服薬支援と慣性の力
‘慣性’
人間の心理・行動にも働く物性
この力をうまく利用したい
CASE 33
72歳女性
他科受診:なし 併用薬:なし
定期処方:
Rp1)ニューロタン錠50mg 1T・バイアスピリン錠100mg 1T / 1x朝食後
Rp2)ムコスタ錠100mg 3T / 3x毎食後
Rp3)プロテカジン錠10mg 1T / 1x夕食後
Rp4)スチックゼノールA 40mg 1本
追加処方:
Rp5)ロキソニンテープ50mg 28枚
患者のコメント:首から肩がこってつらくて。塗り薬はつけているけど。
薬歴より得られた情報:モーラステープにてかぶれ(副作用歴)
薬剤師とのやりとりで得られた情報:
① かぶれやすい体質のため、スチックゼノールを使用しているが効かない
② 飲み薬は増やしたくない
□CASE 33の薬歴
♯1 ロキソニンテープによるかぶれの回避
S) 首~肩こりでつらい。塗り薬は効かない。
O) ロキソニンテープ追加(内服はふやしたくない)
かぶれやすい体質(モーラステープでかぶれ歴あり)
汗ばむ季節
A) かぶれ回避の方法が必要
P) 1日1回Typeだが、皮膚を休める時間をつくること
スチックゼノールもうまく利用してみては? と提案
R) 3日続けてシップを貼るとかぶれるので、
(ロキソニンテープとスチックゼノール)を2日交互にしてみます
□解説
患者の主訴(S)により、ロキソニンテープが処方となる。テープ剤でかぶれるリスクファクター(O)より、回避が必要と考え(A)、服薬支援を行う(P)。
当初、支援内容(P)としては、「貼りっぱなしにせず、かぶれそうならスチックゼノールに切り替えるように」といったものを考えていた。ロキソニンテープの説明と提案をしたあとに「あなたはどうしますか」の質問に切り替えてみたところ、より具体的なリアクション(R)を得ることができた。
□考察
かぶれやすい体質のかたにテープ剤を投薬する。このよく遭遇するパターンで‘慣性の力’が引き出せるかを意識して患者対応を行ってみた(服薬ケア理論の最前線の感想を参照)。
こちらがアドバイスしたいことを、相手に自分から言わせるような質問を投げる。つまり、服薬支援の流れを急停止させてみる。ABCDEFの流れをABCDEで急停止させ、F'を引き出すことを期待するわけだ。
今回のF'はベストなものではないかもしれないが、‘慣性’という物性は服薬支援でも生じていることが確認できた。この力をコンプライアンスや副作用回避にうまくつなげていくことが今後の課題だ。
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