に答えることは容易ではない。そもそもそれは、人によって答えの異なるものだ。この点についても人間的な力のそれと変わらない。だから、ここでも一薬剤師の取り組みを紹介することによって、何かのきっかけになっていただければ、と考えている。しかしながら、内容は各人によって違えど、その手法などについては参考になるのではないだろうか。

その一例として現在運営している四つの勉強会を下記に記す。

1、月光会(テーマ自由の知的生活を目指す勉強会、隔月)

2、RS会(構造式と薬理作用の勉強会、隔月)

3、POS勉強会(薬歴と病態の勉強会、毎月)

4、火曜(夜)医局勉強会(医師と合同のメーカー勉強会、毎週)

このような他の環を紹介することによって、その環のつながりから、どういう全体像になっているのかを提示したい。そして、薬剤師の問題点とその対策についての私見を述べたいと思う。

 

 

 

 
 

 

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2013年10月11日 (金)

アリミデックスとエビスタの併用を回避する

AI剤とSERM
併用禁忌とも併用注意でもないこの組み合わせ。
なぜ回避する?

CASE 149

女性 60歳

副作用歴:スタチン→発疹や脱力感、ゼチーア→発疹、コレバイン→便秘や腹痛

他科より併用薬:アリミデックス錠1mg 1錠 / 1x朝食後 180日分

処方:
Rp 1)ネキシウムカプセル20mg 1錠 / 1x朝食後 28日分
Rp 2) レバミピド錠100mg 3錠・ユベラNソフトカプセル200mg 3C / 3x毎食後 28日分
Rp 3) エビスタ錠60mg 1錠 / 1x朝食後 28日分

*今回よりエビスタが追加となっている。

患者の訴え :
「骨量が少し低いって。乳癌の薬のせいだろうって。でもコレステロールも下げられる一石二鳥の薬を出しておくって。ほんとに下がるの? わたし、今までどの薬も合わなかったから心配で。合わないようなら、止めていいって先生は言っていたけど」

患者から得られた情報:
① LDL-C:170
② スタチン系やゼチーアなども副作用で継続できずにユベラNのみで対応するも、コントロール不良
③ アリミデックスはH23.10より開始。5年間服薬予定。関節痛やこわばりなどはみられない。

疑義照会:
(内容)アリミデックスとエビスタを併用すると、アリミデックスの再発予防効果減少
(回答)Rp 3)→Rp 4)へ変更
    Rp 4) エディロールカプセル0.75μg / 1x朝食後 28日分

□CASE 149の薬歴
#1 骨粗鬆症薬の変更を理解する
  S)骨量が少し低いって。乳癌の薬のせいだろうって。
   コレステロールも下げられる一石二鳥の薬を出しておくって。
 O) エビスタ追加
   他科にてアリミデックス服用中
 A) エビスタ併用にて、アリミデックスの乳癌再発予防効果減少
 P)疑義照会にてエディロールへ変更。その旨を説明。
   Caの吸収を助けるVDを朝食後に。
   骨粗鬆症のみの効果で、残念ながらコレステロールには効果なし。
 R) あら~、残念。でもビタミンなら副作用は心配なさそうね。
 
□解説
 この患者はスタチンを何種類か試したが、発疹や脱力感などで使えず、ゼチーアもコレバインもダメ。効果は期待できないながらもユベラNを続けている状況だった。

 今回、骨量減少を受けて、医師も「一石二鳥」と表現しているように、骨粗鬆症よりもコレステロールのほうを期待していたのかもしれない。

 しかし、アリミデックスとノルバデックスを併用すると、アリミデックス単独よりもその乳癌再発予防効果がわるくなってしまう(ATAC試験)。日本乳癌学会がまとめたガイドラインにも次のような記載がある。

 一方、ラロキシフェンは閉経後女性における骨粗鬆症の治療薬として日本でも広く使用されている。しかしATACにおいてタモキシフェンとアナストロゾールの併用で有害事象が増加し、しかもアナスタロゾールの乳癌再発予防効果を阻害することが明らかとなった。ラロキシフェンも理論上アロマターゼ阻害薬との相互作用が懸念されるため、アロマターゼ阻害薬使用時にラロキシフェンを併用することは推奨されない。

(『科学的根拠に基づく乳癌ガイドライン①治療編 2011年版』金原出版株式会社 P. 154)

 よって疑義照会を行い、骨粗鬆症薬の変更を理解していただいた。

 
□考察

 ノルバデックス(タモキシフェン、TAM)は、抗エストロゲン薬と習った。それは昔の呼び名で、TAMも今ではSERM(選択的エストロゲン受容体調整薬)と呼ばれる。

 これさえ知っておけば、エビスタ(ラロキシフェン)はその登場のときからSERMと呼ばれているから、TAMとエビスタは同じ仲間だとわかる。

 もう一つ、ATAC試験の結果から、アリミデックスのようなAI剤(アロマターゼ阻害剤)とSERMの併用はNGであるということ。

 この二つを知っていれば対応できる。しかし、この併用を避けるべきだということは、添付文書に記載はなく、併用注意にもなっていない。関連項目としては以下の記載があるだけだ。

 3. 外国術後補助療法大規模比較試験
 世界21ヵ国で実施した閉経後早期乳癌患者の術後補助療法大規模比較試験において、追跡期間の中央値約68ヵ月時点での再発・死亡・対側乳癌の発生率は、アナストロゾール群18.4%(575/3,125例)及びタモキシフェン群20.9%(651/3,116例)であった。無病期間のハザード比は0.87(95%信頼区間0.78-0.97、p=0.01)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して乳癌再発リスクを13%低下させた。遠隔再発までの期間のハザード比は0.86(95%信頼区間0.74-0.99、p=0.04)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して遠隔転移の再発リスクを14%低下させた。また、ホルモン受容体陽性患者における対側乳癌のハザード比は0.47(95%信頼区間0.29-0.75、p=0.001)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して対側乳癌発生リスクを53%低下させた。なお、追跡期間の中央値約47ヵ月時点でのアナストロゾール・タモキシフェン併用群とタモキシフェン群との比較においては、無病期間のハザード比1.04(95%信頼区間0.92-1.19、p=0.5)であり、アナストロゾールの併用による追加効果は認められなかった。
(アリミデックス添付文書より)

 乳癌の再発が起こりやすい時期は治療開始から2~3年後と言われる。今回の患者がまさしくその時期で、アリミデックスの副作用も幸いほとんどなく続けられている。この状態を邪魔するようなことはしたくない。

 ノルバデックスとエビスタでは用いられる分野がまったく異なる。が、その薬効群は同じだ。添付文書に記載がない現状では、他科の医師が知らないのは当然とも言える。

 アリミデックスを投薬する機会じたいは少ないけれども、併用薬として飲んでいるかたはたくさんいる。ならば、勉強しておくしかない。

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2013年10月 4日 (金)

「成長」のイメージ ~人間はどのように変化するのか~

成長のイメージを一新する。
「鍛える」という発想からの脱却。

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【最初から諦めない】

 一日でできるものが僅かだから、これを何十倍、何百倍してもせいぜい知れているだろう、と考えるのは当然である。ところが、やってみるとそうでもない。特に、自分でものを作っているとそれがわかる。 (中略)

 だから、最初から諦めないでほしい。とにかく、なんでも良いから、好きなことを選んで、少しずつ進めてみよう。厭きてきても、嫌になっても、ほんの少しでも良いから簡単なことを選んで進める。そうすることで、いつか素晴らしいものを体験できるはずだ。 (森博嗣『常識にとらわれない100の講義』だいわ文庫 P. 25)

 やるほど理解がしやすくなるわけだから、つまり加速的に進む。最初に大変だと思うのは、線形で理解が進むと想像するからだ。人間は、同じ作業を繰り返しても、だんだん精確で速くできるようになる。最適化されるからだ。ここがコンスタントに作業をする機械との違いである。覚えるとか、慣れるというふうにこれを表現しているが、つまりは成長だ。 (森博嗣『常識にとらわれない100の講義』だいわ文庫 P. 91)

 
 何かをはじめる前、とくに年齢がいけばいくほど、「今さら」とか「とても間に合わない」といった諦めや焦りといったものを感じていた。でも、それは、人間の成長を線形で、一次関数で捉えていたからなのだ。

 一つやれば、一つ成長する。二つやれば、二つ成長する。そういうふうに捉えていると、目標とする人は、はるか雲の上にあって、ぼくなんかには…となってしまう。でも、これが間違っている。

 人間は機械ではない。そんなに簡単に計量できるはずがない。その理由の一つが最適化だろう。そして、成長は線形的にではなく、非線形的に、二次関数のようにイメージするべきだ。

【修業とは】

 走っているうちに「自分だけの特別なトラック」が目の前に現れてくる。新しいトラックにコースを切り替えて走り続ける。さらにあるレベルに達すると、また別のトラックが現れてくる。また切り替える。

 
 そのつどのトラックは、それぞれ長さも感触も違う。そもそも「どこに向かう」かが違う。はっと気がつくと、誰もいない場所を一人で走っている。もう同一のトラックを並走している競争の相手はどこにもいない。修業というのは、そういうものです。(内田樹『修業論』光文社新書 P. 11)

 そもそも修行とは、「そんなところに出るとは思ってもいなかった所に出てしまう」ことなのである。 (内田樹『修行論』光文社新書 P. 174)

 人間の成長は非線形的なものだ。アレビアチンのように、ある用量でグーンと濃度が上昇する。入力と出力が相関しない。では、どうなるのか。

 そのイメージをこの文章はもたらしてくれる。自分の走っているトラックが切り替わる。つまり、違うステージに移行してしまう。そのときには、きっと「自分ができるとは思ってもいなかったことができるようになっている」はずだ。

【OSを書き換えるためには】

 喩えて言えば、「鍛える」というのはハードディスクの容量を増やすことであり、「潜在的な能力を開花させる」というのはOSをヴァージョンアップすることである。

 武道における身体能力の開発プログラムは、まずもって「そのような身体能力が自分に備わっているのかどうかわからない能力」を引き出すことは可能だという断定から始まらなければならない。それは、古いバージョンのOSでコンピュータを走らせているときには、次世代の高性能OSで「何ができるか」を想像することができないのに似ている。
 
 

 「鍛える」という発想そのものが、「弱さ」を構造化する。私はそのように考えている。 (内田樹『修行論』光文社新書 P. 96)

 また新しいメタファだ。こちらもわかりやすい。非線形的に成長し、新しいトラックにコースを切り替えることを繰り返すというのは、つまりOSをヴァージョンアップさせることなのだ。ここが目指すべきところだ。

 いっぽう、「鍛える」というのはハードディスクの容量を増やすことである。これはいわゆる「お勉強」と考えていいだろう。鍛えることが目的の勉強も大切ではある。でも、それではOSを書き換えることはできない。

 まずは、人間的にも、薬剤師的にも「そのような〇〇能力が自分に備わっているのかどうかわからない能力」を引き出すことは可能だという断定から始まらなければならない。

 そう、自分を信じることから始めることだ。

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