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2012年7月20日 (金)

四物湯とその派生処方 その2

四物湯ベースということは血虚がある
血虚の高血圧には
血虚の四肢のしびれや痛みには

【基本処方:四物湯(詳細は四物湯とその派生処方 その1参照)】

 血が不足したものを血虚といい、これを補うものを補血剤といい、四物湯は補血剤の基本処方である。

 No.71(四物湯) : 地黄、当帰、芍薬、川芎

 
 適応:血虚

 四物湯は4つの生薬(モノ)からなる。構成生薬はすべて補性薬で補血作用がある。そしてその多くが温性薬(からだを温める)かつ潤性薬(からだを潤す)から構成されており、血液の循環をよくする。

【四物湯の派生処方】

 No.46(七物降下湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、黄耆、黄柏、釣藤鈎

 適応:気血不足、肝陽上亢

 
 四物湯に黄耆、黄柏、釣藤鈎を加えると「七物降下湯」になる。四物湯の4つに3つを足して、7つのモノなので「七物」。では何を降下させる薬なのか。ポイントは釣藤鈎の存在だ。

 まず病態的に慢性の高血圧があると、程度の差はあれ、血虚や瘀血が存在する。そこで、四物湯と黄耆で気血の不足を補う。次に黄柏はその清熱作用でのぼせを鎮める。そして釣藤鈎は、肝の専門薬で、四物湯と協力して肝陽の上昇を抑える。ゆえに、高血圧やその随伴症状(めまい、のぼせ、耳鳴りなど)に効果がある。

 臨床応用として、経験的にだが、下の血圧が下がらないタイプの高血圧や更年期で血圧が上がったり下がったりするようなタイプによく効くといわれている。

 No.53(疎経活血湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、桃仁、牛膝、蒼朮、茯苓、防已、防風、威霊仙、羗活、白芷、竜胆、陳皮、甘草、生姜

 適応:血虚の風湿脾

 四物湯に駆瘀血薬の桃仁・牛膝、利水の蒼朮・茯苓、去風湿の防已・防風・威霊仙・羗活、虚寒の白芷、清熱化湿の竜胆、和胃の陳皮・甘草・生姜を加えると「疎経活血湯」になる。

 たくさん入っていてわかりにくいが、簡単に言えば、「血液循環と水分代謝をよくして、四肢のしびれや痛みをやわらげる」処方になっている。

 臨床応用としては、慢性腰痛や坐骨神経痛、慢性関節リウマチ、ねちがい、脳梗塞後遺症などの四肢のしびれ・痛みや遊走性の痛みに使われる。もちろん、ベースが四物湯なので、つやのない皮膚や筋肉のひきつりなどの血虚の証があるものに適する。

 また、大防風湯の証とよく似ている。違いは症状の現れる部位にある。大防風湯は上肢にはあまり効かないが、疎経活血湯は上肢にも効果があり、遊走性の痛みにもよい。牛膝が下肢を、羗活が上肢を、威霊仙が全身の痛みをカバーしているからだと思われる。

【投薬時の注意点】

 地黄を含む方剤に共通する注意点:胃弱体質には注意する(食後服用など)。

     
 No.46(七物降下湯):血圧が低いものは避ける。

 No.53(疎経活血湯):
牛膝と桃仁が入っているので妊婦は避ける。

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