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2012年1月20日 (金)

麻黄湯とその派生処方 その2

麻黄剤といえば、
No.1,2,19,27あたりが有名
基本骨格はすべて「麻黄+桂枝」

 麻黄剤といえば有名どころの漢方がすぐに思いつく。基本骨格は「麻黄+桂枝」で水を汗としてさばく、表寒の方剤だ。

【基本処方:麻黄湯(詳細は麻黄湯とその派生処方 その1参照)
 麻黄湯といえば、有名な発汗剤だ。つまり表証用の方剤である。そして、咳にもよく奏効する。

 
 No.27(麻黄湯):麻黄、桂枝、杏仁、甘草
 

 適応:外感風寒表実証

 「麻黄+桂枝」で発汗を促し、「麻黄+杏仁」で鎮咳・平喘作用をあらわす。そして甘草は発汗過多による消耗を防止するため、つまり緩和の目的で配合されている。

 インフルエンザやカゼなど(外感)で、急に悪寒(風寒)や発熱、頭痛、咳、鼻汁など(表証)が生じ、無汗(実証)の症状に適している。

 もっとも大事な点は「汗」である。自汗なら麻黄湯ではなく桂枝湯が適応となる。そして、麻黄湯は強力な発汗剤であるので、汗が出たら中止し、長期間使わないようにしたい。また、汗の出やすい虚弱体質者への使用は避けるべきである。

【麻黄湯の派生処方】

 No.1(葛根湯):葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草

 適応:外感風寒

 麻黄湯からの派生とも、桂枝湯からの派生ともいえる葛根湯はちょうどその中間のイメージで捉えるとよい。詳細は桂枝湯とその派生処方 その1を参照。

 比較的体力がある人の熱性疾患の初期にむいているが、杏仁が抜けているので咳にはあまり効かない。鼻閉にはよいが、葛根湯加川芎辛夷のほうがなおよい。

 No.2(葛根湯加川芎辛夷):葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草川芎、辛夷

 適応:外感風寒・鼻不通

 その名の通り、葛根湯に川芎と辛夷を加えると葛根湯加川芎辛夷となる。血のめぐりをよくする川芎と鼻をひらく辛夷。組み合わせることで排膿・鎮痛・消炎効果を発揮する。

 さらに辛夷には他の生薬をひきつれて鼻に向かう性質がある。鼻閉を主症状とするアレルギー性鼻炎や蓄膿症の鼻閉や後鼻漏に効果がある。

 No.19(小青竜湯):麻黄、桂枝、甘草、芍薬、半夏、五味子、細辛、乾姜

 適応:外感風寒・水飲内停、寒痰の喘咳、風水

  麻黄湯から杏仁を除き、芍薬以下の生薬を加えると小青竜湯となる。加えられたものの多くは温性かつ燥性で、除かれた杏仁は潤性。つまり全体として表寒証・湿証向きの方剤となっている。

 風寒(急に悪寒)により水飲(胃内停水)が生じると肺の働きをにぶくしてしまう。風寒を除かなければ水飲の生産は止まらない。ゆえに水飲だけでなく風寒にもアプローチをする必要がある。

 表寒証・湿証向きの小青竜湯は、表寒を伴う喘息・呼吸困難に対する代表処方となる。

 小青竜湯といえばアレルギー性鼻炎に汎用される方剤だが、薄くて色い痰を伴う喘息様の咳や呼吸困難には適している。

【投薬時の注意点】

 麻黄を含む方剤に共通する注意点: 麻黄には交感神経や中枢神経の刺激作用があるので、興奮、不眠、血圧上昇、動悸、頻脈、発汗過多、排尿障害を引きおこすことがある。とくに、証が異なる場合(不適応)や麻黄の量が多い場合には要注意。

 「麻黄+桂枝」に共通する注意点(No.1、2、19、27):虚弱の汗をかきやすい体質には適さない。

 No.2(葛根湯加川芎辛夷):鼻に熱感がある場合や黄色の鼻汁の場合は適応ではない(辛夷清肺湯が適)。

 No.19(小青竜湯):肺陰虚(空咳や咽喉部の乾燥感)や肺熱証(黄色い痰、喀血)などには適さない。
 

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コメント

麻黄湯と言えば…
数日前の「とくダネ!」で「インフルエンザに有効」と特集が組まれていました。
一応「使える人、使えない人」についての情報もありましたが、現場としてはあまり安易に取り上げるマスコミの姿勢には賛同できないですね。

投稿: sakura | 2012年1月26日 (木) 20時37分

sakuraさん、こんばんは。

番組自体は見ていないのですが、今日、病院職員から問い合わせありました。
「強い発汗剤なので、証が合えばいいが、合わないと副作用が出やすい。汗をかいているかたには使ってはダメ」と伝えました。

消費社会の現代は、視聴者の役に立つという観点では番組は作られておらず、一過性の刺激を提供しているだけにすぎないんだと思います(見てないのに偉そうに言いました^_^;)。

そういえば、今日の漢方の勉強会で
「麻黄湯の使いすぎ、つまり過度な発汗で、発熱、心窩部の動悸、めまい、筋肉のひきつり、ふらつき」に真武湯がよいとのことでした。

投稿: ひのくにノ薬局薬剤師。 | 2012年1月26日 (木) 22時06分

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