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2011年12月30日 (金)

ブログのススメ

2011年の最後の記事なので、ラストらしい内容を。
このブログも丸3年続きました。
応援ならびにコメントをくださった皆様に感謝します。

 今年はアクセス数が大きく伸びました。ひとつはTwitterと連動させたこと。これにより新規記事のアナウンスができるし、レスポンスもブログのコメントよりぜんぜん多い。Twitterはブログと相性のいいツールですね。
 
 そして、明治製菓ファルマが発行する薬剤師向け情報誌Dear Pharmacistにて紹介されたこと。よく匿名かつ無名の薬剤師のブログを・・・。いい記念になりました。

Dear Pharmacist

 
 こんな感じで紹介されました。しかもあの尊敬するブロガー薬剤師の熊谷先生の「薬局のオモテとウラ」の隣で。

 熊谷先生のブログは内容とともにアクセス数もほんとうにすごい。じつは私のブログのアクセス数が一気に増えたのも熊谷先生が紹介してくださったことが最大の要因でした。ほんとうに感謝です。

 さて、その熊谷先生が日経DIのコラムにておもしろい記事を書いています。「SNS時代にあえてブログを続ける理由」の中での「ブログのススメ」です。

 それは、SNSが「人とつながるためのツール」であるのに対し、ブログは「自己と向き合うためのツール」であるということ。もちろんSNSでも日々をつづる上で自ずから自分と向き合いますし、ブログでも多くのコメントが寄せられた時には、読者とのつながりを感じます。ですので、これらの特徴でスッパリと二分されるわけではなく、比重に違いがあるとイメージしてください。

 私もTwitterやFacebookを利用していますが、ブログほど自分に向き合い、思考を集中するひとときはありません。1週間に1回だけですが、それは孤独な時間で、自分の思考を整理するための貴重な時間なんです。

 そしてブログという形にすることで、エントロピーの増大を防ぐことができます。放置すると思考は必ず拡散します。そのうち書こうと思っていたこともたちまち雲散霧消してしまいます。たとえ自分であっても同じ考えが二度できるとは限りません。

 ブログをしていると「よくそんな時間がありますね」と称賛とも皮肉ともわからない言葉をかけられることがままあります。でも、ほんとうに多忙であることと多忙感を感じることはまったくの別物なんです。

 なぜ多忙感もしくは焦りを感じるのか? ほとんどの場合はその理由すらわかっていません。まさに「人は時間に翻弄されている」わけです。だから忙しい(と感じる)人ほど、自分に向き合う孤独な時間が必要なんです。

 リアルとウェブをいったりきたりする生活が当たり前の時代。リアルを変えるのはたいへん難しい。それはいつの間にか変わっていくことが多い。対して、ウェブとの付き合い方は自分の姿勢しだいです。

 ただただ情報を集めることだけに利用していてはエントロピーは増加していくだけです。また、結果だけを聞いたり記録するよりも、その物事の経緯について聞いたり検証したりするほうが、ずっと得るものも多いものです。

 以上、ひのくにノ薬局薬剤師。からの「ブログのススメ」でした。

 来年もよろしくお願いします。

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2011年12月23日 (金)

抗コリン剤と細菌性膀胱炎

頻尿で抗コリン剤を服用中
細菌性膀胱炎を罹患
抗コリン剤をどうする?

CASE 108

81歳 女性 

定期処方:
Rp2) アムロジン錠2.5mg 1T・バイアスピリン錠100mg 1T・バップフォー錠20mg 1T / 1x朝食後 21日分
 3) ムコスタ錠100mg 2T・マグミット錠330mg 2T / 2x朝・夕食後 21日分
 4) メバロチン錠5mg 1T・タケプロン錠15mg 1T / 1x夕食後 21日分
臨時処方:
  5) バナン錠100mg 2T / 2x朝・夕食後 7日分

薬歴より (1週間前)
◇前回の処方:

  1) クラビット錠250mg 1T / 1x朝食後 5日分
◇服薬支援要点:
 ① 抗生剤を5日分飲みきり
 ② マグミット錠は朝を避けて昼・夜にて服用を

患者のコメント: 「尿が出にくいし、痛い」

患者から得られた情報:
① クラビットはきちんと飲んでいるし、キレート回避もOK
② 尿検査→菌(+)
③ Drには「膀胱炎が治っていない」と相談

疑義照会:
(内容)尿が出にくいとの訴えがあるので、バップフォーの中止を提案。
    また、同薬は尿路感染症の除外診断をするようになっている。
(回答)診察室では「尿が出にくい」との訴えはなかったから、中止で。
    バップフォー開始時は神経因性膀胱だった。

□CASE 108の薬歴
#1 尿閉傾向と尿路感染症なのでバップフォーを中止する
  S)尿が出にくいし、痛い
 O) 尿検査→菌(+)
   クラビット→バナン
 A) 尿閉傾向と尿路感染症→バップフォー不適
 P) 疑義照会にてバップフォー中止。
   尿が出やすくなると思うので、抗生剤と水分をしっかり摂って、
   おっしこも出して膀胱の中をきれいにしましょう。

#2 症状をDrに伝え忘れないように事前のメモをすすめる
 S) あと口の渇きがひどいことも相談し忘れた
 O) 尿閉傾向もDrに伝えていない
 A) 口渇自体はバップフォーが原因だろう。
   Drに症状をしっかり伝えられていないことのほうが問題
 P) 口の渇きもバップフォーのせいでしょう。様子を見てください。
   次回からはDrに伝えることをメモして受診するようにしましょう。 
 
□解説
 まず、バップフォーの添付文書より下記抜粋。

効能又は効果に関連する使用上の注意

1. 本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌等の下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。

2. 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療を優先させること。

* 注意2についてはCASE 60を参照

 バップフォーを処方する際には、尿検査等で尿路感染症を除外診断するようになっている。それにくわえて尿閉傾向まである。ゆえにバップフォーは不適と考えて、疑義照会を行っている。その疑義照会までの流れと服薬支援を#1に記録している。

 また、疑義照会時の「尿が出にくいとの訴えはなかった」を踏まえ、症状をしっかり伝えるようにアナウンスを行った。すると、口渇も相談するつもりだったと。

 幸いというか口渇もバップフォーの抗コリン作用による副作用の可能性が高いので、それ自体はすぐに対応できる。しかし受診時に肝心なことをほとんど伝えることができていない。ここを新たなプロブレム#2としてとりあげている。

 
□考察
 神経因性膀胱や過活動膀胱などで抗コリン剤を継続服用する。そして、服用しているあいだに細菌性の膀胱炎になる。そういうこともままあるだろう。

 今回のように尿閉傾向があったり、なかなか治らないようなら、ためらわず疑義照会もできる。だが、ちょっとした膀胱炎で尿閉傾向などもなく、抗生剤が初回の5日分の処方などでは判断に悩むところだ。高齢者では一包化している方も多いし、最初はそのまま流して、様子を見るような気もする。

 このようなケースではどう対応すべきか。メーカに相談してみた。

 「感染症の治療を優先させ、抗コリン剤をいったん中断するのがベターです。ただ実際は併用されているケースが多いと思われます。データはありませんが、感染症の罹患期間が長くなるおそれがあります」

 との回答だった。やっぱりというか、そんなに感覚はズレてはいない感じかな。

 細菌性膀胱炎が長引くときには、いったん抗コリン剤を中止する。

 これが現実的な対応だろう。そして、そもそもその抗コリン剤はずっと必要なものなのか、といったところも考えていく必要があるだろう。

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2011年12月16日 (金)

桂枝湯とその派生処方 その1

「傷寒論」のいちばん最初に登場
重要な基本処方「桂枝湯」

その派生処方も多く有名だ

 桂枝の枝が桂枝、皮が桂皮。煎じ薬では区別されるが、ここでは考えない。この記事では桂枝で統一する。

【基本処方:桂枝湯】

 
  No.45(桂枝湯):桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草
 
 適応:外感風寒表虚証

 主薬は桂枝で、経絡を温めて風寒を発散させる。また健胃作用もある。芍薬は風邪を治す要薬で、鎮痛・鎮痒作用がある。これに「生姜+大棗」が副作用防止・作用緩和の目的で配合される。最後に諸薬の調和の目的に甘草を入れると桂枝湯のできあがりだ。

 その適応は「外感風寒表虚証」である。外感風寒までは麻黄湯とまったく同じ。違いは麻黄湯が表実症であるのに対し、桂枝湯は表虚証。この違いは汗だ。

 無汗なら表実証、つまり麻黄湯の証。自汗なら表虚証で、つまり桂枝湯の証となる。無汗の患者に麻黄湯を投与し、汗が出てきたら桂枝湯という流れもあるだろう。

 また悪風(風にあたると寒いといった症状)もポイントだ。

 悪風+汗とくれば桂枝湯の出番だ。麻黄湯が強力に発汗させるのに対して、桂枝湯は軽度に発汗させる。そしてもう一つ重要な違いがある。桂枝湯は身体を補い調整するような作用を備えている。構成生薬だけながめると、胃腸薬のように見えないこともない。

 その他に、虚証のアレルギー性鼻炎や汗証(自汗や局部の汗)にも用いられる。
 

【桂枝湯の派生処方】

 No.1(葛根湯):葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草

 適応:外感風寒

 桂枝湯に葛根、麻黄を加えると葛根湯になる。もちろん、麻黄湯からの派生と考えることもできるが、桂枝湯に2つ加えるだけの方が覚えやすい。

 葛根湯は麻黄湯と桂枝湯の中間くらいのイメージ。よってその適応は広い。そして麻黄湯よりも安全なので使いやすい。

 カゼをひいたら6時間以内に服用するとよいと言われている。また「麻黄+桂枝」なので基本的には無汗のかたが対象だが、桂枝湯も含まれているため、少々の汗なら使っても構わない。ただし、汗をびっしょりかいているような症例には用いてはならない。

 比較的体力がある人の熱性疾患の初期にむいているが、咳にはあまり効かない。鼻閉にはよいが、葛根湯加川芎辛夷のほうがなおよい。

 また、主薬の葛根は、津液を上昇分布させて、項背筋のこわばりを緩和する。ゆえに葛根湯は肩こりにもよく使われる。

 そのほか、上半身の神経痛、三叉神経痛、寒冷蕁麻疹などにも用いられる。

 No.10(柴胡桂枝湯):柴胡、半夏、黄芩、人参、甘草、大棗、生姜、桂枝、芍薬

 適応:太陽少陽合病

 桂枝湯に小柴胡湯を加えると柴胡桂枝湯になる。つまり半表半裏証と裏寒証の自汗の両方に効果がある。具体的には微熱が続く(自汗)、食欲不振、疲れやすいといった症状だ。

 柴胡桂枝湯は小柴胡湯とその派生処方 その1で紹介しているが、じつはその臨床応用はもっと多岐に渡る。たとえば、感冒、流感はもとより、虚弱体質の改善やかぜの予防、胃潰瘍、胆石症、慢性肝炎、慢性膵炎、心臓神経症、不安神経症、てんかん、原因不明の発熱などに用いられている。

 とくに虚弱体質者でかぜをひきたくない時(かぜの予防)や慢性膵炎による腹痛などは西洋薬ではうまくいかないことが多いので、もっと見直されてもいい方剤だと思う。

 

【投薬時の注意点】

 No.45(桂枝湯):無汗のものには適さない。

 No.1 (葛根湯):無汗タイプが基本。虚弱の汗をかきやすい体質には適さない。また、麻黄が入っているので、証が異なる場合や麻黄の量が多い場合はその副作用に注意する。麻黄には交感神経や中枢神経の刺激作用があるので、興奮、不眠、血圧上昇、動悸、頻脈、発汗過多、排尿障害を引きおこすことがある。

 No.10(柴胡桂枝湯):手足のほてりやのぼせといった陰虚の症状があるときには使わない。その症状がひどくなる。また、桂枝・人参が入っているので、高血圧で赤ら顔の人には注意が必要。

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2011年12月 9日 (金)

タナトリルによる空咳

ACE‐IとARB
空咳の説明の仕方とその対応
薬剤師の守備範囲について

CASE 107

患者情報: 87歳 女性 新患

処方: Rp1) フラベリック錠20mg 3T / 3x毎食後 7TD

お薬手帳持参(併用薬):
バイアスピリン錠100mg 1T・タナトリル錠5mg 1T・アーチスト錠10mg 1T・リピトール錠10mg 1T / 1x朝食後 (*タナトリル錠に赤ラインが引いてある)

患者のコメント: 「咳がときどき出るので診てもらった。薬のせいだから、向こうの先生に相談するようにと」

患者から得られた情報:
① 心筋梗塞後、ずっと併用薬を飲んでいる。
② 咳は空咳。とくにきつくもなんともない。
③ レントゲン→異常なし
④ Drがお薬手帳の「タナトリル」に赤ラインを引いてくれた

□CASE 107の薬歴
#1 タナトリルによる空咳の不安への対応
  S)咳がときどき出るので診てもらった。薬のせいだから、向こうの先生に相談するようにと
 O)タナトリルによる 空咳→フラベリック処方
   からだのきつさなど(-)
   心筋梗塞再発予防にてタナトリル服用中
 A) 不安感を払い、ACE-Iの重要性を理解してもらう
 P) タナトリルは心臓を守ってくれる大切な薬。
   咳が出ても気管支や肺は心配はいらない。
   しっかり続けながら、咳が気になるときは咳止めで対応を。
 
□解説
 患者は新患さん。かぜをひいたわけでもないのに「ときどき咳が出るので」と受診される。その原因はタナトリル。ACE-Iによる空咳だ。主治医に相談するように指示され、咳止めが処方されている。

 空咳の程度はひどくもなく、ほとんどQOLに支障がなさそうだった。Drも原因だけを指摘し、主治医にその判断を委ねている。

 ここで薬剤師はあらぬことをしゃべりすぎてはいけない。「空咳の出ないタイプもありますよ」とARBの存在をにおわせてはいけない。それは守備範囲を超えるだけでなく、時代遅れの対応でもある。

 そちらの方向ではなくて、患者の不安感へと目を向ける。「臓器保護薬として価値が高い」「空咳で肺などにダメージはない」、軽微な副作用をこえるメリットについての服薬支援を行っている。
 
□考察
 心臓に対するACE-I vs ARBの問題。この問題は決着がついていないとの見解の記事が多い。個人的には効果の面ではACE-Iの方に軍配があると認識している。ただ忍容性の問題があるので、なんでもかんでもACE-Iというわけにはいかない。

 しかし「ACE-Iの空咳」がただちに「ARBへの変更」となるような画一的な対応だけは避けたい。そこには薬の一面しか見えていない。

 患者は高齢でARBを上回る臓器保護だけでなく、誤嚥性肺炎予防の恩恵にもあずかれるかもしれない。逆に、高齢なんだから咳のないARBを、となるかもしれない。どちらにしろ、それはDrが判断することだ。もっと言えば、患者とDrの人間関係によって決まることなのかもしれない。

 与えられた役割、その範囲の中で、薬剤師としての知識を活かす。まずそのことに傾注したい。

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2011年12月 2日 (金)

仕事以外のものを人生に位置づける

人間が続けている行為にはどんなものでも意味がある。
それを積極的に位置づけ、そしてコントロールすれば、充実した人生になるのではないだろうか。

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」文春文庫

 村上春樹にとって書くことと走ることは切り離せないもののようだ。この本を読むとよくわかる。じゃあ、書きたい人は走ったほうがいいのか。そんな理由ではつづくはずがない。

【走り続けることと意思の強弱には相関はない】

 人間というのは、好きなことは自然に続けられるし、好きではないことは続けられないようにできている。(中略) 思うところあって小説家になった。それと同じように、人は誰かに勧められてランナーにはならない。人は基本的には、なるべくしてランナーになるのだ。(P.70)

 意思の強い人が走り続けているのではない。好きだからそうしているだけなのだ。

 「仕事はできて当たり前。仕事以外で人間を成長させるものを持っておかないといけない。なければ人間はすぐ枯れる」。在宅訪問時に患者さんに言われた言葉だ。それで一時期、趣味について考えた。娯楽ではない。人間を成長させるもののことだ。

 この村上春樹の意見は参考になる。まず、自分の好きなことはなんだろうか。

【忙しいからというだけで走るのをやめたら、一生走れなくなる】

 走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。暇をみつけては、せっせとくまなく磨きつづけること。(P.111)

 走ることをいったんやめたら、もう二度と走れない。この感覚はよくわかる。わたしもいまサッカーをやめたら、もう二度とできない。ボールを蹴ることすらなくなるだろう。

 いままではこの恐怖から逃れるだけにサッカーを続けている側面が強かったように思える。あのゴールネットに突き刺す感覚。ボールがゆっくり奇跡を描く、ほんとうに時間がスローになる感覚。そういうものがもう二度と体感できなくなるのが惜しいのだ。

 でも続けるための理由としては弱いのかもしれない。そもそも体力は低下していくものだし、参加できない回数も増えている。もっと積極的に「ほんの少し」の理由を見出し、磨いていくことをしなければ。

【優先順位とは人生の焦点を定めること】

 ただ僕は思うのだが、本当に若い時期を別にすれば、人生にはどうしても優先順位というものが必要になってくる。時間とエネルギーをどのように振り分けていくかという順番作りだ。ある年齢までに、そのようなシステムを自分の中にきっちりとこしらえておかないと、人生は焦点の欠いた、めりはりのないものになってしまう。(中略) 「みんなにいい顔はできない」、平たく言えばそういうことになる。(P.62)

 たとえそれが実際、底に小さな穴のあいた古鍋に水を注いでいるようなむなしい所業に過ぎなかったとしても、少なくとも努力したという事実は残る。効能があろうがなかろうが、かっこよかろうがみっともなかろうが、結局のところ、僕らにとってもっとも大事なものごとは、ほとんどの場合、目には見えない(しかし心では感じられる)何かなのだ。そして本当に価値のあるものごとは往々にして、効率の悪い営為を通してしか獲得できないものなのだ。(P.252)

 ある年齢になると、自分の能力を特定の分野に集中させることが必要だ、とよく言われる。たしかに「焦点の欠いた人生」なんてまっぴらだし、時間は有限だ。わかってはいるけど「みんなにいい顔はできない」という態度は難しい。ここは今後の課題だ。

 そして人生の棚卸をする際に、取扱いの難しいものさしのひとつが「効率」だ。情報社会の現代、効率の善し悪しはものごとを採択する際の重要なものさしの1つではある。しかし、こと人生については考えないほうがいいのかもしれない。「僕らにとってもっとも大事なものごと」が目には見えないのなら、効率なんて測定のしようがないからだ。

 長い目で見てみないとわからないことなんてたくさんあるし、近すぎて見えないこともある。

 人間が続けている行為には何かしらの意味が必ずある。そもそも同じ人間がしていることなのだから、仕事にも人生に対しても何かしらの影響を及ぼしているはずだ。仕事以外のことにも積極的な意味を見出し、人生に位置付ける。そうすれば、充実した日々を手にできるかもしれない。

 これからの人生のバランスシートに並ぶ項目を真剣に考えてみることにしよう。

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