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2010年8月20日 (金)

ルボックス ‐ テオドール

CYPを介する相互作用の考え方
阻害剤と基質の関係、そして阻害剤の用量
CYP1A2阻害剤‘ルボックス(デプロメール)’

CASE 69

80歳女性 
他科受診:精神科  
併用薬:アリセプト錠5mg 1T/1x朝食後、ルボックス錠25mg 2T/2x朝・就寝前  35日分

処方内容:
Rp1)テオドール錠200mg 2T / 2x朝・夕食後 7日分
 2) シングレア錠10mg 1T / 1x就寝前 7日分

患者のコメント:
「夜中に苦しくなる。喘息だろうといわれた」

疑義照会:
(内容)他科にてルボックスを服用中。テオドールを半量に減量することを提案
(回答)Rp1)→4)へ変更
    Rp4) テオドール錠100mg 2T / 2x朝・夕食後 7日分

□CASE 69の薬歴
#1 精神科の薬に変更があったときには申し出る
  S) 夜中に苦しくなる。喘息だろうといわれた。
 O) ルボックスを50mg服用のため、
   疑義照会にてテオドールを400mg/日→200mg/日へ減量
 A) ルボックスが増量となれば、さらにテオドールを減量する必要があるし,
   処方変更となれば効果不足も考えられる
 P) 喘息の薬は精神科の薬に影響を受けるので、
   精神科の薬が変更になったときは必ず教えてください。
  

□解説
 ルボックスは強力なCYP1A2阻害剤である(厳密には他の分子種も阻害する)。併用禁忌の他にCYP絡みの併用注意も多い。そしてテオドールはTDMを必要とする基質薬剤。いかにも危険な組み合わせだ。

 ルボックスの添付文書によると「テオフィリンのクリアランスを1/3に低下させることがあるので、テオフィリンの用量を1/3に減ずるなど、注意して投与すること。なお、併用により、めまい、傾眠、不整脈等があらわれたとの報告がある」とある。

 ところが単純に1/3にすればいいというわけでもないらしい。‘日経DIクイズ(7) ’によると

 フルボキサミンが50mgなら、テオフィリンの血中濃度は約2倍
 フルボキサミンが100mgなら、テオフィリンの血中濃度は約3倍

 となるらしい。なるほどCYP阻害剤の用量が変われば、基質薬剤の血中濃度の上昇率も変化するわけだ。

 これを踏まえ疑義照会を行う。副作用回避だけでなく、効果も期待できるだろう。さらに、疑義照会の結果をO情報とし、今後を考え(A)、相互作用への意識付けを患者に行うことにした(P)。

□考察
 CYPを介する相互作用は次のステップで考えている。

 まず、阻害剤と基剤の関係にあるか。
 次に、阻害剤の用量が臨床上影響のあるものなのかどうか。
 最後に、相互作用による副作用の具体的な回避策を考える。
 
 疑義照会をするか否かは、‘組み合わせとCYP阻害剤の用量’ これがポイントになりそうだ。

 ~参考~
 <CYP1A2阻害剤が関与する併用禁忌>

 
 シプロキサン(阻害剤)⇔ テルネリン(基質)⇔ ルボックス(阻害剤)⇔ ロゼレム(基質)

 *隣合わせのもののみが併用禁忌

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