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2012年11月 9日 (金)

消化管運動機能改善薬の用法

REと便秘でガスモチンを服用中
食欲がないと訴える患者
ガスモチンの用法はどうなっている?

CASE 129

68歳 女性 
他科受診(-) 併用薬(-)

定期処方:
Rp1) ガスモチン錠5mg 3T ・ マグラックス錠330mg 3T / 3x毎食後
  2) パリエット錠10mg 1T/1x夕食後
  3) アローゼン顆粒 1g/1x就寝前

追加処方:
Rp4) フェロミア錠50mg 1T/1x朝食後

患者のコメント: 「また貧血って。食べようと思うけど、さいきん食欲がなくてね」

患者から得られた情報: 
① フェロミア服用歴(+)
② 自覚症状:階段にて息切れ(+)、黒色便や血便(-)
③ 逆流性食道炎と便秘にて治療中
④ ガスモチンも指示通りに毎食後に服用中

□CASE 129の薬歴
#1 食欲不振に対してガスモチンを食前に服用する
  S) また貧血って。食べようと思うけど、さいきん食欲がなくてね。
 O) ガスモチンは指示通りに毎食後に服用中(RE、便秘)
 A) ガスモチンを食前服用することで食欲改善につながるのでは
 P) REと便秘のために飲んでいるガスモチンを食前に飲んでみると、
   胃腸の動きが良くなって食欲が出てくるかも。試してみて。
 R)裏技ね。
 
□解説
 患者は逆流性食道炎と便秘のために、ガスモチンを3x毎食後にて服用を続けている。とくに大きな問題もなかった。この日は貧血の指摘を受け、食欲がないからだろうとの自己分析をされている。黒色便や血便など出血を疑うような症状もない。

 そこで追加処方のフェロミアではなく、定期薬のガスモチンの用法に焦点をあてる。

慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ,悪心・嘔吐)
通常,成人には,モサプリドクエン酸塩として1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する.

 この薬は食前での投与も可能であり、消化管運動が亢進した結果、食欲不振の改善につながるかもしれない。

□考察
 ガスモチンの用法は食前でも食後でも可能だが、類薬であるナウゼリンやプリンペラン、ガナトンといった消化管運動機能改善薬の用法は、1日3回食前と相場が決まっている。

 しかし実際には、今回のガスモチンのように毎食後で処方されるケースが少なくない。

 なるほど確かに、効果があるなら食後の方が飲み忘れも少ないだろう。だが、もしこの患者に食欲がないからと

 プリンペラン錠5mg 3錠/3x毎食前

 が追加されることになったとしたら?

 じつはこういうケースを過去に経験したことがある。そしてそのときも、ガスモチンの用法を食前に変えることでプリンペランを中止することができた。

 効果が不充分なために一時的に薬を併用する。それはそれでかまわない。でもちょっと用法を提案してあげるだけで、薬が増えずに済む、患者が楽になれるなら、素敵な提案だと思いませんか?

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(04) 薬理学(副作用学を含む)」カテゴリの記事

コメント

ガスモチンの食前投与は、効果を期待できますよね。

今回の処方薬だと、パリエットも食前投与にしてみる手もありそうです。
実際、PPIは米国では食前投与を推奨するケースもあるようです。

あとは、以前ガン末期の患者患者さんの「吐き気や食欲不振」に対する
ツムラ43(六君子湯)のアイスキューブも使えると思います。

やり方は…
六君子湯をお湯で溶かし、製氷皿に流して凍らせるだけです。
1日の内で、適当な間隔でアイスキューブをなめてもらうとよいでしょう。
(正確なお湯の量を忘れてしまいましたが…1包あたり氷9個分にしていました)
私も試してみましたが、漢方独特の味の癖がかなり消えていました。
凍らせる前に少量の蜂蜜を加えるのもよさそうです。

投稿: sakura | 2012年11月 9日 (金) 22時24分

こんばんは。おつかれさまです。

PPIの食前、知りませんでした。そうなんですね。

「高齢者の食べたくない、おいしくない」はまず六君子湯ですよね。
だがしかし、アイスキューブ! これまた知りませんでした。

こちらはまず自分で試してみます(でも六君子湯はおいしいから、自分にはあまり意味がないかな)。

サポート情報をありがとうございました

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2012年11月 9日 (金) 22時58分

レスありがとうございます。
アイスキューブのレシピが見つかったので、載せておきます。

(用意するもの)
ツムラ43…1包
耐熱容器
製氷皿
お湯…40ml
水…60ml

(制作手順)
1)耐熱容器に、ツムラ43を1包とお湯40mlを入れて溶かす。

2)そこに水60mlを入れて冷ます。

3)製氷皿に移す。(氷9個分になるよう注いでいく)
 ⇒冷凍庫で凍らせる。

これで完成です。
お湯の量などは、アレンジしてみるといいと思います。

ちなみに…
ツムラ14(半夏瀉心湯)のアイスキューブは、抗がん剤のSE(口内炎)
にも有効ですよ。

投稿: sakura | 2012年11月11日 (日) 13時19分

おおっー。ありがとうございますm(__)m

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2012年11月11日 (日) 17時32分

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