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2010年10月25日 (月)

齋藤孝先生講演「言葉のもつ力」

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 齋藤孝先生の書籍を何冊読んだだろう。
 とにかく前向きになれる。何か行動をおこしたくなる。過剰なまでの力が流れ込んでくる。私淑しているおひとりだ。

 その齋藤孝先生がなんと来熊。

 「くまもと教育の日」県民フォーラムにて講演。

 よくこんな九州の真ん中まで。もちろん聴講する。ただし1人ではもったいない。小4の長女をつれていく。

 着席するやいなや、「眠い」と長女。昼食後すぐでは眠くなるのもわかる。「こんなチャンスはめったにないんだよ」の言葉も届かない。そこは、さすが齋藤先生。長女を寝かせない。さすが、講演冒頭に「誰も寝かせない」と豪語しただけのことはある。

【コミュニケーションの意味】

 「コミュニケーションとは何か? やりとりするものは2つある。」

 では、コミュニケーションとは何か。それは、端的に言って、意味や感情をやりとりする行為である。(中略) やりとりするのは、主に意味と感情だ。情報伝達=コミュニケーション、というわけではない。情報を伝達するだけでなく、感情を伝え分かち合うこともまたコミュニケーションの重要な役割である。

 (齋藤孝「コミュニケーション力」岩波新書 p2)

 意味は分かるけど(感情的に)納得できないということは往々にしてある。コミュニケーション力のある人とは、感情に対してのアプローチができる人ということになる。

【コミュニケーションの基本】

 「目を見る、微笑む、頷く、相槌を打つ」

 感情にアプローチするためには、まず相手の心を開く必要がある。そのためにコミュニケーションの基本がある。目を見る、微笑む、頷く、相槌を打つことによって、まず相手に同調するわけだ。

 この4つの対人関係での身体的基本原則は、齋藤先生の提唱する概念「上機嫌力」をつける前段階として必要なものとして挙げられている。

 その時々の気分に揺れることなく、常に安定した上機嫌の心持ちを維持継続して物事に対応できれば、世の中から対人関係のトラブルはなくなります。
 つまり、円滑なコミュニケーションのための手段として、「上機嫌」な状態を自分の「技」にすることを提唱したいのです。

 (齋藤孝「上機嫌の作法」角川oneテーマ21 p12)

 齋藤孝コミュニケーション部(本日、熊本支部設立?)では、この基本を1人でもやる。気持ち悪くてもやる。やらないよりもマシだからである。

 そして、もう1つ大切な基本。それは「拍手」。拍手は相手を褒めたたえるだけにあるのではない。やり終わったあとの疲れをとるためにある。拍手を上手に使いこなせるようになりたいものだ。

【話すことと書くこと】

 「話しているときは感情が行き来しやすい。書いている言葉は冷静に言葉が理解できる」

 相手との間に1枚の紙があれば、文字の力を利用できる。

 文字にして書き出すと、自分が書いたものであるにもかかわらず、客観性のあるものとして、権威のあるものとして私たちに映ってくる。だからかつて文字には、呪術的な力があると言われていた。そういう文字の力、意識化・客観視させる力を利用するのが、ノートの効用なのだ。

(齋藤孝「教育力」岩波新書 p190)

 言わんとするところはこのノートの効用と同じだろう。

【文脈力】

 「話が広がりながらも、戻ってこれる力を文脈力といいます」

 齋藤先生の話はよく脱線する。脱線では必ず笑いがおきる。長女も脱線のほうをよく覚えている。しかし場を盛りあげた後に、かならず本道に戻ってくる。

 「文脈力とは意味と意味をつないでいく力であり、頭がいいとは文脈力があることなんです」

 ・・・、私たちは「繋がっていくこと」をとても大事にしています。なぜなら、繋がりこそが、物事をスムーズに進め、人間関係を円滑にしていくからです。文字化されたものに限らず、私たちが日常やりとりしているすべての意味には脈絡がある。その連なる意味をつかまえる力を、私は「文脈力」と呼んでいるのです。

(齋藤孝「「頭がいい」とは、文脈力である。」角川文庫 p47)

 繋がりを意識する。つまり、相手の言いたいをつかまえて、相手の文脈に乗ることがコミュニケーションの本質なのだろう。

 その他にも「違和感」の概念やマクベスの音読に体操。充実した1時間20分だった。

 「一流に触れる」ことは大切といわれる。長女が帰宅後、講演内容を思い出しながら、ノートしている姿をみて思う。百聞は一見にしかずと。

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