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2011年4月29日 (金)

デタントールRによる夜間頻尿

副作用の発見、疑義照会、服薬支援
どれも大切な仕事だが、薬歴記載時には
どこに自分の意識の中心があったのかを確認するようにしたい

CASE 93

70歳 女性 

他科受診:なし  併用薬:なし

処方内容:
Rp1) ミカルディス錠40mg 1T・バイアスピリン錠100mg 1T / 1x朝食後 21日分
 2) ニトロールRカプセル20mg 2P / 2x朝・夕食後 21日分
 3) ノルバスク錠5mg 1T / 1x夕食後  21日分
  4) デタントールR6mg 1T / 1x就寝前 21日分

 *今回より、ミカルディス錠 20mg→40mgへ増量

 

患者のコメント:
「これ(デタントールR)を飲むと夜間頻尿で、トイレに間に合わないことがあるので飲んでないの」

患者から得られた情報:
① 血圧が高いので、薬を増やしておくとDrより説明(+)
② デタントールRでの夜間頻尿は気のせいかもしれないと考えているのでDrには伝えていない
③ デタントールR自己中断後、症状は改善

疑義照会 :
(内容)デタントールで夜間頻尿→デタントールを服用していない
(回答)それで血圧↑か! 今回はミカルディスを増やしているので、デタントールをカットでよい。モーニングサージのコントロール不良なので、朝の血圧が高いようなら早めに受診するように伝えて。

□CASE 93の薬歴
#1 モーニングサージについて理解してもらう
  S) これ(デタントールR)を飲むと夜間頻尿で、
      トイレに間に合わないことがあるので飲んでないの
 O) ミカルディス 20mg→40mg
      疑義照会より デタントール中止、モーニングサージのコントロール不良
 A) モーニングサージのリスクを理解してもらうことが大切
 P) Drの伝言を伝える。
    朝の血圧が高いとせっかく薬を飲んでてても脳卒中などのリスクが高まることを説明。
  
  ◎ 血圧手帳を提供し、測定方法も説明。
  ◎ お薬手帳の副作用歴をメンテ。

 
□解説
 私が行った行為は3つある。まず副作用の発見(というよりは情報収集かな)そして疑義照会。最後に服薬支援。このケースも(P)に疑義照会を持ってくると、やはり収まりが悪い。

 疑義照会の結果、Drからの伝言とともに「モーニングサージのコントロール不良」という情報が加わったのだから、薬剤師としてはそこにアプローチしたい。そこでモーニングサージのリスクを理解してもらえるように服薬支援を行っている。

 同時に行った血圧手帳とお薬手帳に関しては、無理にSOAPの中に組み込まずに欄外に箇条書きとしている。

□考察1
 書いた後に思うことは、やはりまだ収まりが悪いかな、ということ。疑義照会が終わった状態から、もう一度SOAP思考を展開するべきだった。

 「これ(デタントールR)を飲むと夜間頻尿で、トイレに間に合わないことがあるので飲んでないの」というコメントの印象があまりにも強かったために、それを(S)に置いたまま意識は他に流れている。つまり副作用の問題とモーニングサージの問題を一緒くたにしている。

 これはつまり書き方の問題ではなく、患者応対の問題に帰着する。なぜなら患者が本当にモーニングサージに対する理解が足りないのかどうかの確認ができていないからだ。

 よく書けているようで、SOAPのバランスがとれていない例といっていいだろう。

   
□考察2
 この症例で確認できたことがある。それは薬歴に残せていないことでもある。

 まず、中止後に副作用が改善しているにも関わらず「夜間頻尿は気のせいかもしれない」と発言していることだ。自信がない、不安といった非言語情報も読み取れる。そこで「この薬の副作用で夜間頻尿になることがある」ということを明確に伝えてみた。すると、患者の表情が和らぐのが確認できた。

 次に、Drに服薬状況を伝えることの大切について。やはり最初はDrに伝えたいと申し出ると、罪悪感からか遠慮からなのか「伝えないでいい」と言われることが多い。
 
 患者の同意を得るには、なぜDrに服用状況を伝えておかなければならないのかを説明する必要がある。私の常套句は「飲んでいないことを伝えておかないと、Drは飲んでてもまだ血圧が高いと考えて、もっともっと強い薬になってしまうことがありますよ」だ。ちょっと脅しかな。でもよくあることでもある。

 こういう患者情報は薬歴に残すことが難しいように感じる。しかしこういう情報こそが、それこそうまい表現でフェイスシートの特記に踊っていれば、患者応対はますますスムーズになるだろう。

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2011年4月22日 (金)

フラベリックによる聴覚異常

自分で調べた「薬の情報」
SOAPのどこに書くのか?
そもそも書く必要があるのか?

CASE 92

40歳 女性 

他科受診:なし  併用薬:なし

昨日の処方内容:
Rp1) ルリッド錠150mg 2T・テオドール錠100mg 2T / 2x朝・夕食後 4日分
 2) フラベリック錠20mg 3T・ムコダイン錠250mg 3T・ムコスタ錠100mg 3T / 3x毎食後 4日分
 

患者からのTEL: 「半音低く聞こえて、気持ち悪いんだけど…」

患者から得られた情報:
① 昨日、服薬後より半音低く聞こえる
② 服薬中止後、今はよくなっている
③ カゼ症状自体は楽になっている

□CASE 92の薬歴
#1 フラベリックによる聴覚異常
  S) 半音低く聞こえて、気持ち悪いんだけど…
 O) 服薬中止後に症状は改善
    カゼ症状は改善傾向
 A) フラベリックにのみ聴覚異常の報告(+)
 P) 咳止めの影響と思われる。
    咳がきつくなければ、フラベリックのみを中止し、
     そのほかの薬は服用して様子をみてください。

 
□解説
 患者との電話対応を記載したもの。ポイントは1つ。自分で調べた薬の情報はどこに書けばいいのか? という点だ。

 IMSの副作用サーチで検索をかけてみる。すると、フラベリックにのみ「聴覚異常(音感の変化等)」という副作用の記載があることがわかる。

 この情報は薬の情報である。患者の情報ではないので、(O)情報ではない。私はこの薬の情報を判断の根拠としたので(A)に記載している。

 
□考察
 薬の情報はそもそも書く必要があるのか? それが患者のためになるなら書くべきだろう。しかし無理にSOAPの中に組み込む必要はない。
 
 薬の情報を書く必要があるとすれば、判断の根拠とした場合、つまり(A)以外にはない。

 (O)情報にだらだらと薬の情報を記載する薬歴からは卒業したい。それではSOAPのメリットを活かせない。なぜなら、ほんとうに必要な情報(それが(O)情報)を患者から聞きだそうというSOAP思考が発動しないからだ。
 

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2011年4月15日 (金)

コントローラの保管場所

アドエア250ディスカスが続かない
理由は? コントローラがわかってない?
薬識は相対的なものだ

CASE 91

40歳 女性(CASE 88の患者) 

他科受診:なし  併用薬:なし
副作用歴:メプチンエアー、メプチン錠、テオドール→動悸・ふるえ

前回の処方内容(3月7日):
Rp1) レボフロキサシン錠100mg 3T・アストミン錠10mg 6T・ムコダイン錠500mg 3T / 3x毎食後 3日分
 2) カロナール300mg 1T / 発熱時 5回分
 3) アドエア250ディスカス60吸入用 1キット 1日2回 1回1吸入

今回の処方内容(4月11日):
Rp4) クラリシッド錠200mg 2T / 2x朝・夕食後 4日分
 5) フラベリック錠20mg 3T・ムコソルバン錠15mg 3T / 3x毎食後 4日分
 

患者のコメント: 「調子がよくなるとすぐ吸入を忘れちゃうんです」

患者から得られた情報:
① アドエア250ディスカス 1回1吸入を1日2回の理解OK
② アドエア残(+)のため、処方(-)
③ カゼで来局、BA発作(-)
④ 吸入薬はリビングに置いている。

□CASE 91の薬歴
#1 アドエアを歯ブラシの横に設置し毎日続ける
  S) 調子がよくなるとすぐ吸入を忘れちゃんです
 O) アドエア残(+)、リビングに保管
 A) コントローラの薬識にも問題がありそうだが、
    まずはアドエアの保管場所が問題
 P) アドエアはBA発作を予防するための薬なので、
    何ともないときも毎日する必要がある。
    うがいも必要なので、歯ブラシの横に設置するように提案。
 R) そーします。やっぱり吸入ももらっていいですか?
 (疑義照会)
 内容:R)
 回答:3) アドエア250ディスカス60吸入用 1キット追加

 
□解説
 コントローラが継続できない方には、コントローラの薬識に問題があることは間違いない。コントローラ自体がわかっていない方にはりリーバとコントローラは違うということをしっかりアナウンスしなければならない。

 しかし、こういうケースで「薬識に問題あり」とすると、きっと行動変容につながらない。それは「勉強しないといけないけど、今日はパ~ス」というのに似ている。

 薬識は相対的なものだから、調子がよいと服薬意欲が低下してしまうのはよくわかる。こういうケースを防ぐためには習慣化してしまうのがいちばん。患者の今の吸入行動は、りビングに行って、アドエアを取り出し、吸入をして、うがいをするために洗面所へ、と手順が多い。これでは習慣化しにくい。

 
 そこで、アドエアを「歯ブラシの横に設置する」ことを提案し、作業工程を減らす。そのまま歯磨きをしてしまえば、わざわざ、それだけのためにうがいをする必要すらなくなるわけだ。

 
□考察
 私の家系は喘息家系で、祖母、父親、娘と喘息持ちだ。吸入薬を歯ブラシの横に設置しはじめたのは父で、それまではサイドボードの中に大事にしまっていてよく忘れていた。

 「息子が薬剤師になったから、忘れないようにしないと」と父親が自分で考え出した。あの得意気の顔は忘れない。

 薬識は相対的なもの。だから定期的にコントローラの大切さをアナウンスしなければならない。それと同時に、服薬行動にマイナスとなる要因を排除していく。プラスを増やすだけでなく、マイナスを減らすことも提案していきたい。
 

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2011年4月 8日 (金)

メプチンエアーの保管

メプチンエアーの処方量が増えていないか?
カウンターが回らなくなることはないか?
メプチンエアーをどのように携帯しているのか?

CASE 90

25歳 男性

他科受診:なし  併用薬:なし

処方内容:
Rp1) メプチンエアー10μg吸入100回 2本

 
患者からのコメント:
「そんなに使うわけじゃないけど、仕事中も携帯していると使えなくなって…」

薬歴から得られた情報:
① メプチンエアー10μgのとき(カウンターなしのとき)は1回に1本の処方
② カウンター付き変更後、しばらくして1回に2本の処方に
③ 奥様による代理受診が多く、発作状況不明
④ 仕事:左官職人

患者から得られた情報:
① メプチンエアーは裸のまま携帯。キャップもしていない。
② 発作回数は以前と変わらない。
③ カウンターが回らなくなったり、押せなくなったりする。

□CASE 90の薬歴
#1 メプチンエアーは携帯袋に入れておく
  S)そんなに使うわけじゃないけど、仕事中も携帯していると使えなくなって…
 O) メプチンエアーは裸のまま携帯。キャップもしていない。
    カウンターが回らない、押せないことがある→多めの処方
 A) 保管状況が問題。仕事中に携帯するなとは言いにくいが、
   携帯袋の活用でカウンターの問題は解決する
 P) 吸入口から砂が入るとカウンターが回らなくなる。
    必ずキャップをして携帯袋に入れておくように。

□解説
 外用薬をどのように保管しているのか? これは外用薬の薬歴管理における重要事項の1つだと思う。特に、メプチンエアーはその役割から携帯しておくことが大切で、問題はどのように携帯しているかということになる。

 ドーズカウンター付きの製剤について、2011年3月に薬局へ案内(「携帯袋への保管のお願い」)があった。砂等がカウンター部に付着すると、カウンターが回らなくなることがあるので、「吸入時以外は、吸入口にキャップを付け、必ず携帯袋に入れて保管」する必要がある。

 メプチンエアーの処方量アップは、発作回数が増えた為ではなく故障が原因。この情報を得てやっと保管状況への意識が向いた。この症例を経験後、すべてのメプチンエアー使用患者に対して、携帯袋のアナウンスを行っている。

 
□考察
 なぜ薬の保管について意識が向かわなかったのか? メーカの案内は関係ない。それは思い込みだ。「リリーバのみのコントロールだから、寒くなって使用回数が増えているのだろう」という勝手な想像だ。本人が久しぶりに受診され、原因がわかったときには反省した(疑ってごめんなさい)。

 奥様から発作状況を確認できなくても、「どのようにメプチンエアーを携帯しているのか?」といった質問くらいはできたはずだ。

 「質問をして確認する」この基本的作業のうえに得られた情報をもとに考えないと、その結果行われる服薬支援が役に立つことは多くはないだろう。

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2011年4月 1日 (金)

あなたの服薬支援はなぜ「通じない」のか

山田ズーニー あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

この本には「服薬支援の心構え」が満載だ。

【根本思想~「何を言うか」より「どんな気持ちで言うか」~】

 その人の根っこにある想い・発言の動機、これを「根本思想」と言う。言葉は、ちょうど氷山の見えるところのようなもので、水面下には、その何倍もの大きな、その人の生き方や価値観が横たわっている。根本思想は、言葉の製造元。だから、短い発言でもごまかしようなく、にじみ出て、相手にわかってしまう。 (P.17)

 服薬支援に限らず、メッセージの8割は非言語情報で伝わるという。じゃあ、非言語情報を伝えるテクニックを、ではない。それは「にじみ出て」相手に伝わるものなのだ。相手を、患者を想うこと、関心を向けること、それが大切なのだと思う。

 根本思想は言葉の製造元だ。だから、根本思想に着目すれば、相手の発言のあっちをつまみ、こっちにこだわり、とするよりも、ずっと適確に相手を理解できる。(P.225)

 相手を理解しようとする場合も着目すべきは「根本思想」、つまりは相手の感情、基本感情だ。それは不安なのか悲しみなのか、それとも怒り。感情を理解することなく、ただただ患者の質問に直接答えているだけでは何も解決しないし、患者を理解できない。

【人は真空を嫌う】

 外から見て「わからない」という状態は「白紙」ではない。人は空白という状態に耐えられないから、憶測で埋めようとする。(P.33)

 この文章から連想したことは2つ。いずれもこの本の文脈からは外れる。

 1つは「人は真空を嫌う」ということだ。患者が何かを訴えようとするとき、こちらの質問に答えようとするとき、薬剤師と患者のあいだに無言の、もどかしいというか、そう「真空」ができる。これに薬剤師は耐えられない。待てない。次から次へといわゆる「服薬指導」をたたみかける。でもこの状態は「白紙」ではない。

 患者は言葉を探している。患者の内部の奥深くから、言葉が湧き出ようとしている。患者の根本思想が言葉を製造している。その大事な時間を、私は大切に見守ろうと思う。

 もう1つは「憶測で埋めようとする」ことだ。たとえば薬歴に書かれている情報。それはちゃんと質問して確認したものなのか。「わからない」から「憶測で埋めよう」としていないか。憶測で埋めるくらいなら「わからない」ものは「わからないまま」の方がまだマシだ。

【言葉は、関係性の中で、相手の感情に届く】

 理性より感情の方が、ずっとコミュニケーションスピードが速い。相手は、あなたを「自分を傷つける人間だ」と警戒する。正論をかざすことで、あなたの相手に対する「メディア力」は下がってしまう。(中略) 言葉は、関係性の中で、相手の感情に届く。だから共感を入り口にしたコミュニケーションは、正論より、ずっと確実に伝わる。(P.141)

 私は正論や正義をふりかざす人間が嫌いだ。だってそれは反論のしようがない。正しいからこちらは何も言えない。でもそれって呪いの言葉じゃないだろうか。

 翻って患者への服薬支援を考える。患者がはじめた取り組みに対して、誉めたり、認めたりすることなく、正論をかざしていないだろうか。患者のためを想ってお話ししても(それができているかも自問の必要がある)、私と患者との関係では、患者が私を警戒する。そんなことになっていないだろうか。

 「言葉は、関係性の中で、相手の感情に届く」。

 言葉を届かせるためには、感情への着目は欠かせない。そしてそこから先が私の課題だ。

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