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2012年10月12日 (金)

最も起こり得る副作用を患者はどのように表現しているのか

降圧にともなう副作用
最も起こり得る、薬理作用に起因する副作用
患者の表現、その言葉の中身を確認する

CASE 127

48歳 女性 

前回の処方(初来局):
Rp1) ブロプレス錠8mg 1T・ダイアート錠30mg 1T / 1x朝食後 7日分

今回の処方(二回目):
Rp2) ブロプレス錠8mg 1T・ダイアート錠30mg 1T / 1x朝食後 28日分

患者のコメント: 「この薬で眠くなったりすることあります? 仕事があるので眠気の少ない薬がいいのですが・・・」

薬歴から得られた情報:
① 両足の浮腫、心肥大、BP170/110にて受診
② 浮腫以外は自覚症状なし

患者から得られた情報:
① 二日前まではBP160台、今は140台まで下がっている。
② 両足の浮腫は改善。
③「薬を飲んでからしばらくして、ボーっとなることがあるので、眠くなるのかなと思って。眠気が出るのなら、仕事があるから困るなと思って」

□CASE 127の薬歴
#1 降圧による副作用に注意しながら継続する
  S) 薬を飲んでからしばらくして、ボーっとなることがあるので、眠くなるのかなと思って。眠気が出るのなら、仕事があるから困るなと思って。
 O) 血圧推移:前回170/110→二日前まで160台→現在140台
   両足の浮腫は改善(もともと浮腫以外の症状はない)
 A) 降圧にともなう症状だろう。薬識是正が必要。
 P) もともとむくみ以外に症状がなかったということは、
   つまり血圧の高い状態に身体が慣れていたということ。
    それが血圧が下がってきたために、ボーっとなることがあるのでしょう。
   慣れてくればなくなるので、しばらくは運転や仕事などに気をつけて。


□解説

 このケースでも、質問にたいしてまっすぐに答えることはさけたい。

 その質問は何を意図しているのか? どういった状況からその質問が出てきたのかを確認する。この「確認」という作業がポイントだ。患者が訴える「眠気」はぼくらがいつも想定しているそれとは限らない。

 そしてもっとも大事な点は、降圧剤が始まったばかりである、ということだ。降圧にともなう何らかの症状が起きているかもしれない。であるならば、それは薬理作用と表裏一体のもので、それは仕方がない問題なのだ。

 確認すると案の定、降圧にともなうものであった。とうぜん、そこにフォーカスする。そして、それは慣れてくるものであって、気をつけるしかない。薬識を補正しながら、不安に対して服薬支援を行っている。

□考察
  「この薬で眠くなったりすることあります? 仕事があるので眠気の少ない薬がいいのですが・・・」と質問され、処方薬を眺める。ARBと利尿剤。う~ん。薬理作用から導くことはできそうにない。

 そこで、文字通り「眠気」で処方薬を検索してみる。するとブロプレスがヒットする。

 精神神経系(0.1~5%未満):頭痛、頭重感、不眠、眠気、舌のしびれ感

 しかしこの情報をこねくり回したところでなにもならない。患者の発した「眠気」という言葉に振り回された格好だ。それもこれも薬剤師の確認不足が原因なのだ。

 患者が訴える症状、その言葉を文字通りに受け取ることには注意が必要だ。たとえば、「フラッシング」のことを「掻痒感」と表現した患者もいた。つまり患者が訴える言葉(副作用)をそのまま使って話をすすめると本質からどんどん離れていくことになる。だから、その言葉の中身を確かめる作業が必要となるわけだ。

 患者の訴えは具体的にどんな状態なのか? これを確認し、フォーカスする。

 同じ足場に立たなければ、ぼくらの知識はただただ空回りする。

 

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コメント

「薬剤師の視点」だけで物事を考えると、失敗しますよね。

でも、「医師の視点」「患者さんの視点」を知ろうとする薬剤師は本当に少ないのではないでしょうか?

「患者の会」の交流会やサイトを覗いてみる事だって、時には必要かと思います。

投稿: sakura | 2012年10月12日 (金) 23時32分

sakuraさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

いろんなことをきいてくれる患者さんに感謝。
いろんな視点を気づかせてくれます。

ひとつの視点に居着かないために、ご指摘の方法もいいなあと思いました。

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2012年10月12日 (金) 23時42分

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