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2013年8月16日 (金)

二陳湯とその派生処方 その4

二陳湯ベースの有名な処方
高血圧の随伴症状などに釣藤散
五十肩専用薬の二朮湯

【基本処方:二陳湯(詳しくは二陳湯とその派生処方 その1を参照)

 二陳湯はあまり使われていないイメージがあるが有名な基本処方だ。主薬は半夏と陳皮。この2つは古いものほどよく効く。そして「陳」には「古いもの」という意味がある。2つの古いものだから、二陳湯というわけだ。

 No.81(二陳湯):半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜

 適応:湿痰

 主薬の半夏、陳皮には化痰(けたん=去痰)作用がある。そして、茯苓が脾の水をさばき、痰の生成を防ぐ。甘草は諸薬を調和し、半夏の毒性を除くために生姜(「半夏+生姜」の配合法則)がくわえらている。

【派生処方】

 No.47(釣藤散) : 釣藤鈎、菊花、石膏、麦門冬、人参、防風、半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜

 適応 : 肝熱、風痰

 
 熱があると風、すなわち上昇気流がおきる。

 肝熱があると、風が生じ、痰を上にもっていく。すると、めまいや頭痛がおこる。これを「風痰」という。

 二陳湯に肝熱を冷ます釣藤鈎・菊花・石膏、補剤の麦門冬と人参、肝風を防ぐ防風を加えると「釣藤散」になる。主薬は釣藤鈎で肝熱や肝陽の上昇による頭部の症状(めまいや頭痛、目の充血、いらいら、顔の紅潮)を治療する要薬である。

 
 臨床では、脳血管障害に伴う認知症や降圧剤を飲んでも自覚症状のとれない方に用いられている。血圧は上の血圧が高いタイプによいといわれている。また、降圧剤を使わないと200くらいあるのに、使うといっきに100くらいまで下がるようなタイプにも向いている。

 No.88(二朮湯) : 半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜、蒼朮、白朮、香附子、羗活、威霊仙、天南星、黄芩

 適応 : 湿ひ

 二陳湯に白朮と蒼朮を加え(だから二朮湯)、その化痰利水作用で風湿(急な水の代謝異常)を除く。他の生薬は発散性の鎮痛・鎮痙作用を示す。

 よって、湿の邪気が身体に入ってきて、だるさやしびれ、痛みをひきおこすような症状(湿ひ)に二朮湯は適している。

 
 臨床では、五十肩専用の処方として用いられている。肩が重いといった初期には二朮湯単剤で充分だが、慢性となり活動が制限されるような痛みがある場合は瘀血が生じている可能性が高い。そのような場合は二朮湯に桂枝茯苓丸加薏苡仁を加えるとよい。

 ここで駆瘀血薬として桂枝茯苓丸ではなく、桂枝茯苓丸加薏苡仁を選択するのは、薏苡仁が風湿を除く要薬だからである。

 
【投薬時の注意点】

 No.47(釣藤散):低血圧の方には用いない。また石膏が入っているので、寒がりや冷え症の方は避ける。冷服がおすすめ。

 No.88(二朮湯):ほてりやのぼせ等の陰虚のある方には避ける。
 

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