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2011年11月21日 (月)

ただやり方を考えていないだけ

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2011.11.20 
サッカーリーグ第9節

    前半 3-0 
    後半 2-1  

    Total  5-1

 

 第8節が9月だったのでひさしぶりの試合。チームは快勝。後半よりFWで出場する。

 相手は前半だけで3点もやられ、守りを建てなおしカウンター狙いでまとまっていた。そんなこととはつゆ知らず、次はオレの番とばかりにいきまいてピッチに立つ。

 ところがたった一人のDFに封じられてしまう。周りは見えていたが、つまらないこだわりがじゃまをする。結果、ますます抑えられる。自滅。消耗。しだいにスピードでもふりきれなくなる。

 残り5分。もう一人では勝負できない。裏にボールを引き出すことはできる。でもそのあと勝負するスタミナがもうない。完全にガス欠。できないことはあきらめるしかない。そこでやっと冷静になれた。

 サッカーは団体競技。一人で突破できなくとも、連携すればいい。ボールをあの枠の中に転がせばいい。できないことはあきらめて、他のやり方を考えればいい。

 サイドに広がり、ボールを引き出す。DFが戻りながらも届かない、GKも飛び出せないところにアーリー気味にセンタリングをあげる。イメージが湧く。もうそれしかできないから。

 ボールはイメージ通りの軌跡を描く。そのボールを若いFWがきっちり流し込む。

 ~今回の教訓~

 1)優先順位を考える。

 2)できないことはあきらめる。そして、できることを考える。

 ただ「できない」と言っているとき、それはただやり方を考えていないだけかもしれない。

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2011年11月11日 (金)

漢方の飲み方と心不全

漢方をどのように飲んでいるのか?
それが病態を悪化させる要因に?
漢方薬の温服について

CASE 105

87歳 女性 
他科受診:なし 併用薬:なし

処方1:
Rp1) バイアスピリン錠100mg 1T・タナトリル錠5mg 1T・メインテート錠2.5mg 1T・ダイアート錠30mg 1T・ハーフジゴキシン錠0.125mg 1T・アルダクトンA錠25mg 1T / 1x朝食後
  2) アイトロール錠20mg 1T / 2x朝・夕食後
 3) ムコスタ錠100mg 3T / 3x毎食後
  4) ツムラ麻子仁丸エキス顆粒 5g / 2x朝・夕食前
 
処方2:
Rp5) バイアスピリン錠100mg 1T・タナトリル錠5mg 1T・メインテート錠2.5mg 1T・ダイアート錠60mg 1T・ハーフジゴキシン錠0.125mg 1T・アルダクトンA錠25mg 1T / 1x朝食後
  2) Do
 3) Do
  6) マグラックス錠330mg 4T / 2x朝・夕食後

処方3(今回の処方):
 4) ツムラ麻子仁丸エキス顆粒 5g / 2x朝・夕食前

薬歴から得られた情報:
① 処方1→処方2と推移
② 心不全治療中にて水分制限あり
③ 漢方を湯に溶いた後の残渣を服用→口腔内が苦いので水を多飲→心肥大・足のむくみ(+)→ダイアート増量
④ 原因となった漢方はマグラックスへと変更

患者の娘のコメント: 「やっぱり、あの漢方じゃないとうまくいかないみたい」

患者の娘から得られた情報:
① マグラックスを中止し、ツムラNo.126を再開
② 1人暮らし
③ 電子レンジはあるけど、使えないかも?
④ Drからは「水を飲みすぎないように」と

□CASE 105の薬歴
#1 漢方温服時の残渣に対応し、心不全の悪化を防ぐ
  S)やっぱり、あの漢方じゃないとうまくいかないみたい
 O) ツムラNo.126再開(マグラックス中止)
    薬歴より温服時の残渣の服用が問題(心不全悪化)
 A) 電子レンジ(+)だが、本人が1人暮らしで使えるか不明
      使えない場合は心不全悪化防止が優先
 P) 漢方は湯に溶いたあと電子レンジに30秒から1分かけるときれいに溶けます。
    もしレンジが使えないようなら、残渣に湯を足して溶かしてしまうか、
    残渣は飲まないように伝えてください。
 R) そうします。同じことのくり返しだもん。

 
□解説
 漢方の服用法が原因で心不全の悪化を招いてしまった症例。

 漢方をふつうにお湯に溶くと、完全には溶けきれずに残渣が残ることが多い。これをそのまま服用して苦みが口内に残る。それが水の多飲につながり、心不全を悪化させる。そんなこともあるのか、というのが第一印象(薬歴を読んだ時点での印象)だった。

 漢方薬を温服するときには、電子レンジを使うときれいに溶ける。私は30秒から1分くらいチンするといいと伝えている。そのくらいならば成分が壊れることはない。

 この一手で解決を試みる。しかし患者は1人暮らしで「電子レンジが使えるかわからない」という。この情報にさらに驚く。まだまだ患者のことが、患者の生活がわかっていない。

 いま大事なのは心不全の悪化を繰り返さないこと。レンジが使えない場合も考えて、服薬支援を行っている。

 
□考察
 結局、この患者さん、自分ではレンジを使えなかった。残渣を残すようにし、家族がいるときにはレンジにかけてもらっている。

 こんなこともあるんだな~と強く印象に残った。

 薬をどのように服用しているのか? その患者はどういう病態なのか? この2点を把握しておかないと、僕らの知識なんて空回りするだけだ。患者の役には立てない。そう思った。

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2011年11月 4日 (金)

「医療とは」を考える その2

医療者にかかるバイアスとは?
そして日本の医療のあるべき姿と
そのために必要な語り口とは?

岩田健太郎「ためらいのリアル医療倫理」技術評論社

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【医療者にかかるバイアス】

 YES or NO といった命題は医療というフィールドにふさわしくない。その理由の一つに「口調」の問題がある。

 医療者には、生命維持バイアスのようなものがあります。健康によければ、だれもが賛成してくれるだろうという「正義のエゴ」が多かれ少なかれ(僕にも)あります。しかし、それは一般社会では必ずしも全面的には受け入れられていないのです。その「受け入れられていない」という事実に気がついていない医療者は、割と多い。(P.141)

 たしかにこのバイアスは存在する。ただそれを意識することは多くはない。いや故意にその意識を遮断してしまっているのかもしれない。しかし恣意的なものはあっても強制的なものはないはず。「健康」だって例外ではない。だからこそ一般社会に全面的に受け入れられていないのだろう。

 そして、そういうバイアス的なものにもっと自覚的になれば、その口調も断定的ではなくためらい的なものにならざるを得ないのだろう。

 

【逆説的な心構え】

 患者に関する本質的な問題解決を医療者自身の力でもたらすことは、実は僕らが信じているよりも多くはありません。僕らは、患者に対してとても無力な存在なのです。自分たちがそうありたいと思う基準に比べればずっと。この厳しい現実を理解することが、一歩前進の前提となります。この冷徹な理解を持たず、「患者の気持ちが分からないと一人前の医者とは言えない」なんて生意気な口をきいているうちは、いつまでたっても患者と医療者は歩み寄れません。医療者が手前勝手の論理と道徳を押し付ける温床にしかなりません。(P.21)

 なりたいものを目指せば目指すほどそれは遠のいていく。患者の気持ちをわかろう、わからないといけない、なんて純粋な、一方では傲慢な心構えが医療者と患者の心を遠ざける。医療者からの押し付けとそれにうんざりする患者という構図を生み出す。それは皮肉とも、当然とも見える。

 「患者の気持ちが分かる」と思った瞬間、その医療者は患者の上位に立ってしまいます。ラテラリティー(一方性)が生じるのです。(P.22)

 「患者の気持ちなんて本当のところは分からない」。でも医療者として患者の役に立ちたい。だって患者の役に立つことこそが医療の本質なのだから。

 分からないなりに想像し、ためらいながらも情報提供をしていく。そちらのほうが傍から見ればよっぽど患者の気持ちが分かる医療者に見えるのだろう。

 まさに逆説的な心構えが必要なわけだ。

【派生概念を丸呑みすることで生じる無理】

 患者の守秘義務(個人情報の保護)とか、インフォームド・コンセント(説明されて、同意するというような意味です)という概念も実は、患者の自己決定権の強さから派生されてできた概念です。自己決定権があるから(あるいは個人という「自己」があるから)こそ守秘義務があり、インフォームド・コンセントが生じるのです。(中略)

 繰り返しますが、日本における医療者と患者の関係はアメリカのそれのような厳密な契約関係にはありません。医療の姿は「何を大切にするか」という価値がそのあるべき姿を決定します。したがって、自己決定権という価値の重みが異なる社会においては、そのありようが同列に扱われるのは不自然であり、日本における患者の自己決定権や個人情報の扱いと、アメリカのそれとが異なるのはむしろ当然だと思います。(P.131)

 カルテ開示や薬歴開示を求めてくる患者もいるにはいる。しかしその数は非常に少数で、何かトラブルのようなものがあったときがそのほとんどだ。つまり日本の患者の多くは医療者を基本的には信用してくれている。だから薬の名前もなかなか覚えてくれない。

 いやいや、それは信用ではなく、文化の問題だ。欧米は自立文化で、日本は依存文化だからだよ。そういう意見もあるだろう。でもそれでも問題は同じだ。

 欧米は自立文化だから「自己」「自己決定権」が色濃くあって、そのうえに派生概念が生じている。対して日本のそれは文化としての色合いが薄い。だから自己決定権の派生概念である個人情報保護やインフォームド・コンセントを日本の医療に持ち込んでもしっくりこないわけだ。いやむしろ足枷といいたい。

 医療の姿は「何を大切にするか」という価値がそのあるべき姿を決定する。

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