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2011年8月19日 (金)

四君子湯とその派生処方 その1

補気剤の基本処方は四君子湯
「気を補うときは、まず胃腸から」
三大処方はNo.75、43、41

 むかしは点滴や注射がなかった。ということは、薬を飲んでも胃腸がよくないと吸収しないからダメだ、となる。そこで「気を補いたいときは、まず胃腸から」というのが中医学の基本となる。胃腸をよくして薬を入れるわけだ。

【基本処方:四君子湯】

 虚証という概念は西洋医学にはない。気が不足したものを気虚といい、これを補うものを補気剤という。四君子湯は補気剤の基本処方。胃腸を整えて気を補う、補気健脾の効果がある。

 No.75(四君子湯):人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗
 
 適応:脾気虚

 主薬はもちろん人参。これは補気剤にはすべて入っている。白朮が脾を強くし(ここは蒼朮ではダメ、蒼朮は利水)、茯苓が脾の水をさばき、甘草が諸薬を調和する。これら4つの生薬が君子のようにすばらしいから「四君子湯」というわけだ。ちなみに、「生姜+大棗」は副作用防止と作用緩和のためで、本処方を含め、多くの方剤に含まれている。

 顔色が悪い、食欲不振、軟便や下痢などの病態に適している。

【四君子湯の派生処方】

 No.43(六君子湯):人参、白朮、茯苓、甘草半夏、陳皮生姜、大棗

 適応:脾気虚、湿痰

 四君子湯に半夏・陳皮を加えると六君子湯となる。半夏・陳皮も君子ようにすばらしいから、四君子湯の4つに2つ足して「六君子湯」となる。ところで、半夏・陳皮といえば二陳湯の主薬だ。じつは四君子湯と二陳湯の合方剤が六君子湯。とうぜん、その適応は脾気虚(四君子湯)と湿痰(二陳湯)となる。

 疲れやすい、食欲不振、下痢や軟便、胸やけ、吐き気、悪心、咳、薄くて多い痰などに適している。

 No.41(補中益気湯):黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、升麻、柴胡、生姜、大棗
 
 適応:脾気虚、気虚下陥

 四君子湯から茯苓を除き、黄耆、当帰、陳皮、升麻、柴胡をくわえると「補中益気湯」となる。その名のとおり、「からだの中を補い、気を益す薬(湯)」になる。
 
 気虚下陥は「ききょげかん」と読む。下陥はその字の通り、下に陥ちる、下がることを意味する。胃下垂のような内臓下垂には西洋薬は打つ手なしだが、漢方なら対応できる。「気虚+内臓下垂」とくれば、補中益気湯しかない。

 気虚下陥に効き目のある生薬といえば黄耆だ。黄耆には補気とともに気を上昇させる作用がある。補中益気湯の主薬はこの黄耆である。人参と黄耆は補気薬の王様だ。気虚がひどいときは、四君子湯でもなく六君子湯でもなく、黄耆と人参を含んだ補中益気湯がよい。

 さらに、疲れると熱が出る、夕方になると熱が出るといったタイプで自汗にもよく効く。「気虚+発熱」も補中益気湯を用いるポイントだ。

【投薬時の注意点】

 共通する注意点: 手足のほてりやのぼせなどの陰虚の症状には用いない。
          
            高熱時(外因の発熱)は休薬する。熱が下がりにくい。

 補中益気湯: いきなり強い補気剤だと胃腸虚弱の方には受けつけないもある。
          そういった場合はまず六君子湯で胃腸を強くしてから用いる。

 夏バテに補気剤はぴったり。うまく使いこなしたい。

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