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2010年10月15日 (金)

口渇という概念 その2

口渇がすぐに重大なことになることはない
でもリスクをかかえることになる
口渇のリスクを考える

CASE 75

74歳女性 
他科受診:なし 併用薬:なし

処方内容:
Rp1)ガスターD錠20mg 1T・ミカルディス錠20mg 1T・ベシケア錠5mg 1T/1x朝食後 28日分
  2) ローコール錠20mg 1T / 1x夕食後 28日分
  3) セファドール錠25mg 3T / 3x毎食後 28日分
   4) マグミット錠330mg 2T / 2x朝・夕食後 28日分

2週間後、ご主人と一緒に来局時に質問を受ける

患者の質問: 「口の中や口唇の端に白いのがたまる。薬の副作用だろうか?」

患者から得られた情報:
① 口唇の乾燥あり
② のどの渇きあり。暑いからね。
③ めまいは最近ない
④ 頻尿は相変わらず

□CASE 75の薬歴
#1 セファドールを減量して口渇症状の改善を図る
  S)口の中や口唇の端に白いのがたまる。薬の副作用だろうか?
 O) 口唇の乾燥(+)、のどの渇き(+)
    めまい(-)、頻尿(+)
 A) セファドール・ベシケアの抗コリン作用による口渇だろう
   ベシケアは口渇が少ないタイプであることにくわえ、
   症状を考慮すると、セファドール減量がいいだろう
 P) めまいと頻尿の薬が関係しているかも。
   めまい(-)ならば、セファドールを減らして様子を見てください。
   Drにも伝えておきます(トレースレポート提出)。

 ◎口渇症状がきついときは、氷をくわえたり、ガムをかんだりすると
   和らぎます。水をガブガブ飲むのは逆効果です。

   
 
□解説
 のどの渇きは暑いから当たり前だけど、白いものにはびっくり! 薬のせいかも? となったわけだ。患者の質問にそのまま焦点をあてる(S)。

 高齢になると、一般的に、唾液の分泌は低下する。抗コリン作用を有する薬の併用があれば、唾液の分泌はさらに低下する。高齢者ほどそのリスクは当然高くなる。

 今回のケースではセファドールとベシケアが被疑薬だが、高齢者ではベンゾジアゼピン系や抗ヒスタミン系との併用も多い。単剤ではなんともなくても、抗コリン作用は積み重なっていくから注意が必要だ。

 患者の状態(O)を把握し、セファドールなら減量できそう(A)と考え、提案(P)する。

 口渇時の対応については、#1とはプロブレムが異なるので、別項目(◎)として、支援内容のみを記載している。
 
 口渇の対策としては、刺激性唾液を利用するとよい。安静時の唾液分泌は加齢により低下するが、活動時の唾液分泌には年齢差は少ないからだ。

□考察
 生理的現象と副作用概念を結び付けて理解するとわかりやすい。つまり、口の中が乾燥するとどうなるか? を考えればいい。

 口唇や口の中の粘膜が割れやすくなる。唾液がネバネバしたり、白っぽくなったり、泡状になったりするのも乾燥によるものだ。乾燥状態とはカラカラになった状態だけではない。
 
 また、のどが乾燥すれば、声が出しにくくなったり、薬剤がひっかかりやすくなる。

 さらには、味覚異常や入れ歯の不具合、食欲の低下につながる。誤嚥性肺炎のリスクにもなる。

 
 いちばんの対策は無駄な薬を減らすことだ。薬剤師はそのきっかけになれる存在だ。

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