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2009年8月21日 (金)

ネオーラル-スタチン

分布に関与する相互作用
実際に起こらない蛋白結合を学ぶより
併用禁忌になっているケースをおさえておきたい

CASE 35
  63歳女性
 
  前回の処方:
    Rp1)クレストール錠2.5mg 1T / 1x夕食後 28日分

 今回の処方:
    Rp2)リピトール錠5mg 1T / 1x夕食後 28日分
  

 患者のコメント:皮膚科のDrから乾癬でネオーラルを使いたいから、
           コレステロールの薬をリピトールに変えてもらうようにと
  

 薬剤師とのやりとりで得られた情報: GFJの飲用習慣なし
 

□CASE 35の薬歴
 ♯1 ネオーラル - リピトール による横紋筋融解症
  S) 乾癬でネオーラルを使用予定
     皮膚科Drよりリピトールへの変更依頼あり
  O) クレストール(2.5)→リピトール(5)
         GFJ(-)
  A) ネオーラルによるスタチンの肝への取り込み阻害→[C]↑→横紋筋融解症
  P) 手足に力が入らない・脱力感・尿の色がコーラ色になる 
                               →中止・水分をたくさん摂って、すぐ受診

□解説
  免疫抑制剤のネオーラルとスタチンのクレストール・リバロは併用禁忌となっている。その他のスタチン、メバロチン・リポバス・ローコール・リピトールにおいては併用注意として扱われている。そのため皮膚科のDrはリピトールへの変更を指示してきたと思われる。
 従来、ネオーラルとスタチンの相互作用の原因は、機序不明やネオーラルのCYP3A4阻害作用によるとされていた。しかし、最も新しいスタチンであるクレストールには「シクロスポリンにより本剤の肝への取り込みが阻害されるためと考えられる」との記載があり、これがネオーラルとスタチンの相互作用の共通の機序との見方が有力である。
 リピトールにおいても血中濃度の増加は避けられないだろうと考え、服薬支援を行っている。
 

□考察
 今回の相互作用はADMEのD、分布に関与するものである。肝細胞の血液側膜には有機アニオントランスポーター(OATP-C、OATP2)が存在する。このOATP-Cが血液から肝細胞へのスタチンの取り込み(分布)を行っている。ネオーラルはOATP-C阻害剤というわけだ。

 
シクロスポリンとスタチン併用時のAUCの増加率を下記に示す(*1)。
   スタチン   AUC増加率
   メバロチン    5-12倍
   リポバス   3-8倍
   ローコール    3倍
   リピトール   6-9倍
   リバロ     5倍
   クレストール  7倍

 クレストール・リバロだけが併用禁忌というのは疑問に感じる数字だ。
 乾癬が軽症ならネオーラルの内服は3ヶ月程度というのが一般的だそうだ。その程度ならスタチンは休薬して併用のリスクを回避したほうが良かったのかもしれない。

*1:Bull. Natl. Inst. Health Sci., 123, 37-40 (2005)

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