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2011年9月16日 (金)

四物湯とその派生処方 その1

女性には生理があり、血虚になりやすい
補血剤の基本処方といえば、四物湯
血液をつくる栄養(補血)で、血液の流れもよくする(活血)

 漢方では「四物湯を忘れると、女性疾患の治療はできない」といわれている。女性疾患に用いる方剤の8割くらいは、四物湯からの派生といわれている。

【基本処方:四物湯】

 虚証という概念は西洋医学にはない。血が不足したものを血虚といい、これを補うものを補血剤という。補血剤の基本処方が四物湯だ。

 No.71(四物湯) : 地黄、当帰、芍薬、川芎
 
 適応:血虚

 主薬は地黄。厳密にいえば、製法の違いであるが熟地黄に補血作用があり、生地黄は血の熱をさます作用がある。四物湯では熟地黄が原則とされている。

 四物湯は4つの生薬(モノ)からなる。構成生薬はすべて補性薬で補血作用がある。そしてその多くが温性薬(からだを温める)かつ潤性薬(からだを潤す)から構成されており、血液の循環をよくする(活血作用)。

「当帰+川芎」の配合法則 : 裏虚証で貧血ないし血液循環不全のある場合に広く用いられる。

健保適用エキス剤による漢方診療ハンドブック新版 P.54参照)

 また四物湯は、月経調整の重要な方剤でもある。顔色が悪い虚弱体質で、貧血やそれに伴うめまい、月経不順や生理痛に効果がある。

【四物湯の派生処方】

 No.77(芎帰膠艾湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、艾葉、阿膠、甘草

 適応:血虚の出血

 四物湯に止血作用のある艾葉と阿膠、さらに緩和の甘草を加えると芎帰膠艾湯になる。この方剤は、不正出血や安胎のために設計されたといわれている。

 ちなみに「芍薬+甘草」の配合法則も含まれており、痛みや筋肉のけいれんにも期待できる。

 保険上の適応は痔出血だけのものが多いが、不正出血や月経過多、妊娠中の出血や腹痛など切迫流産の兆しのあるものなどに広く用いられる。

 No.23(当帰芍薬散):当帰、芍薬、川芎、白朮、茯苓、沢瀉

 適応:血虚、脾虚湿滞

 
 四物湯から地黄をのぞき、燥性の(体内の水分を排泄する)白朮・茯苓・沢瀉をくわえると当帰芍薬散となる。

 主薬は当帰(女性に用いる方剤には100%当帰が入っている。補血剤の中心生薬はこの当帰なのだ)。「当帰+川芎」が月経を整える。芍薬は鎮痛・鎮痙に。白朮・茯苓は脾虚に(四君子湯の構成生薬)。沢瀉は利尿に働く。そして沢瀉以外は温性・補性薬である。

 ゆえに胃腸虚弱で色白、冷え症でむくみやすいものに適しており、不妊症や流産予防、妊娠中毒症、月経痛、更年期障害、不正出血、貧血、冷え症などに用いられ、「婦人の聖薬」ともいわれている。

 最近では、このタイプの方の物忘れにも用いられている。
 

【投薬時の注意点】

 No.71(四物湯) :地黄を含むので、胃弱体質は注意する(食後服用をすすめる)。また、造血剤ではないので、貧血や出血には補気剤を併用したほうがよい。

 No.77(芎帰膠艾湯):地黄を含むので、胃弱体質は注意する(食後服用をすすめる)。冷えを伴う出血に適しており、血熱による出血には不向きである。

 No.23(当帰芍薬散):手足のほてりやのぼせなどの陰虚の症状には用いない。インフルエンザや風邪などの発熱時には中止する。

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