« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »

2011年10月31日 (月)

ご案内【数式に頼らない! イメージで捉える薬物体内動態入門】

服薬ケア研究会からのご案内です

「イメージで捉える薬物動態学」 

11/3(今週の木曜日) 鹿児島でお会いしましょう

数式に頼らない!
イメージで捉える薬物動態学入門

 服薬ケア実践講座、ただいま鹿児島にて「医療統計学と疫学研究の基礎」を開講中ですが、皆様のご要望に応えて、「薬物動態学入門」が開催されることになりました。

 ここで目指すのは、難しい数式は使わずに、吸収率、分布容積、消失半減期、尿中未変化体排泄率、肝抽出率、蛋白結合率、などのパラメーターの意味を掴み、薬が体内でどのような場所に存在し、どのように動くのかをイメージしようという内容です。
 
 難しいことはさておき、「薬が今体内のどこにあり、どのようになっているのか」をイメージできるようになることが目標です。

 このように薬の存在を捉えることにより、あなたの服薬指導は単に添付文書を鵜呑みにした表層的なものから、数段レベルアップすることが出来ると確信致します。薬物動態学はTDM をやっている人だけのものではありません。薬物動態学を学び、薬剤師としての実力をアップしましょう! 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 ※内容は初歩的なものになります。初心者大歓迎!日頃「難しそう」と敬遠している方もぜひご参加ください。
-------------------- * ------------------------------ * -------------------

《 服薬ケア研究会第5 回服薬ケア実践講座開催要項 》
    日本薬剤師研修センター認定研修(3 単位)

日時:平成23 年11 月3 日(祝) 10:00~16:00

場所:鹿児島市勤労者交流センター(よかセンター) 第1会議室 (キャンセ7階)
        〒890-0053 鹿児島市中央町10番地 tel:099-285-0003

内容:イメージで捉える薬物動態学入門

講師:服薬ケア研究会会頭 岡村祐聡 先生


本講座は講義(90 分×3コマ)のみとなります。
グループワークや発表はありません。

参加費: 服薬ケア研究会会員3,000 円 非会員5,000 円
(※同時入会で参加費は会員料金になります)

*会場が広いので、まだまだ参加OKです。

申し込み:http://www.fukuyaku.net/news/news.html
 

問合せ先:服薬ケア研究会事務局
〒305-0042 茨城県つくば市下広岡410-78
FAX 03-6368-6058 E-MAIL:jimukyoku@fukuyaku.net

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

人気ブログランキングへ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年10月28日 (金)

「眠剤が効かない」にすぐにフォーカスしない

「眠れない」のはなぜなのか?
生活・睡眠の様子は?
そして薬が悪さをしていないか?

CASE 104

80歳 男性 
他科受診:なし 併用薬:なし

定期処方:
Rp1) ユーロジン錠2mg / 1x就寝前
   2) オメプラール錠10mg 1T・デパス錠0.5mg 1T / 1x夕食後
  3) ムコスタ錠100mg 3T・メチコバール錠500μg 3T・プロレナール錠5μg 3T・セファドール錠25mg 3T / 3x毎食後
  4) バイアスピリン錠100mg 1T・ブロプレス錠4mg・メバロチン錠10mg 1T / 1x朝食後

 1)~4) 28日分
 * Rp 2)~4)は一包化

患者のコメント: 「眠剤、効かんね。3時まで眠れない」

薬歴から得られた情報:
① かかりつけのクリニック閉院のため転院。
② 前医の処方をほとんど引き継いだまま。
③ 22時に床に入るがなかなか眠れない。
④ 筋弛緩作用による持越しやふらつき(-)
⑤ デパスの処方意図についての記載(-)

患者から得られた情報:
① 「夕食後にどうしても眠くなって寝てしまう」
② 18時夕食→そのまま眠る→22時に起きる→3時まで眠れない
③ 本人もデパスの処方意図わからず

疑義照会:
 (内容)夕食後のデパスが睡眠のリズムを狂わせているので、
     就寝前へ用法を変更してよいか?
 (回答)デパス錠0.5mg 1T/ 1x夕食後 → 1x就寝前 へ変更

□CASE 104の薬歴
#1 デパスの用法を変更して睡眠の改善を図る
  S) 夕食後にどうしても眠くなって寝てしまう
 O) 18時夕食→そのまま眠る→22時に起きる→3時まで眠れない
    デパスを1xA(一包化内)で服用中
 A) 夕食後のデパスが原因だろう
 P) 疑義照会にてデパスを就寝前へ変更
   安定剤の影響ですので、一包化の中から出しています。
    安定剤は寝る前に眠剤と一緒に飲んでください。
    これで夕食後に眠くならずに、ぐっすり眠れますよ。
 R) 一包化作り直しでお待たせしたが笑顔だった

 
□解説
 「睡眠薬が効かない」との相談を受けたとき、以前はすぐに睡眠薬の分類を考えてしまっていた。だが、目先を変えてもうまくいかないことが多い。

 そこでまず薬歴を活用する。そこに具体的な眠剤の服用タイミングや生活の様子が書かれているか? なければその情報を伺う必要がある。眠剤の飲む時間や過ごし方自体に問題があることも多いからだ。

 「眠剤、効かんね。3時まで眠れない」には、すぐにフォーカスしない。つまり(S)とはしない。患者の具体的な生活を尋ねていく。そして「夕食後にどうしても眠くなって寝てしまう」ここにフォーカスする。

 ならば疑うべきはデパス(なんのための夕食後のデパスなのかはわからないが・・・)。デパスの用法の変更を提案し、Drの許可を得る。

 最後に、こういう分野は暗示的効果も強いので、ちょっと断言的に服薬支援を行っている。

 
□考察
 患者は80歳。目は薄いし、耳も遠い。あまり薬剤師とも話をしようともせず、ただただ急ぐ患者だった。この患者が次回来局時には一変した。

 「もう夕食後眠くなることはないし、ぐっすり眠れる。まあ、トイレに1~2回はおきるけどね」
 
 「ちょっと検査値を教えてくれんかね? 字は小さいし、先生はマスクしてて何をいっているかよく聞き取れんし…」

 といった具合だった。

 患者の信頼は得られたようだ。しかし、デパスの処方意図は? 前医の処方をずっと引き継いだままでよいのか? といった観点で向き合っていれば、もっと早く解決できていただろう。

 一包化薬は調剤に時間がかかる。処方監査がおろそかになるとまでは言わないが、PTPのままなら提案できていることができていないケースがある(ような気がする)。意識が薄まることのないようにしたい。
 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年10月21日 (金)

小柴胡湯とその派生処方 その2

小柴胡湯の派生処方 No.11、12 
「肝」の失調に用いる方剤
柴胡剤に共通の注意事項とは?

 柴胡+黄芩の組み合わせは柴胡剤と呼ばれる。
 そして、柴胡は少陽(半表半裏)の専用薬だけでなく、他の生薬を引き連れて「肝」にいく案内人でもある。

【基本処方:小柴胡湯】 (詳細は「小柴胡湯とその派生処方 その1」参照)

 柴胡剤の基本処方。もちろん主薬は柴胡。病期分類では少陽病、表裏分類では半表半裏。寒熱往来、胸脇苦満、食欲不振、全身倦怠感などがある場合に用いられる方剤だ。

No.9 (小柴胡湯)  :柴胡、黄芩、半夏、生姜、大棗、人参、甘草

【小柴胡湯の派生処方】

No.12(柴胡加竜骨牡蛎湯):柴胡、黄芩、半夏、生姜、大棗、人参、桂枝、茯苓竜骨、牡蛎

適応:心肝火旺(しんかんかおう)・脾気虚・湿痰

 小柴胡湯から甘草の除いて、竜骨<鎮静・動悸・不眠>、牡蛎<鎮静>、茯苓<鎮静・めまい・動悸>、そして桂枝<のぼせ>を加えた方剤で、半表半裏症に「肝」の失調を伴うものに適している。

 * <  >は薬効を表す。

 * 配合法則 竜骨+牡蛎 : 裏虚証で、神経症状のある場合に、鎮静の目的で用いられる。

    (*はともに健保適用エキス剤による漢方診療ハンドブック新版参照)

 「肝」に異常をきたすと、イライラ、怒りっぽい、驚きやすい、精神不安などの兆候が表れる。また肝は「心」に影響を与えるので、不眠や動悸などもおこる。

 No.12は、イライラ・動悸・驚きやすい・精神不安・不眠といった症状で胃腸が弱く、疲れやすい方に、自律神経の調整や鎮静を目的に使われることが多い。

No.11(柴胡桂枝乾姜湯):柴胡、黄芩、甘草、桂枝、乾姜、牡蛎、瓜呂根

適応:肝鬱化火(かんうつかか)・胃寒

 柴胡+黄芩なので柴胡剤ではあるが、小柴胡湯からはかなり崩れている(生姜も乾姜になっている)。桂枝・乾姜・牡蛎・甘草と虚証用の薬が多く入っており、より虚証向きの方剤となっている。また、瓜呂根は潤性薬(体内の水分を保留し、身体を潤す薬)で、牡蛎には鎮静・止汗作用がある。

 この処方、じつは半表半裏証に発汗や瀉下を施し、いわゆる誤治によって生じた病態に対する処方らしい。つまり発汗過多による脱水や瀉下による腹部の冷えや痛みに効果がある。

 もう1つ、もともと「胃寒(冷たいものがダメ)」な人で「肝の失調」が見られる場合に適応する。柴胡・黄芩の寒性を桂枝・乾姜の温性によって弱めている(だから生姜が乾姜になっている)ので、小柴胡湯などで胃が痛くなる症例にも使える方剤になっている。

 No.11を用いるポイントは、胸脇苦満やイライラ、発汗過多などの症状に、腹部の冷えや痛みを伴う場合となる。

【投薬時の注意点】

No.12(柴胡加竜骨牡蛎湯):手足のほてりやのぼせといった陰虚の症状があるときには使わない。その症状がひどくなる。また、血圧が低い人には用いない。

 * No.12は陽症(実、表、熱の要素の強いもの)に用いる。同じような症状でも陰症(虚、裏、寒の要素の強いもの)には、No.26(桂枝加竜骨牡蛎湯)を用いる。

No.11(柴胡桂枝乾姜湯):手足のほてりやのぼせといった陰虚の症状があるときには使わない。その症状がひどくなる。

 陰虚証には用いない。これは柴胡剤の共通の注意点だ。簡単に確認ができるし、証が合っていないのなら、その症状がひどくなるので、患者でも判別が可能だ。ぜひアナウンスしていきたい。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月14日 (金)

むくみとアミノレバンEN

むくみは肝臓から? それとも腎臓?
アミノレバンEN服用中ならもちろん
病識が意外な形で露呈した症例

CASE 103

72歳 女性 
他科受診:なし 併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アミノレバンEN 100g / 2x朝食後と寝る前
  2) プロマック顆粒 1g / 2x朝・夕食後
 3) タケプロンOD錠15mg 1T / 1x就寝前
 4) ウルソ錠100mg 6T / 3x毎食後

患者のコメント: 「アミノレバンは苦くていやね。実はまだ1箱あるのよ」
          「最近、足がむくむ。腎臓も悪いのかしら?」

薬歴から得られた情報:
① C型肝炎→肝硬変
② 腹水(-)、脳症(-)
③ 直近のデータ
  GOT:43  GPT:40
   Plt:9.0  Alb:2.7  TC:116
   eGFR:68

□CASE 103の薬歴
#1 病識不足を補いアミノレバンENを飲んでもらう
  S) 最近、足がむくむ。腎臓も悪いのかしら?
 O) 「アミノレバンは苦くていや」→残1箱(+)
   Plt:9.0  Alb:2.7  TC:116、eGFR:68
 A) 病識不足のため、アミノレバンの服薬意欲が低い
 P) むくむのは腎臓ではなく、肝臓が原因です。
    Albが低いからむくむんです。ここは3.0 をキープしたい。
    そしてそのためのアミノレバンです。
 R) 肝硬変になるとダメね。
    アミノレバンのフレーバーを全種類持っていかれる

 
□解説
 患者の一言から病識が明らかになった症例だ。

 「最近、足がむくむ。腎臓も悪いのかしら?」ここにフォーカスする。この患者は肝硬変で、そのコントロールはよくない。Albが2.7 しかない。そうすると血管内に水分を保持できなくなり、組織に水分がしみでていく。そして、むくむ。

 患者は足のむくみと肝硬変が結びついていない。病識が欠けている。とうぜん、アミノレバンENがこのための薬であるという認識もない。つまり薬識も欠けている。

 まず足のむくみが肝臓からであることを認識してもらえば、そのあとの話はスムーズになるはずだ。つまり、アミノレバンENもきちんと飲むようになるはず。そう考えて服薬支援を行っている。
 
 
□考察
 この患者は病歴も長く、当薬局においでになってからずっと同じ状態だった。

 血小板がどのくらい、アルブミンやコレステロールがどのくらいという話もよくしていた。アミノレバンENも肝臓のためとがんばって飲んでいる様子だった。

 つまり、肝機能はどの数値で判断するのか(CASE 54参照)、そしてアミノレバンENは(漠然と)肝臓の薬であるということは理解できていた。しかし惜しい。その病識、そして薬識はやや欠けていた。

 それらは同時に指摘しないとつながらないものなのかもしれない。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 7日 (金)

難しいのは「想定」をすること

安易に使われている言葉
そこに潜む危険性と違和感
「未曾有」と「想定外」

【送料無料】未曾有と想定外

【送料無料】未曾有と想定外
価格:756円(税込、送料別)

 畑村洋太郎「未曾有と想定外」(講談社現代新書)

 そもそも「未曾有」という言葉は「個人的には未経験」ではなく「歴史上いまだかつてない」という意味で使われる言葉であって、今回の津波で軽々しく用いるべきではない。なぜなら、その言葉を使うことによって「仕方がない」「考えても意味がない」ということになりかねないからだ。

 「未曾有」についてはそのような趣旨であった。そしてもう一つの言葉「想定外」について。

【「想定外」という言葉の違和感】

 しかし、だからこそ、原子力技術を扱う仕事は、想定外という言葉ですべて免罪になるような軽いものではないのです。社会から彼らに預託されていたのは、たいへん便利だけど、たいへん危険でもある原子力技術をできるだけ安全に使うことです。そのために、あり得ること、起こり得ることをすべて想定するといった程度のことは、ふつうにやっているのが当たり前というものです。

 それは「原子力の専門家」といわれている人たちにもいえます。もともと社会が彼らに期待していたのは、今回のような事故を想定することです。想定するのが専門家の責務だったのです。

 そんな大切な役割を担っているはずの人たちが、事故が起こってから軽々に想定外という言葉を使っているのを見たら、だれだってがっかりするでしょう。   (同書 P.91)

 
 社会から薬剤師に預託されているのは、たいへん便利だけど、たいへん危険でもある医薬品をできるだけ安全に、安心して飲めるようにすること。そのために、つねに勉強しておくことは、ふつうにやっているのが当たり前というもの。

 医薬品の効果や副作用、そして相互作用といったものを想定することが薬剤師の責務であって、社会が期待していることでもある。

 ただ副作用と一口にいってもいろいろある。モルヒネによる吐き気や便秘といった100%起こるものから、SJSやTENなどのごくごくまれな副作用もある。SJSやTENといった副作用をこちらから説明することはほとんどない。しかし「経過観察中における副作用の予兆の早期発見」には努めなければならない。つまり想定はしておかなければならないということだ。

【そもそも「想定」とは?】

 人はなにかを企画したり、計画したりといった「考えをつくる」ときは、まず自分の考える範囲を決めます。この境界を設定し、考える枠を決めることが「想定」なのです。 (中略)

  じつは想定をだれかにしてもらえることほど楽なことはありません。難しいのは想定をすること、考えの枠を決めることです。想定さえしてもらえば、あとは想定内のことだけを考えればいいわけですから、多少ものを考えられる人だったら、それほど難しいことではありません。 (同書 P.93)

 薬のキャラクタを理解せずに、添付文書に記載のある副作用が出ていないかだけをチェックする薬剤師と薬のキャラクタから、たとえば薬理作用から起こりうる副作用が推測できる薬剤師。

 この薬にはこの副作用を、と決まりきったフレーズをアナウンスする薬剤師と患者の状態や併用薬といったさまざまな「制約条件」を考慮してアナウンスをする薬剤師。

 副作用が起こったときに「医師に連絡してください」としか言えない薬剤師と副作用が起こったときの初期対応がアナウンスできる薬剤師。

 どちらが想定外のことが起こったときに対応しうるか。とうぜん、起こっている現象のモデルが頭に作られている方が、全体像が把握できている方が、そして起こった後のことを想像できている方が、想定外のことに対して真の対処ができる。 

想定外のことが起こったのではありません。何も「考えていなかった」だけなのです。(同書 P.101)

 こう言われないようにしたい。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

薬剤師ブログタイムズ ブログランキング参加中! クリックしてこの記事に投票

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »