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2012年4月20日 (金)

四逆湯とその派生処方 その1

温裏の代表処方、四逆湯
四逆湯と四逆散は違う
陽虚、寒証に

【基本処方:四逆湯】
 四逆湯にはエキス製剤がない。それは現代において四逆湯の出番はほとんどないからだ。しかし、その派生処方は汎用される。

 
 四逆湯 : 附子、乾姜、甘草

 適応 : 少陰病、亡陽虚脱

 腎の陽を温め補う附子と脾胃を温める乾姜。ともに熱性の生薬である。甘草は附子の毒性を弱め、附子・乾姜の作用を緩和するために配合されている。

 四逆湯は陽虚、寒証に用いられ、お腹を温める方剤の基本処方である。しかし、四逆湯そのものが用いられる場面は少ない。手首や足首まで冷えるひどい冷えやショック状態で血圧が下がり脈が弱くなったような状態に用いられる。ゆえに現代ではあまり出番がない。しかしその昔、血圧を上げるにはこれしかなかったわけだ。

 ところで四逆とはどういう状態を指すのだろうか。血液は心臓から四肢末端へ流れる。たいして冷えは四肢末端から生じる。つまり‘逆’である。だから、四肢の冷えのことを‘四逆’という。

 もうひとつ。四逆湯と四逆散はどう違うのか? 

 四逆散(No.35)を用いる症状も四肢の冷えではあるが、その証はからだの内部に熱がこもっている状態である。この四肢の冷えは気がうまく四肢に流れないためにおこっていて、このタイプは温めても治らない。気のうっ滞へのアプローチが必要だ。つまり四逆散は陽盛、熱証に用いる理気剤である。

 たいして四逆湯は四肢もからだも冷えているタイプ、つまり陽虚、寒証に用いる温裏の代表処方である。よってその派生処方もすべて、からだを温める方剤である。

【四逆湯の派生処方】

 No.401(附子理中湯) : 人参、白朮、附子、乾姜、甘草

 適応:脾胃虚寒

 四逆湯に人参、白朮をくわえると附子理中湯になる(ツムラにはないがクラシエにはエキス製剤がある)。じつはこの方剤は人参湯に附子をくわえたものと見ることもできる。人参湯は理中湯とも呼ばれるから、附子理中湯という。

 人参湯の適応も脾胃虚寒であり同じである。問題はその程度だ。つまり寒証がひどいとき、人参湯では効果不足のときに附子理中湯を用いるとよい。
 

 No.32(人参湯) : 人参、白朮、乾姜、甘草

 適応:脾胃虚寒

 附子理中湯から附子をのぞくと人参湯になる。これは補気剤の基本処方である四君子湯からの派生処方とも見ることができる(四君子湯とその派生処方 その2参照)。

 脾胃虚寒の初期に用いる。効果不足ならブシ末を0.5g/回くわえるか附子理中湯を考慮する。

 冷たいもので食欲不振や胃痛、膨満感、下痢になりやすく、四肢が冷えるタイプに適している。腹部の冷感がポイントで、温かいものを好む者に適しており、冷たいものが好きな者には投与を避ける。

【投薬時の注意点】

 四逆湯 : 高熱による四肢の冷え、寒がりには用いない(四逆散が適)。
 ほてり、のぼせ、咽頭部の乾燥感など陰虚の症状があるときは投与をさける。 

 No.401(附子理中湯)、No.32(人参湯)
   
: 陰虚の症状があるときや発熱時は用いない。

 * 温裏の方剤はすべて陰虚内熱と発熱時にはさける。

 * 漫然投与に注意する。附子理中湯で症状が改善したら、人参湯にするか中止を検討する。ちなみに漫然と投与すると、つまりさらに温めると、熱が生じて上へあがり、口内炎などを引きおこす。こういうときはすぐに中止すべきである。
 

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