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2010年8月27日 (金)

イトリゾール - リピトール

CYPを介する相互作用の考え方
阻害剤と基質の関係、そして阻害剤の用量
CYP3A4阻害剤‘イトリソール’

CASE 70

74歳女性 
他科受診:なし 併用薬:なし

処方内容:
Rp1)ドグマチール錠50mg 2T・シグマート錠5mg 2T / 2x朝・夕食後 28日分
 2) バイアスピリン錠100mg 1T / 1x朝食後 28日分
 3) リピトール錠5mg 1T / 1x夕食後 28日分
  4) ヘルベッサーRカプセル100mg 1C / 1x就寝前 28日分
 5) イトリゾールカプセル50mg 8C / 2x朝・夕食直後 7日分

患者のコメント:
「爪の水虫が厚くなって治らないから相談した」

疑義照会:
(内容)リピトールとイトリゾールの併用で横紋筋融解症のリスクが高まる。
    リポバス、リピトール以外のスタチンを提案
(回答)Rp3)→6)へ変更
    Rp6) メバロチン錠10mg 1T / 1x夕食後 28日分

□CASE 70の薬歴
#1 イトリゾールには併用注意が多いことを認識してもらう
  S) 爪の水虫が厚くなって治らないから相談した
 O) イトリゾールのパルス療法開始
   疑義照会にてリピトール→メバロチン
 A) イトリゾールは併用注意が多いとの認識が必要
 P) 爪の薬は1週服用で3週お休み。お休みの間も飲み合わせの注意が必要。
   疑義照会の内容を説明。他科にかかる場合は必ず飲んでいる薬を伝えること。
   
  
□解説
 イトリゾールとリピトールは併用注意だ。同系統のリポバスは併用禁忌であり、どちらもイトリゾールのCYP3A4阻害作用に起因している。ちなみにイトリゾール‐リポバスではAUCが10~20倍にもなり、実際に横紋筋融解症も起きている。

 リピトールのIF(併用注意とその理由)をのぞくと、

 【イトラコナゾール】(外国人データ)
対象:健康成人10例(男性5例、女性5例)〔21~35歳〕
方法:イトラコナゾール(200 mg)あるいはプラセボを1日1回、4日間経口投与し、4日目に本剤40 mgを経口投与後、さらに投与後24時間にイトラコナゾール(200 mg)あるいはプラセボを経口投与

結果:併用により本剤のAUC0 - 72 hおよび消失半減期(t1 / 2)がそれぞれ3 . 2倍増加および2 . 9倍遅延(p<0 . 001)したが、Cmaxに影響は認められなかった。一方、併用によりM- 2のCmaxおよびAUC0-72hが対照群のそれぞれ約1/6および2/5に減少した(p<0.01)。また、HMG-CoA還元酵素阻害活性体のAUC0 - 72 hは1 . 6倍上昇した(p<0 . 001)。イトラコナゾールによる本剤の初回通過効果阻害により、血漿中主代謝物であるM- 2濃度が減少し、未変化体濃度が上昇したと考えられた。

 
 
 とある。パルス療法では、一時的にだが、阻害剤であるイトリゾールの用量が400mg/dayになるわけだから、もっと多く見積もる必要がある。さらに代替薬も多数ある。当然、疑義照会を行う。

 イトリゾールは飲み合わせに気をつけないといけない薬がたくさんある。パルスなら休薬期間も気を付けないといけない。患者に認識してもらうために疑義照会の内容をネタとした。

□考察
 リピトールの併用注意の欄には、シクロスポリン・イトラコナゾール・クラリスロマイシンといった薬が並んでいる。
 
 ネオーラル併用に関しては、わたしは限りなく併用禁忌に近いと考えている(CASE 35参照)。

 本題のイトリゾール併用は、スタチンの代替薬がいくらでもある。特に、パルス療法では疑義照会でよいだろう。

 では、クラリス(クラリシッド)はどうだろうか。添付文書にはCmax:+55.9%、AUC:+81.8%とある。しかしIFをのぞくと、阻害剤であるクラリスの用量は1000mg/dayと通常の2.5倍だ。ランサップ800の場合だけ、気を付けておけば充分だろう。

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