« 2008年10月 | トップページ | 2009年3月 »

2009年1月30日 (金)

麻痺性イレウス

初薬投薬時のいわゆる“ひも付きの指導”
初薬時は仕方がない!伝えないといけないことがあるのだから・・・
なにを伝えるかはあなた次第です。

CASE 13

  52歳女性
  既往歴:高血圧、高脂血症
  他科受診:泌尿器  併用薬:バップフォー

 定期薬:
 Rp1)ニューロタン錠50mg 1T・ベザトールSR錠200mg 1T/1x朝食後

 今回の処方:
 Rp2)ベイスン錠0.2mg 3T/3x毎食直前

 患者のコメント:前から血糖も注意されてたけど、薬飲んでおいた方がいいだろうって

  
 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
 
①子宮筋腫にて開腹オペ歴(+)
 ②DMの薬は初めて

 

□CASE 13の薬歴
 ♯1 ベイスンによる麻痺性イレウス
  S)高血糖以前より指摘(+)、Drより「薬飲んでおいたほうがいいだろう」
  O)ベイスン初、子宮筋腫にて開腹オペ歴(+)、抗コリン剤のBup-4併用中
  A)麻痺性イレウスのリスク(+)
  P)お腹のはり・便秘・腹痛・吐き気といった症状が続くときは服用を中止し受診を

  
□解説
 ベイスンが初薬の場合のいわゆる“ひも付きの指導”(*1)としては「飲みはじめにお腹がはったり、おならが増えたりしますが、だんだん慣れてなくなってきますので、しっかり続けましょう」といった軽微な副作用によるノンコンプライアンスを防止するようなものが考えられる。

 今回のケースでは、麻痺性イレウスの可能性が高いと判断し、重篤化する前に中止できるような服薬支援を意識している。

 
麻痺性イレウス:「お腹がはる」「著しい便秘」「腹痛」「吐き気」が持続する
【原因薬剤】1)抗コリン剤:セレネース・トリプタノール・ブスコパン・バップフォー・リスモダンRなど
         2)オピオイド-R、μ受容体に作用する薬:モルヒネ・リンコデ・ロペミンなど
         3)抗がん剤、免疫抑制剤
         4)腸内容の停滞からイレウス様症状を引き起こす薬:α-GI・カリメートなど
【好発時期】徐々に出現するため、発症の時期を明確にすることは難しい。
         投与開始後すぐもあれば、一定期間投与後もある。
【リスク因子】 1)腸管運動が低下しやすい原疾患(糖尿病、パーキンソン病、強皮症など)
         2)手術後、腹部オペ歴
         3)麻痺性イレウスを起こしうる薬を2種類以上併用で相加的に起こしうる
重篤副作用疾患別対応マニュアル(*2)より

□考察
 初めての薬の場合、“ひも付きの指導”は必要な服薬支援であることは間違いない。ベイスンの場合なら用法・飲み忘れ時の対応・腹部症状・低血糖時のブドウ糖とたくさんの“ひも付きの指導”がある。

 SU剤服用中の患者であれば低血糖時の対応を。麻痺性イレウスのリスクがあれば初期症状と対応を。その他の患者にはコンプライアンスを重視。こういう選択ができるのは薬剤師だけだ。

 知識は必要だ。問題意識を高める意味で重要なことに間違いない。そこに患者情報を加える。どう料理するかは薬剤師の腕の見せ所である。

(*1)薬剤師としての判断がなされていない覚えて話すだけの指導
   服薬ケア研究所所長 岡村祐聡先生考案の言葉

(*2) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.html

 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月16日 (金)

「SOAPがうまく書けない理由」服薬ケア研究会(H21.1.11)

参加セミナー
服薬ケア研究会 第44回例会《鹿児島》
“頭の中をPOSに!”特別編
患者対応技術を身につけるために ~服薬指導をもう一段高める技術~

日時:平成21年1月11日(日)10:00~16:00
場所:鹿児島市勤労者交流センター
講師:服薬ケア研究所所長 岡村祐聡先生

参加の目的
 私が一番最初にPOSの考え方を学んだのは、服薬ケア研究所のHPだった。その後、岡村先生の講演会に参加し、独自にグループ内で継続的に月1回の勉強会を続け、今のスタイルに至る。今回の目的はチューターの技術の観察とワークの手法・効果を学ぶために参加した。

内容1(午前:岡村先生による講義)
 講義があるとは思っていなかったが、聴講できてラッキーだった。「はずした服薬指導」と「POS」について有意義な内容であった。その中より、「SOAPがうまく書けない」に陥りやすいポイントを3つ紹介する。

 ①問題点(プロブレム)1つにつきSOAPは1つ。
 ②調べた薬の情報をO)に入れるのは間違いである(患者の情報である)。
 ③P)は計画ではない。指導した内容である

②については薬剤師向けの雑誌でさえ勘違いしている点だそうだ。O)は患者の情報であり、薬の情報ではない。

 調べた薬の情報を使って服薬支援に至ったのであれば、その情報はA)の方が望ましいということはうすうす気がついていた。実際、CASE11のA)は薬の情報のみである。しかし、はっきりとは認識できていなかった。溜飲が下がるとはこのことか。

内容2(午後:模擬症例を用いたワーク)
 ワークのキーワードとして「質問力」が登場する。この言葉、明治大学教授の齋藤孝先生の作った言葉との説明があった。私も齋藤先生の書籍『質問力』(*2)は読んだことがある。私のプロフィールで「質問力のレベルアップを目指す」となっているのもこの書籍の影響が大きい。
 今回はオブザーバー席での参加で、ワーク席の方を後ろから見下ろすといった感じであった。離れたところから自分を見る「離見の見」の感覚が養えそうである。ワーク席の方の思考が止まっている。それに気が付いていないのが手に取るようにわかる。ワーク席で参加した際に今回の視線がもてるようになれば、私の服薬支援もレベルアップするだろう。

感想
 服薬ケア研究会の活動は、他に類を見ない内容だ。一度、体験・聴講することをお勧めする(私は研究会会員ではない)。
 また、会場にて岡村先生の新刊書籍(*1)を購入した。今回の内容以上のものが丁寧にぎっしり書かれている。特にクラスタリングの章は必読だ。

 鹿児島まで出向いた価値はあったが、ぜひ熊本でも企画していただきたい。セミナー終了後、黒豚しゃぶしゃぶに舌鼓を打っていると耳下に違和感。予防接種は子供のころに打っているし、まさかとは思いつつ帰路へ。33歳にしておたふく。当然、出勤できず。ゆっくり復習にとりかかることにする。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

人気ブログランキングへ

*1:『今度こそモノにする薬剤師のPOS』  岡村祐聡[著]

おすすめポイント:
クラスタリングの章は必読です

*2:『質問力』  齋藤孝[著]

質問力 ちくま文庫(さ-28-1) (ちくま文庫)

おすすめポイント:
「具体的」かつ「本質的」な質問を意識する。質問を出した人により場は支配される。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年1月 9日 (金)

光線過敏症

薬のせいと思わずに、皮膚科を受診するケースも多いのでは?
夏は日焼け止めクリームばっちりだけど・・・
代表的な薬剤群くらいをおさえておきたい

CASE 11

  61歳女性
  既往歴:高血圧、不眠症
  他科受診:皮膚科  併用薬:デルモベート軟膏、エルピナミン(アレジオンGE)

 前回までの処方( 約1年間Do処方 ):
   Rp1)ブロプレス錠8mg 1T/1xM  28TD
    Rp2)レンドルミンD錠0.25mg 1T/1xvds  28TD

 Drより事前に相談:皮膚科のDrよりブロプレスによる光線過敏症と連絡があった。
              他のARBで何がよいか?
          Ans.) 光線過敏症の報告のないオルメテック・ミカルディスを提案。

 今回の処方:
    Rp3)オルメテック錠20mg 1T/1xM  28TD
    Rp2) Do  28TD

 患者のコメント:副作用だってね。ほら、しわのところは赤くなってないのよ。

 
 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
    ① 顔・首といった陽のあたる所が赤くなっている。しわを伸ばすと赤くない。
  ② 今朝、ブロプレスを服用している(昼来局)。
  ③ 皮膚科のDrの指示で日傘などで紫外線への対応をしている。

□CASE 11の薬歴
  DrよりTEL(+) Q)皮膚科のDrよりブロプレスによる光線過敏症と連絡あり。
            他のARBでは何がよいか?
           Ans.)光線過敏症の報告のないオルメテック・ミカルディスを提案。

   ♯1 残存薬物による光線過敏症
  S)顔・首に発赤(しわのところは赤くなっていない)
  O)ブロプレスによる光線過敏症
   ブロプレス→オルメテック
   ブロプレスは今朝まで服用
   皮膚科Drの指示で紫外線対策中
  A)ブロプレスのt1/2=11.2hr
      11.2hr x 5 = 56hr
  P)前の薬の影響が2日半くらいあるので
   引きつづき紫外線に当たらないように

  
□解説
 ARBの6剤で光線過敏症の報告がある薬剤はニューロタン・ブロプレス・ディオバンの3剤。ミカルディス・オルメテック・イルベタン(アバプロ)の3剤では報告がなく、長期投与のできるミカルディス・オルメテックを提案する。まず、このDrとの電話のやりとりのみを記載する。

 次に、患者への服薬支援。薬が患者の体から消失するには半減期の4~5倍の時間を要する。光線過敏症はアレルギー性の副作用であり、用量は問題とならないと考え半減期の5倍を用いることとした。

□考察
 この症例で一番印象に残っている点は「しわ」だ。光線過敏症は原因薬剤の他に「紫外線があたる」という条件が必要である。「しわ」をのばして赤くなっていないのを目の当たりにすると、なるほどといった感じであった。光線過敏症を疑うような症例で「しわ失礼します!」と是非やってみたいものだ。

 今回は皮膚科Drからの指摘だったが、薬剤師職能を発揮したかったというのが本音。NSAIDs、キノロン、SU剤、利尿剤、Ca-B、ACE-I、ARBといった身近な薬効群で起こりうるということを頭にいれておきたい。モーラステープ、クラビット、ラシックス、ペルジピンLA、ブロプレスでの遭遇歴があり、ご多分に漏れずといったところか。ただし、夏とは限らない。UVカットの威力だろうか。

 
 

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年10月 | トップページ | 2009年3月 »