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2012年6月29日 (金)

ペットショップにて

 先週の金曜日。非番だったので、ぶらりとディスカウントストアの中のペットショップへ。なかなかこれといった出会いはない。でも、こういうのは本といっしょで巡りあわせ的なものがあるもので…。それでついふらふらっ~と立ち寄ってしまう。

 たいていは「うちの子のほうがかわいかったね」とショーケースの子犬をみながらにやけている。しかしこの日ばかりはショーケースの前に釘付けになった。

 レッドのトイ・プードル。メス。まだ2ヵ月。そしてこの顔。胸元の白のミスカラーも愛らしい。鼻(正しくは「マズル」)も短いし、まるでテディベアだ。

 そう、レッドのこんな子を探していた。うちにはすでにトイプーのお姉さんが2匹いる。長女はブラウンでもうすぐ2歳。次女はアプリコットで1歳半。そして次に飼うならレッドがいいな~、と。名前ももう決めていたりする。

Cimg2793 ショーケースの前で「こっち向け、こっち向け」と粘っていると、おねえさんがケースから出してくれた。抱っこするとひたすら指や口を舐めてくる。おてんばだ。そして見つめられると…もうダメだ。表示価格は14万円。でもプライスレスでしょ、と意味不明な思考回路に陥る。

 「いちおう、見積もりだしてみました」と笑顔で差し出されたカードをみると・・・。20万! あれっ。

 予防接種やらなんやらでその価格になるそうで、一気に現実に引き戻され、意気消沈。レッドの彼女もショーケースに戻され、シュンとなっている。そうか、さびしいか…。週末、家族をつれて、もういっかい会いに来るからな。そうすればなんとかなるかもしれないし…。

Cimg2644
 週末、家族総出でレッドの彼女に会いに行く。こどもたちは話を聞いて、いてもたってもいられない。店の自動ドアが開くと同時にダッシュ。ぼくも小走りに追いかける。雨の日曜とあって、ペットコーナーは盛況だ。

 「おったよ~。これでしょ、20万って書いてある。でもこれアプリコッドでしょ? 」

 ん! それはたしかにアプリコット。愛しのベイビーはいずこ? まさかとは思いつつたずねてみると、「売れちゃったんです~」。金曜日にはここにいたのに…。

 そう、こういうのは巡りあわせなのよね。

 すこし凹み気味のぼくを気にして、帰りに別のペットショップに寄ってみよう、ということになった。そこにはトイ・プードルのちっこいのがいっぱいいた。みんなかわいいんだけど、ブラックが中心。あとホワイトとシルバーが少し。

 レッドでかわいいのがいたんですけどね~、って店の主人に話しかけると、

 「レッドはうちは扱わないんですよ。レッドは頭が良くないからしつけがたいへんだし、大きくなっちゃうし…」

 そのあとはほとんど覚えていない。だって、第一声での全否定でしょ、これ。そのあとに、良いトイ・プードルの見分け方をレクチャーされて、うちの店の子はその点バッチリですって言われても、感情的に拒否してしまう。

 さらにレクチャーされた良いトイ・プードルの条件? には後ろ足の形やら背骨の形やらがあって、そうなるとブラウンの長女もアプリコットの次女も不合格じゃないか。

 あー、もうあのペットショップには行きたくない。

 だいいち、ぼくは正統なカラー(ブラックやホワイト)の、そして良い条件をクリアしたトイプーを探しているわけじゃない。もちろん、そういった知識を持っているわけではない。でも、知りたいとも思わない。それは今のぼくにとって、何の価値もない情報だ。なにかの大会に出るわけじゃないし、他人に自慢するわけでもない。

 そもそもそういうものを求めてペットを探している人ばかりじゃないはず。それよりも性格や顔、カラー、そういったもので選ぶ人も少なくないはずだ。

 そう、正否の問題ではなく、価値観の問題なのだ。平たく言えば、好き嫌い。スパゲティとカレーライスのどっちが好きといった問題にすぎない。それなのに、スパゲティ派のぼくにカレーライスを押しつけてきたわけだ。

 価値観とは「私の見解」であり、「必ずしも他人に押しつけてはいけない」見解です(@岩田健太郎)。

 こういう価値観の問題は、自覚的になるしかない。

 そういえば先日、井手口直子先生の講演会でこういう指摘があった。

 「決断の速い人。こういう人は情報を集めなさすぎる傾向がある」と(ぼくは決断がかなり速いほうだと思う)。

 たしかに相手の一言にすぐに反応してしまうと、結果的に価値観の問題に無頓着になってしまうかもしれない。相手がどういう文脈で、その一言を発したのか? 相手はどういう状況にあるのか? そういった情報を集めておけば、感情的な問題に発展する可能性も少なくなるわけだ。

 件のペットショップの主人はおそらく間違ったことを言ってはいないのだろう。でもその応対は相手の価値観や物語を考量しようという姿勢がまったくない。あーはなるまい。そう思った。

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2012年6月22日 (金)

腎機能に応じて用量調節が必要な抗アレルギー薬

腎機能に応じて用量調節が必要な抗アレルギー薬
ザイザル、ということはジルテックも
ちなみにCLcr<10は禁忌

CASE 120

78歳 女性  

他科受診:皮膚科  併用薬 :ザイザル錠5mg 1T/1xvds、マイザー軟膏

定期処方:
Rp1) ランソプラゾールOD錠15mg 1T・ニューロタン錠50mg 1T / 1x朝食後 28日分
  2) レバミピド錠100mg 3T・ガスモチン錠 3T / 3x毎食後 28日分
  3) アローゼン 1g / 1xvds 28日分

患者のコメント: 「ザイザルを飲んだら3日くらい眠い。あんまり飲んでいなくて、まだ余っているけど、今日もまたもらったの。飲んだほうがいい?」

患者から得られた情報:
① 掻痒症にて皮膚科を受診。
② お薬手帳より、ザイザル(5)とマイザー軟膏の7日分の処方が2回。
③ 皮膚科Drには相談をしていない。

薬歴から得られた情報: 2ヵ月前の eGFR:30

□CASE 120の薬歴
#1 ザイザルが過量なので他剤に変えてもらうように皮膚科Drに依頼する
  S)ザイザルを飲んだら3日くらい眠い。あんまり飲んでいなくて、まだ余っているけど、今日もまたもらったの。飲んだほうがいい?
 O) 併用薬:ザイザル(5)1T/1x 7日分処方。今日が2回目。
    薬歴より2ヵ月前のeGFR:30→この時点で2.5mgを2日に1回が推奨用量
 A) ザイザル過量が原因だろう。他剤に変更してもらったほうがいい。
 P) お薬手帳にeGFRとザイザルの推奨用量、ザイザルにて強い眠気が現れていることを記載。
   抗アレルギー薬はたくさんあるので、手帳を皮膚科Drに見せて変えてもらってください。
 R) そうするわ。もういっかい皮膚科に行ってくる。
  
      
 
□解説
 当局では内科系の薬を投薬している。その際、他局でもらっている薬についての相談をうける。ザイザルで強い眠気があり、継続への不安があったのだろう。

 
 患者はeGFRが30と腎機能がかなり低下している。ザイザルの推奨用量は以下の通り。

用法及び用量に関連する使用上の注意

腎障害患者では、血中濃度半減期の延長が認められ、血中濃度が増大するため、クレアチニンクリアランスに応じて、下記のとおり投与量の調節が必要である(「薬物動態」の項参照)。
なお、クレアチニンクリアランスが10mL/min未満の患者への投与は禁忌である。

Photo_2

 これでは高い血中濃度が維持され、眠いのも当然だ。

 処方せんを持ってきてくれていれば、すぐに疑義照会をして他剤変更をすすめるところだが、すでに他局にて投薬を受けている。そこでお薬手帳に必要な情報とコメントを記入し、再受診を促している。

 
 
 
□考察

 ジルテックの薬効を持つ光学異性体のみを製剤化したザイザル。その売りは「眠気の少なさ」だ。しかし実際に投薬してみると、そういう患者の反応というか、実感は少ない。

 高齢者は潜在的に腎機能が低下している場合が多い。そして当局の患者は高齢者が多い。これが「ザイザルは眠気が少ない」に対する実感のなさの理由なのだろう。

 つまり、その売り文句には患者の腎機能が加味されていない。

 クレアチニンクリアランスに応じての用量調節という、しばりのある第2世代抗ヒスタミン薬はジルテックとザイザルだけだ。しかもザイザル錠5mgには割線はあるものの2.5mgの剤型はない。

 代替薬もたくさんある。ぼくがDrなら、採血データのない高齢者にはザイザルは使わないだろう。

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2012年6月19日 (火)

【ご案内】熊本にて災害医療の研修会が開催されます

「あなたの地域で災害が起きた時、あなたはどうしますか?」
~災害医療と地域連携~

 

主催 菊池支部薬剤師会 山鹿・植木地区薬剤師会 合同企画
共済 Meiji Seika ファルマ株式会社

場所 熊本県薬剤師会館 2F大ホール 
日時 2012年7月1日(日) 13時~16時45分

東日本大震災の被害に遭われたみなさまに心からお見舞いを申し上げます。
また、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、ご遺族のみなさまに深甚なる哀悼の意を表します。

東日本大震災により多くの被災者が発生し、様々な医療職種から多くの医療従事者による災害医療活動が行われ、薬剤師も全国各地より災害ボランティアとして被災地に向かい、医療活動を行いました。
その中で薬剤師の活動は今回の災害医療チームの中の要になったと言われています(J-MATなど)。

この経験は地震大国に住む私たちの教訓として多くの方たちとともに経験談などの情報を共有し、今後の活動に生かすべきだと考えます。
ですが現場に入れた薬剤師は、職場でのバックアップ体制がとれるものなどのごく一部の薬剤師しかいなかったという現状があります。
そこで災害医療をテーマにした研修会を開催し、情報の共有とともに話し合い、考えあう時間を作りたいと思います。

そして二度と起こってほしくないですが、万が一またどこかで災害が起きた時には、この研修会がほんの少しでも皆様のお役に立てることを願います。

またこのような研修会を開催することにより、まだ復興できていない現状などを知り風化させないことが、何らかの今後の復興支援につながっていくことを願っております。
災害ボランティアに参加したくてもできなかった方や、おもったような後方支援ができなかった方などすべての方にご参加いただきたい研修会になっております。

開会

「抗菌薬とジェネリック医薬品」       Meiji Seika ファルマ株式会社 学術グループ

1、 災害医療における薬剤師の役割について        熊本赤十字病院 下石和樹先生

2、 後方支援について   広島県薬剤師会 豊見敦先生・鹿児島県アクア薬局 原崎大作先生

3、 災害現場で何が起こっていたか?(仮)         宮城県フレンド薬局石巻 岩渕安史先生

4、 災害医療と地域連携     高知県くろしお薬局 川添哲嗣先生

5、 パネルディスカッション形式の質疑応答   コーディネーター 山鹿いちご薬局 大森 眞樹

閉会

薬剤師であればどなたでもご参加いただけます
また薬学生や薬学を目指す高校生も参加いたします
(なお薬剤師会に所属されていない薬剤師の方は会費を200円徴収する予定となっております)。

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2012年6月15日 (金)

「四物湯+四君子湯」(八珍湯)とその派生処方 その2

触ると冷たい関節。冷やすと悪化。温シップが好き。
慢性化して、気血両虚に。
気血両虚+下半身の痛みと言えば・・・

 

【基本処方:四物湯+四君子湯(八珍湯)

 血が不足したものを血虚といい、これを補うものを補血剤という。四物湯は補血剤の基本処方。「四物湯を忘れると、女性疾患の治療はできない」といわれている。

 No.71(四物湯): 地黄、当帰、芍薬、川芎
 
 適応:血虚

 気が不足したものを気虚といい、これを補うものを補気剤という。四君子湯は補気剤の基本処方。胃腸を整えて気を補う、補気健脾の効果がある。

 No.75(四君子湯):人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗
 
 適応:脾気虚

 四物湯と四君子湯の合方剤を「八珍湯」といい、その適応はもちろん、気血両虚である。しかし、エキス製剤には存在しない。

【八珍湯の派生処方】

 No.48(十全大補湯):地黄、当帰、芍薬、川芎人参、白朮、茯苓、甘草黄耆、桂皮

 適応:気血両虚、虚寒

 八珍湯にに黄耆桂皮をくわえると「十全大補湯」となる(ここまでは八珍湯とその派生処方 その1を参照)。これから茯苓桂皮を除き、防風、羌活、牛膝、杜仲、附子、乾姜、大棗を加えると「大防風湯」となる。

No.97(大防風湯):地黄、当帰、芍薬、川芎人参、白朮、甘草黄耆、防風、羌活、牛膝、杜仲、附子、乾姜、大棗

 
 適応:気血両虚、風邪侵入による下半身の痛み

 防風羌活は去風薬で、風邪の侵入も防ぐ。牛膝は駈瘀血薬で、腰・下肢への牽引薬でもある。杜仲は腰痛に。附子・乾姜は散寒止痛、つまり温めて痛みを和らげる(附子・乾姜甘草は「四逆湯」の組み合わせでもある)。結果として、腰や下肢の痛みに効果がある。

 大防風湯は去邪薬よりも補剤が多く配合されている。とうぜん体質の改善も期待できる。

 具体的には、寒くなったり、冷えたりすると増悪するような腰痛や下肢の痛みなどが慢性化して、気血両虚に陥った状態に適している。

 

【投薬時の注意点】

 No.97(大防風湯):

 地黄を含む→胃弱体質には注意。食後服用をすすめる。

 十全大補湯を含む→手足のほてりやのぼせなどの症状がある場合は慎重に。発熱時はいったん中止する。

 附子、乾姜→発熱や患部に発赤・熱感がある場合には投与しない。 

 牛膝を含む→上肢にはあまり効果がない。 

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2012年6月 8日 (金)

予想はできないが予防はできる外用剤の光線過敏症

春から夏にかけて、紫外線量がもっとも多い季節
ふたたびモーラステープによる光線過敏症(CASE 59もどうぞ)

ショートパンツの女性を守れ

CASE 119

25歳 女性  

処方:
Rp1) マイスリー錠5mg 1T / 1x就寝前 28日分
 2) モーラステープ20mg 35枚

* 当局からはRp2)は初めて

患者から得られた情報:
① モーラステープ使用歴(+)、患者から医師に銘柄を希望した。
② ふくらはぎや足首にときどき使う。昨日まで使っていてなくなった。
③ 光線過敏症の注意は受けたことがあり、夜だけの使用にしている。
④ 来局時はショートパンツにサンダル。いつもこんな感じ。
⑤ 海水浴にほぼ毎年行く。

疑義照会:
(内容)容姿、時期的に光線過敏症のリスク(+)、ロキソニンテープを提案。
(回答)患者がよければ、そちらでお願いします。
    RP2)→3)ロキソニンテープ50mg 35枚へ変更。
 

□CASE 119の薬歴
#1 モーラステープによる光線過敏症を回避する
  S)(モーラステープの光線過敏症は)知っているので、夜だけにしている。
 O) モーラステープはふくらはぎや足首にときどき使用。昨日も使用。
   紫外線量↑、ショートパンツにサンダルでいつも素足を出している。
     海水浴にもほぼ毎年行っている。
 A) 容姿・時期的に光線過敏症が心配。
 P) 疑義照会にてロキソニンテープへ変更。
   こちらは使い方は同じだが、光かぶれの心配はいらない。
   ただし、昨日までモーラステープを使っているので、あと4週間は
   貼付部を紫外線に当てないこと。できないときはPA+++の日焼け止めを。
  
      
 
□解説
 「モーラステープの光線過敏症は知っているので、夜だけにしている」この誤解は多い。むしろ貼付しているときは、それによって紫外線が遮られることが多く、光線過敏症の発症は少ない。つまり、この誤解はリスクを増しているようなものだ。

 しかしその誤解がなくとも、年ごろのおしゃれな女性が肌の露出部分にシップを貼っていることは考えにくい。結果、同様の状態になっていただろう。

 使用部位、ファッションそして紫外線の多い季節。また使用頻度的に海水浴シーズンにも影響しそう。さらには患者からの希望による処方で、そういうリスクを考慮した形跡がないこと。これらの(O)情報から、モーラステープはあきらめてもらったほうがよいと判断した。

 患者のモーラステープの薬識を是正し、疑義照会の承諾をもらう。医師もすんなり「患者がよければ」とのことだった。

 残る問題は「使用後4週間」という期間だ。対策は2つ。ひとつは物理的防御、つまり衣類。もうひとつは化学的な防御手段としてのサンスクリーン剤だ。できれば紫外線の防止効果のいちばん強いPA+++のものを使用したい。

 参考:久光製薬HP

 
 
□考察
 「いままでになったことないよ」そんな反論も予想される。

 そう、誰もが起こす副作用ではない。ケトプロフェンによる光線過敏症は「光アレルギー性接触皮膚炎」とも呼ばれる。アレルギー性の副作用であり毒性の機序ではない。つまり誰もが起こすわけではない。しかし、誰に起こるかはわからない。

 「いままで起こしたことがない」が今後もおこさないとは限らない。たとえば同じアレルギーが関与するもので、実感できるものに花粉症がある。「いままで花粉症なんてなかった」のに、急に発症する例を毎年毎年、僕らは目にしている。

 さらに付け加えるなら、光アレルギー性接触皮膚炎(光線過敏症)は通常の接触性皮膚炎にくらべて重症のものが多い。治療も難航しやすい。

 だけど、その予防はいたって単純だ。紫外線に当てなければいい。

 だから、予想はできないけど予防はできるから、アナウンスを繰りかえすべきだ。そしてリスクが高いと踏んだら、他剤を提案すればいい。

 最後にサッカーチームの仲間から症例提供。

 
 30歳男性。サイドバック。
  ゴールデンウィークより腰痛のためモーラステープLを使用。5月20日ごろ発症。

 サッカーの着替えのときに紫外線にあてたのかと思いきや、農繁期で家の手伝いのときにちょっと上着を脱いだとのこと。

20120526_172055

 見事にシップの形。まだ貼ってるみたいだね。

  ご協力ありがとうございました<m(__)m>

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2012年6月 1日 (金)

趣味、成長、モチベーション

趣味のあるべき姿
人を育てるとき、モチベーションを生むときのベクトルの向き

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【趣味は個人を成長させるものであるべきだ】

 現在まわりに溢れている「趣味」は、必ずその人が属す共同体の内部にあり、洗練されていて、極めて完全なものだ。考え方や生き方をリアルに考え直し、ときには変えてしまうというようなものではない。だから趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。

 つまり、それらはわたしたちの「仕事」の中にしかない。

 (村上龍『無趣味のすすめ 拡大決定版』幻冬舎文庫 P.8)

 タイトルエッセイからの引用。惹きつけらるタイトルだ。

 村上龍は世間一般の「趣味」にたいして、それは娯楽にすぎない、といいたいんだと思う。むしろ「ほんらいの趣味」といえるべきものは「仕事」の中にあるのだと。なぜなら、「好きで好きでたまらない何かに没頭する子どもや若者は、いずれ自然にプロを目指す(同書 P.7)」からだ。

 たいして森博嗣は、この問題にたいして違った角度から述べている。

 趣味というのは、hobbyのことだ。日本人は、麻雀や競馬などのゲームや、キャンプや旅行などのレジャーや、あるいはスポーツまで趣味に入れたがることが多いけれど、これは、たとえばhobbyの国イギリスでは通用しない。ゲーム、レジャー、スポーツは趣味ではない。hobbyは、紳士、淑女の嗜みのことで、創造的なものに限られる。創造的なというのは、芸術、工芸あるいは研究のことだ。(森博嗣『モリログ・アカデミィ(2)ダ・ヴィンチブックス P.178)

 ただ、「しょせん趣味だ」とか「趣味だからほどほどに」といった考えは、少々浅はかだと思うだけだ。
 歴史を見ても、多くの数学者が、趣味で数学を楽しんでいた。それが本業ではなかった。ほかにも数多くの発見が、個人の趣味の活動から生まれている。hobbyは、日本語に訳すならば、「個人研究」あるいは「家庭研究」が近いと思われる。(森博嗣『モリログ・アカデミィ(6)
ダ・ヴィンチブックス P.171-172)

 言葉の表面のみを捉えれば、村上龍と森博嗣は真逆のことをいっているように見える。しかしその根底にあるものは同じだ。

 問題は「趣味」という言葉の概念にある。「ほんらいの趣味」は個人を成長させるものでなければならない。そしてそこには村上龍が言うように「人生を揺るがすような出会いや発見」があるのだろう。

【人を育てるときにやるべきこと】

 どうやって部下を一人前に育てるか、そんなことを真剣に悩んでいる上司がいることも信じられない。やるべき価値のある仕事を共にやっていれば何か特別なことをしなくても、つまりことさらに何かを教えなくても、人間は自然に成長する。問題は、部下との接し方などではない。取り組んでいる仕事が本当にやるべき価値があるのか、そのことを確認して、その価値を共有することのほうがはるかに重要である。

 (村上龍『無趣味のすすめ 拡大決定版』幻冬舎文庫 P.79)

 ここでは同僚のトールさんへの私信をコメントにかえたいと思う。

 「ゆうさん。さいきん、テルとかハッシとかにあんまり指導しないですよね。ぼくのときはけっこう厳しかったですけど…」

 「トールさんはおれのこと尊敬してくれているのがわかっていたから、なんか期待に応えようとがんばったのかな。おかげでこんなに成長したからいいじゃない。あいつらはおれのことを尊敬しとるとは限らんやん(笑)」

 こんなやりとりをしたのを覚えているだろうか。もちろん冗談だけど。みんな優秀だし、期待している。こちらが勉強になることも多々ある。なんせかわいいサッカー部の後輩だ。いつも気になっている。

 でも、人を育てようとするときにいちばん大事なことは、村上龍の言うとおりなんだと思う。人を育てるときのベクトルはむしろ自分自身に向くべきなんだと。

 自分がしているその仕事に価値を見いだせているかをつねに点検する。そして、その価値をみんなで共有できる手段を模索する。それがほんとうにするべきことであって、何か特別な「指導」を押しつけるものじゃない。

 そうやっと気がついたんだと思う。たぶん。

【モチベーションという概念について】

 なぜ働かなければならないのか、なぜ勉強しなければならないのか、というような疑問を子どもたちや若者が発し始めたころに、モチベーションという言葉が使われるようになった。つまり貧しさから脱して成熟した日本社会が、子どもや若者に勉強や仕事の意義をアナウンスできない時代に、モチベーションという概念が一般的になったということになる。

 モチベーションという概念は、希望につながっていなければならない。その仕事をやり抜くことで、自分にとって、また家族や同僚や会社にとってより良い未来が開ける、そういった確信がなければモチベーションは生まれようがない。

 (村上龍『無趣味のすすめ 拡大決定版』幻冬舎文庫 P.69-70)

 意識されなかった概念が意識されるようになったとき、往々にしてその概念が充足していない状況にある。モチベーションがまさしくそれだ。

 これは先の「取り組んでいる仕事が本当にやるべき価値があるのか」につながる問題だと思う。価値のある仕事なら、ぼくらの仕事は必ず感謝される。つまり必要とされる。そして、そのことによってしか薬局薬剤師の未来は開けない。

 だからやるべきことは同じだ。「価値のある仕事」をする。それがモチベーションを生む。評価は患者さんや他の医療者がしてくれる。つまりモチベーションは、外から与えられるものではないのだ。

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