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2011年11月11日 (金)

漢方の飲み方と心不全

漢方をどのように飲んでいるのか?
それが病態を悪化させる要因に?
漢方薬の温服について

CASE 105

87歳 女性 
他科受診:なし 併用薬:なし

処方1:
Rp1) バイアスピリン錠100mg 1T・タナトリル錠5mg 1T・メインテート錠2.5mg 1T・ダイアート錠30mg 1T・ハーフジゴキシン錠0.125mg 1T・アルダクトンA錠25mg 1T / 1x朝食後
  2) アイトロール錠20mg 1T / 2x朝・夕食後
 3) ムコスタ錠100mg 3T / 3x毎食後
  4) ツムラ麻子仁丸エキス顆粒 5g / 2x朝・夕食前
 
処方2:
Rp5) バイアスピリン錠100mg 1T・タナトリル錠5mg 1T・メインテート錠2.5mg 1T・ダイアート錠60mg 1T・ハーフジゴキシン錠0.125mg 1T・アルダクトンA錠25mg 1T / 1x朝食後
  2) Do
 3) Do
  6) マグラックス錠330mg 4T / 2x朝・夕食後

処方3(今回の処方):
 4) ツムラ麻子仁丸エキス顆粒 5g / 2x朝・夕食前

薬歴から得られた情報:
① 処方1→処方2と推移
② 心不全治療中にて水分制限あり
③ 漢方を湯に溶いた後の残渣を服用→口腔内が苦いので水を多飲→心肥大・足のむくみ(+)→ダイアート増量
④ 原因となった漢方はマグラックスへと変更

患者の娘のコメント: 「やっぱり、あの漢方じゃないとうまくいかないみたい」

患者の娘から得られた情報:
① マグラックスを中止し、ツムラNo.126を再開
② 1人暮らし
③ 電子レンジはあるけど、使えないかも?
④ Drからは「水を飲みすぎないように」と

□CASE 105の薬歴
#1 漢方温服時の残渣に対応し、心不全の悪化を防ぐ
  S)やっぱり、あの漢方じゃないとうまくいかないみたい
 O) ツムラNo.126再開(マグラックス中止)
    薬歴より温服時の残渣の服用が問題(心不全悪化)
 A) 電子レンジ(+)だが、本人が1人暮らしで使えるか不明
      使えない場合は心不全悪化防止が優先
 P) 漢方は湯に溶いたあと電子レンジに30秒から1分かけるときれいに溶けます。
    もしレンジが使えないようなら、残渣に湯を足して溶かしてしまうか、
    残渣は飲まないように伝えてください。
 R) そうします。同じことのくり返しだもん。

 
□解説
 漢方の服用法が原因で心不全の悪化を招いてしまった症例。

 漢方をふつうにお湯に溶くと、完全には溶けきれずに残渣が残ることが多い。これをそのまま服用して苦みが口内に残る。それが水の多飲につながり、心不全を悪化させる。そんなこともあるのか、というのが第一印象(薬歴を読んだ時点での印象)だった。

 漢方薬を温服するときには、電子レンジを使うときれいに溶ける。私は30秒から1分くらいチンするといいと伝えている。そのくらいならば成分が壊れることはない。

 この一手で解決を試みる。しかし患者は1人暮らしで「電子レンジが使えるかわからない」という。この情報にさらに驚く。まだまだ患者のことが、患者の生活がわかっていない。

 いま大事なのは心不全の悪化を繰り返さないこと。レンジが使えない場合も考えて、服薬支援を行っている。

 
□考察
 結局、この患者さん、自分ではレンジを使えなかった。残渣を残すようにし、家族がいるときにはレンジにかけてもらっている。

 こんなこともあるんだな~と強く印象に残った。

 薬をどのように服用しているのか? その患者はどういう病態なのか? この2点を把握しておかないと、僕らの知識なんて空回りするだけだ。患者の役には立てない。そう思った。

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