麻痺性イレウス
初薬投薬時のいわゆる“ひも付きの指導”
初薬時は仕方がない!伝えないといけないことがあるのだから・・・
なにを伝えるかはあなた次第です。
CASE 13
52歳女性
既往歴:高血圧、高脂血症
他科受診:泌尿器 併用薬:バップフォー
定期薬:
Rp1)ニューロタン錠50mg 1T・ベザトールSR錠200mg 1T/1x朝食後
今回の処方:
Rp2)ベイスン錠0.2mg 3T/3x毎食直前
患者のコメント:前から血糖も注意されてたけど、薬飲んでおいた方がいいだろうって
薬剤師とのやりとりで得られた情報:①子宮筋腫にて開腹オペ歴(+)
②DMの薬は初めて
□CASE 13の薬歴
♯1 ベイスンによる麻痺性イレウス
S)高血糖以前より指摘(+)、Drより「薬飲んでおいたほうがいいだろう」
O)ベイスン初、子宮筋腫にて開腹オペ歴(+)、抗コリン剤のBup-4併用中
A)麻痺性イレウスのリスク(+)
P)お腹のはり・便秘・腹痛・吐き気といった症状が続くときは服用を中止し受診を
□解説
ベイスンが初薬の場合のいわゆる“ひも付きの指導”(*1)としては
「飲みはじめにお腹がはったり、おならが増えたりしますが、だんだん慣れてなくなってきますので、しっかり続けましょう」
といった軽微な副作用によるノンコンプライアンスを防止するようなものが考えられる。今回のケースでは、麻痺性イレウスの可能性が高いと判断し、重篤化する前に中止できるような服薬支援を意識している。
麻痺性イレウス:「お腹がはる」「著しい便秘」「腹痛」「吐き気」が持続する
【原因薬剤】1)抗コリン剤:セレネース・トリプタノール・ブスコパン・バップフォー・リスモダンRなど
2)オピオイド-R、μ受容体に作用する薬:モルヒネ・リンコデ・ロペミンなど
3)抗がん剤、免疫抑制剤
4)腸内容の停滞からイレウス様症状を引き起こす薬:α-GI・カリメートなど
【好発時期】徐々に出現するため、発症の時期を明確にすることは難しい。
投与開始後すぐもあれば、一定期間投与後もある。
【リスク因子】 1)腸管運動が低下しやすい原疾患(糖尿病、パーキンソン病、強皮症など)
2)手術後、腹部オペ歴
3)麻痺性イレウスを起こしうる薬を2種類以上併用で相加的に起こしうる
重篤副作用疾患別対応マニュアル(*2)より
□考察
初めての薬の場合、“ひも付きの指導”は必要な服薬支援であることは間違いない。ベイスンの場合なら用法・飲み忘れ時の対応・腹部症状・低血糖時のブドウ糖とたくさんの“ひも付きの指導”がある。SU剤服用中の患者であれば低血糖時の対応を。麻痺性イレウスのリスクがあれば初期症状と対応を。その他の患者にはコンプライアンスを重視。こういう選択ができるのは薬剤師だけだ。
知識は必要だ。問題意識を高める意味で重要なことに間違いない。そこに患者情報を加える。どう料理するかは薬剤師の腕の見せ所である。
(*1)薬剤師としての判断がなされていない覚えて話すだけの指導
服薬ケア研究所所長 岡村祐聡先生考案の言葉
(*2) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.html
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