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2013年1月25日 (金)

抗インフルエンザ薬の構造式

タミフル、リレンザ、イナビル
構造式だけで判別できる?
副作用歴と構造式からの副作用を予測する

CASE 133

21歳 男性 
他科受診(-) 併用薬(-)

処方:
Rp1) イナビル吸入粉末剤20mg 2キット
 2) クラリシッド錠200mg 2錠 / 2x朝・夕食後 3日分
 3) カロナール錠200mg 2錠 / 発熱時屯用 5回分

患者のコメント: 「先生から一回だけでいい新薬を出しておくと。薬局でして帰りなさいと」

お薬手帳より: (副作用歴)リレンザ → 発疹

患者から得られた情報:
① インフルエンザA(+)、 38.7℃
② 数年前にリレンザと何種類か服薬。開始2日後に皮疹(ひどくはなかった)。
  リレンザ以外は服用歴があったため、リレンザが被疑薬。
③ タミフル服用歴(+)→SE(-)

疑義照会:
(内容)リレンザにて皮疹歴あり。イナビルも構造類似。タミフルは服用歴あり。
(回答)タミフルへ変更 Rp 1)→5)

 Rp5) タミフルカプセル75mg 2C / 2x朝・夕食後 5日分

 
□CASE 133の薬歴

#1 イナビルからタミフルへの変更を理解してもらう
  S)先生から一回だけでいい新薬を出しておくと。薬局でして帰りなさいと。
   インフルエンザA(+)、38.7℃
 O) リレンザSE歴(+)のため、イナビル→タミフル
    タミフルは服用歴(+)
 A) タミフルなら副作用は大丈夫だろう。
    疑義の内容を伝えて、理解を得る必要あり。
 P) 一回だけの吸入薬はリレンザに似ているのでまた薬疹が出るかもしれない。
   Drと相談のうえ、飲んだことがあるタミフルへ変更。
   こちらは5日間しっかりと続ける必要がある。帰宅後すぐに1カプセルを。
 
□解説
 リレンザにて発疹歴のある患者に対して、イナビルが処方された症例(ここで確認し損なっていることがあった。それは患者がお薬手帳を処方医に見せたかどうかだ。つまり、リレンザの発疹歴を把握していたかどうか)。

 抗インフルエンザ薬の構造式を下記に示す(添付文書より)。

Photo_3
 

 左から順にタミフル、リレンザ、イナビルの構造式だ。一見すると、似ているような違うような。ではリレンザとイナビルの活性代謝物を比べてみると・・・。

Photo_4

 そっくりだ。長いエステル結合を取り払ってみると、ほとんど同じだ。メチル基ひとつの違いにすぎない。代謝の違いとメチル基ひとつで半減期がこんなにも違ってくるとは。

 幸いこの患者はタミフルの服用歴がある。イナビルの代替薬としてタミフルを提案し、採用となる。

 あとは経緯を説明し、医師の説明と異なる結果になったことを理解してもらっている。

 

□考察
 用法・用量やメーカの謳い文句が異なれば、医師は「違う」薬と認識するだろう。

 ところが薬剤師は「薬の構造」からの視点を持つ。

 一方は1日2回で5日間。もう一方は1回だけで5日間持続。だが、その構造式の違いは、たったのメチル基ひとつだけ。そういう意味では、ほとんど「同じ」薬なのだ。

 今回の症例の患者にタミフルの服用歴がなかったらどうしていただろう。

 薬疹を考えるうえで、注目すべきは母核、そして側鎖。皮疹もたいしたことなかったことを考慮すると、症状にもよるが、その場合もタミフルをすすめたかもしれない。

 もちろんアナフィラキシーやショックなら話は別。迷わず、抗インフルエンザ薬は却下。君子危うきに近寄らず。

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コメント

平成25年1月 リレンザ添付文書改定

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
ショック,アナフィラキシー:ショック,アナフィラキシー(血圧低下,呼吸困難,咽頭・喉頭浮腫等)が起こることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参  考〉 直近約3年7ヵ月(平成21年4月1日〜平成24年11月5日)の副作用報告(因果関係が否定できないもの)・アレルギー性ショック関連症例:3例(うち死亡1例)企業が推計したおおよその年間使用者数:約170万人(平成23年10月〜平成24年4月)
販売開始:平成12年12月

http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/file/PMDSI299.pdf#page=7

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2013年3月 1日 (金) 00時20分

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