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2009年8月14日 (金)

血圧不安症

言葉には力が必要だ
力のない言葉が届くはずは
ない
知識や人間性といったバックボーンこそが大事なのだ

CASE 34
  76歳女性
  他科受診:なし  併用薬:なし
 
 
  定期処方:
    Rp1)リポバス錠5mg 1T・アムロジン錠2.5mg 1T / 1x夕食後 
  Rp2)ミカルディス錠20mg 1T ・バイアスピリン錠100mg 1T / 1x朝食後
  Rp3)マイスリー錠5mg 1T / 1x寝る前 
  Rp4)ベネット錠17.5mg 1T / 1x起床時(土曜日)

 前回(6/29)の薬歴
 ♯1 血圧への不安と血圧測定回数
  S) BP160になることがある。
    手持ちのアダラートカプセル(5)で対応するように指示(+)
  O) BP手帳→4~5回/日測定
  A) 不安→BPの測りすぎ→BP↑
  P) 心配のしすぎが原因で血圧が上がることがある。
    血圧は常に変動するものなので、朝と寝る前の2回の測定
    にしておきましょう。
  R) 納得はしていない様子
 
 7/13来局時の患者のコメント:
 「朝と昼と寝る前、あと気になるときに(血圧を)測っている。
  血圧手帳も3回書く欄があるし・・・
  血圧はやっぱり高くなることがあるみたい・・・」

 
□CASE 34の薬歴
 ♯1
  S) 朝・昼・寝る前・気になる時に血圧測定(+)、BP↑
  O) BP手帳→3回/日記入欄があることも影響あり
  A) 血圧不安症への理解が必要
  P) 血圧不安症について別紙で紹介。
     血圧測定は朝・寝る前の2回が理想的→2回/日記入Typeの手帳を提供。
     血圧は変動するもの、Drが処方しやすいように測定するものと考えましょう。
  R) 私はまさしくこれだわ!

□解説
  血圧が気になって何度も測定する。そのことがストレスとなって血圧が上がってしまう。あるいは、たまたま血圧が高いことに驚き、不安が増し、血圧がさらに上がる。「血圧不安症」と呼ばれているそうだ。この概念は容易に理解できるが言葉の存在は知らなかった。
 6/29の対応は「血圧不安症」という概念を知らない時点での対応だ。構造的アプローチ(CASE 32参照)で考えると、不安の原因は‘期待そのものが間違っている’ことにある。血圧は変動するものだ。心配のしすぎが原因ですよ。アプローチは間違えてなかった。しかし届かなかった。そこで患者を説得できるツールを探す。7/13の対応では、そのツール「血圧不安症」がヒットした形となった(8月には笑顔で来局された)。
 

□考察
 6/29の患者が納得していないのは手に取るようにわかった。構造的アプローチでプランニングはできたが、私の言葉には力が無かった。「血圧不安症」という知識がないのだから当然といえば当然だ。人を説得する鍵は情報にあるのだから(CASE 28参照)。

 
 勝負はボールがないところで決まる(*1)

 サッカーでは有名な台詞だ。患者対応も同じだろう。

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   著者:湯浅健二

 

 

 
 

 

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