トピナと腎結石
トピナをはじめて投薬した
この手の薬は慎重になる
O)情報は患者のフィルター情報だ
CASE 40
30歳男性
他科受診:なし 併用薬:なし 副作用歴:なし
アルコール(-) タバコ(-) 車の運転(+)
前回の処方
Rp1)デパケンR錠200mg 10T / 2x朝・夕食後
前回の薬歴
#1:デパケンR増量によるSEへの注意喚起
S)Css=48mg/dLなのに、またてんかん発作(動作停止あり)
O)身体が大きいから効き難いのかも
Css≧50で有効とするデータもあるので増量と説明あり
デパケンR 1600mg→2000mgへ増量
A)デパケン増量による傾眠・高NH3血症
P)眠気で困る、ボーっとなるようなら申し出るように
今回の処方
Rp2)デパケンR錠200mg 8T / 2x朝・夕食後
3)トピナ錠50mg 1T / 1x夕食後
患者のコメント:「もう身体がきつくて・・・」
患者から得られた情報:
①脱力感やふらつきあり、眠気や意識がボーっとなるようなことはない
②仕事はデスクワーク中心で汗をかくようなことはない
③腎結石の既往歴あり
④サプリメントの摂取はない
□CASE 40の薬歴
#2:トピナ初回服薬支援
S) もう身体がきつくて・・、脱力感・ふらつき(+)
O) デパケンRは1600mgに戻り、トピナが追加となる
仕事:デスクワーク中心で汗をかくことなし
腎結石の既往歴(+)
サプリメント摂取(-)
A) トピナ初回のため服薬支援
特に腎結石素因(+)なので注意要
P) トピナも脳神経の興奮を鎮めて発作を予防します。
デパケン同様に眠気には注意が必要
汗をかきにくくなったり、腎結石ができることがあるので、
水分を十分に取って予防するようにしてください。
□解説
2006年ガバペン、2007年トピナ、2008年ラミクタールと新しい抗てんかん薬が登場し、薬剤選択の幅は広がってきている。新しい抗てんかん薬は従来の抗てんかん薬に追加併用される。
CASE 40はデパケン1剤でのコントロールを試みたが適わず、トピナが追加併用となった症例だ。トピナの「重要な基本的注意」を下記に示す。
トピナ「重要な基本的注意」
1)腎・尿路結石があらわれることがあるので、結石を生じやすい患者に投与する場合には十分水分を摂取するよう指導すること。
2)代謝性アシドーシスがあらわれることがあるので、本剤投与中、特に長期投与時には、重炭酸イオン濃度測定等の検査を患者の状態に応じた適切な間隔で実施することが望ましい。
3)発汗減少があらわれることがあり、特に夏季に体温が上昇することがあるので、本剤投与中は体温の上昇に留意し、このような場合には高温環境下をできるだけ避けること。なお、あらかじめ水分を補給することにより症状が緩和される可能性がある。
4)体重減少を来すことがあるので、本剤投与中、特に長期投与時には、定期的に体重計測を実施するなど患者の状態を慎重に観察し、徴候が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
5) 連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、発作頻度が増加する可能性があるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者、虚弱者の場合は特に注意すること。
6)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
7) 本剤は血液透析により除去されるので、透析実施日は本剤の補充投与を考慮すること。
8)投与開始に先立ち、主な副作用について患者に説明し、異常が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指示すること。
2)4)5)は初回に確認する必要はない。7)は関係なし。そこで1)3)6)を念頭におき、患者に質問を行い、O)情報を得る。腎結石の既往歴を確認したので、そこを重点的に服薬支援を行っている。
また、トピナはCYP3A4の基質薬剤で、CYP3A4を誘導するセイヨウオトギリソウに注意する必要があるので、サプリメント摂取についても確認し、O)情報に加えている。
□考察
トピナの投薬・服薬支援をはじめて行った。禁忌は過敏症で副作用歴(-)なら飲んでみないとわからないね、用法・用量NP、慎重投与該当なし、重要な基本的注意は8っつもあるの!それから併用注意と代謝という感じで添付文書を眺める。
伝えることはいっぱいある。何を重点的に伝えるかは患者のリスクファクター次第となる。患者というフィルターを通して薬剤を観るわけだ。
患者がどんなフィルターをどのくらい持っているか。それを質問にて確認する。O)情報を得ていく。ここでは、薬剤の知識とその状況を考慮した質問力が必要となる。今後は状況が変化していくことを確認または想定しながら、モニタリングしていく必要がある。
フィルターはもともと「光の通過を制限する」のが役目であり、二枚のフィルターによって、光は完全にカットされていたにもかかわらず、あえて三枚目のフィルターを足すことによって、光は復活するのです。
いったい、なぜでしょう? モノ的な思考では、この現象は決して理解することができません。
これは、ようするに、光の「偏光状態」が、光というモノが単独でもっている客観的な性質ではなく、観測装置との関係によってしか決まらない、ということのなのです。
偏光状態は光というモノの属性ではありません。偏光状態は光とフィルターの関係性によって決まるコト的な属性なのです。偏光状態は光の属性でもなく、フィルターの属性でもありません。観測装置(=フィルター)と観測対象(=光)の関係性なのです。(*1)
服薬支援も同じだ。服薬支援も薬剤によって決まるものではない。薬剤と患者の関係性によって、はじめて意味のあるものになるのだから。
*1:世界が変わる現代物理学(ちくま新書) 竹内薫 著
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