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2009年7月10日 (金)

クラビットへの戸惑い

7月7日に高用量のクラビットが発売がされた
腎不全の患者でも初回500mg
尿細管へのダメージが心配だ

CASE 31

  70歳男性

  他科受診:泌尿器科
 
 
  併用薬:ラシックス錠40mg 1T・ザイロリック錠100mg 1T・アーガメイトゼリー 25g/1x朝食後

 他科受診:整形外科  
  併用薬:シグマート錠5mg 2T/2x、バイアスピリン錠100mg 1T・アマリール錠1mg 1T・ガスターD錠10mg 1T/1x、モーラステープ

 
  処方(初来局):
    Rp1)クラビット錠100mg 3T・ムコソルバン錠 3T・アストミン錠 3T / 3x毎食後
  Rp2)テオドール錠 2T / 2x朝・夕食後
  Rp1)2) x 5日分

 
 患者のコメント:代理(娘)ゼコゼコいってて、きつそう。
  

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
 ① お薬手帳より、他科受診・併用薬
 ② 腎機能(S-Cr:2.6、BUN:48)

 疑義照会:
 (内容)S-Cr:2.6のため、クラビット 1T/day が適量
 (回答)症状がひどいので、2T/2xでいこう
  
  クラビット錠100mg 2T / 2x朝・夕食後 へ変更となる

□CASE 31の薬歴
 ♯1 クラビットによる低血糖
  S) ゼコゼコいってて、きつそう
  O) クラビット 200mg/day、S-Cr:2.6でやや過量
     DM(+)アマリール服用中
  A) クラビットによる低血糖の恐れ
  P) いつもの薬と併用NP
     ただし、低血糖には十分に注意を

□解説
  年齢とアーガメイトゼリー服用の2点から、クラビットは過量と判断できる。さらに、S-Crの情報からも間違いない。疑義照会の内容はいつものように欄外に必要事項を記載する。
 腎不全のためクラビットはやや過量である、アマリールにてDM治療中であるといったリスクファクター(O)から、キノロンによる低血糖を心配して(A)、服薬支援(P)を行っている。

 
 クラビット錠100mgの腎不全時の用量(*1)
 40≦Ccr<70 1回100mg 12時間間隔
 20≦Ccr<40 1回100mg 24時間間隔
  Ccr<20       1回100mg 48時間間隔

 

 
 クラビット錠100mgの添付文書
  重大な副作用
  13. 低血糖
   頻度不明注1)
   **[糖尿病患者 (特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者であらわれやすい]

□考察
 7月7日、クラビット錠500mg・250mgが発売された。キノロンは用量依存性の抗菌剤であり、PK/PD理論的にも1日1回高用量が優れているのは理解できる。しかし、用量に違和感を感じる。MRによる拡宣も‘効果’と‘耐性菌’の話ばかりで、用量についての納得のいく説明はない。

 <用法・用量に関連する使用上の注意>
5.腎機能低下患者では高い血中濃度が持続するので、下記の用法・用量を目安として、必要に応じて投与量を減じ、投与間隔をあけて投与することが望ましい。
 20≦Ccr<50 初日500mgを1回、2回目以降250mgを1日1回投与する。
  Ccr<20       初日500mgを1回、3回目以降250mgを2日1回投与する。

 1回100mgを24時間・48時間間隔で投与していた患者に、いきなり欧米なみの500mg。やはり今までの感覚とは合わない。CASE 31ではDM治療中だったので、クラビットによる低血糖に焦点を当てているが、腎臓への影響も心配だ。クラビットは腎不全患者の尿細管に相当なダメージを与える。このS-Crなら100mg1Tで十分、そんな感覚だった。

 キノロンで最も安全だったクラビット。高用量化後は疑義照会もできない。
「むくみ」、「尿量の減少」、「倦怠感」、「食欲不振」、「吐き気・嘔吐」といった症状に注意していくしかないだろう。

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*1:腎機能別薬剤使用マニュアル改訂2版

 

 

 
 

 

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