タミフルと麻黄湯
新型インフルエンザ問題
タミフルと簡易検査の問題
麻黄湯はハズレじゃないぞ
CASE 41
32歳男性
他科受診:なし 併用薬:なし 副作用歴:なし
処方内容
Rp1)ツムラ麻黄湯エキス顆粒 7.5g / 3x毎食前 4日分
2)カロナール錠300mg 1T / 1x発熱時 5回分
患者のコメント:
「子供がインフルエンザだから、そうだと思ってたけど陰性だった。
陰性だからタミフルは出せないけど、インフルエンザに効果のある漢方をだしておくと」
患者から得られた情報:
①今日の昼くらいから急に発熱(16時来局)
②KT:38.2℃
③悪寒あり、発汗なし
④納得していない様子あり
□CASE 41の薬歴
#1 ツムラNo.27の服薬意欲を高める
S) 検査で陰性だからタミフルは出せないけど、インフルエンザに効果のある漢方をだしておくと
O) 子供がインフルエンザ→納得していない様子(+)
昼より発熱、16時来局
KT:38.2℃、悪寒(+)、発汗(-)
A) インフルエンザと思われる
証は適、しっかり服用するように仕向ける必要あり
P) タミフルと同等の効果が報告されている漢方薬です。
発汗させることにより免疫力をあげ、早くなおしてくれます。
今日はすぐに1包飲んでください。
□解説
インフルエンザパニックを引き起こしている日本。検査で陰性の結果に納得がいかない患者がいる。「なんでタミフルをもらえないんだ」そういう空気が伝わってくる。なかにはドクターに頼み込んで出してもらって満足している患者もいる。異常だ。
今回のケースは状況や症状を考えても間違いなくインフルエンザだろう。ドクターもそう思っているから麻黄湯を選択している。
ここで2点補足をいれておく。
①タミフルの処方に際して、検査は必須項目ではない。はっきりいって医療費のムダにすぎない。しかしインフルエンザ恐怖症に陥ってしまった日本において、会社や学校といった世間がそれを許さない状況にあることは悲しい。
②迅速検査キットにて陽性と判断できるにはある程度のウイルス量が必要といわれている。発熱から12時間以上経過すると90%~100%の確率で陽性と判断できるとのデータもある。日本では陽性患者の約3割が陰性に、CDCは約6割と報告している。つまり陽性なら信頼できるが陰性なら信頼できないということになる。検査は必要ないといわれるわけだ。
今回のケースに話を戻す。問題点は「患者に(インフルエンザ陰性もしくはタミフルをもらえないことに)納得をしていない様子がみられる」ことだ。せっかくきつい身体に鞭打って診てもらったのに、明日また違う病院に行くなんてことになったら・・・。
麻黄湯の証でもあるし、しっかり飲んでもらえるように服薬支援を行っている。
漢方製剤「麻黄湯」タミフル並み効果(2009年5月8日 読売新聞)
□考察
検査で陽性→タミフル or リレンザ
検査で陰性→麻黄湯
というパターンが当薬局では増えている。まるで予選落ちのような感じで麻黄湯をもらいにくる患者には声を大にして言いたい。「麻黄湯はハズレじゃない」と。
タミフルは問題が多い薬だ。メリットとデメリット、効果と副作用のバランスのとれた服薬支援をおこなっていきたいとCASE 39では書いたがこの薬だけは無理だ(リレンザにはそこまでの感情はない)。
今回の新型インフルエンザの流行に際して、ノイラミニダーゼ阻害薬の役割は、季節性インフルエンザで周知されている発熱期間の短縮ではなく、重症化や死亡を防止することにある。
厚生労働省のHPにある「新型インフルエンザ 診療ガイドライン(第1版)」には上記のように書かれている。確かにタミフルが最適な時間に投与されれば、重症化や死亡を防止することができるかもしれない。しかし実際には難しい。迅速検査キットになど頼っていればなおさらだ。診療ガイドラインの目論見通りにはならない。
なぜなら、タミフルでは脳症などの重症化を防止できないからだ。
タミフルは脳症になるのを予防しない。脳症になるのが恐いからタミフルを飲むというのは、まったくおかしい。脳症はサイトカインストームで起きていて、タミフルを服用する頃はサイトカインはすでにたくさん出ていてサイトカインストームを抑えるわけではありません。厚労省の研究班だった横田俊平氏(横浜市立大学医学部小児科教授)も脳症を防止しない、と言っています。(*1)
タミフルは発熱期間を1日短縮させる。しかし脳症は予防しない。周囲への感染拡大防止を示すデータもない(中外製薬学術より)。さらには異常行動やタミフル脳症の問題。
どうしても副作用中心の服薬支援しかできない。
「麻黄湯は当たりですよ」
*1:薬のチェックは命のチェック 36 [特集]インフルエンザはかぜ!
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コメント
はじめまして
A薬局でも同じような現象が起きていて、漢方ということでがっかりしている親御さんが多いですが、私も麻黄湯はタミフルと同じような効果があると力説しています。
ところで、新人さんで薬歴が書けない人に、いい加減頭にきて、明日資料を手に少し話をしようと思っていて、このブログを紹介しようか・・と思ったのですが、ついでに私のブログが、目に留まることを恐れて、やめることにしました。残念です~
これからも ためになる記事を期待しています
投稿: クリス | 2009年10月30日 (金) 19時53分
クリスさん はじめまして
コメント・応援ありがとうございます。
ブログはじめて1年続きました(週1程度ですけど)。
続くもんですね、と我ながら感じます。
ネタは尽きそうにないので薬局薬剤師の役に立つ内容で
がんばっていきたいと思います。
クリスさんのブログ、勉強になります。
A薬局の方にもみてもらってはいかがですか?
これからもよろしくお願いします。
レス遅くてすみません。
投稿: ひのくにノ薬剤師。 | 2009年11月 1日 (日) 19時24分