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2008年12月26日 (金)

薬の保管とコンプライアンス

何かと話題のスピリーバ
心血管系の安全性、カプセルの誤服用etc.etc.
薬の保管とコンプライアンスについて考える

CASE 10

  68歳男性
  既往歴:心房細動(af)、肺気腫(COPD)
  他科受診:なし  併用薬:なし

 今回(11/22)の処方
    Rp1)ハーフジゴキシンKY錠0.125mg 1T・バファリン錠81mg 1T / 1xM  28TD
    Rp2)テオロング錠100mg 2T・エリスロマイシン錠200mg 2T / 2x  28TD
  (*前回はスピリーバ吸入用カプセル 28Capの処方あり)

 前回(10/15)の薬歴:
  ♯1 スピリーバの保管
   S)まだ冷蔵庫で保管?
       O)スピリーバは25℃以下にて保存
   A)日中室内25℃以上になるかも
   P)冷蔵庫での保管がいいでしょう

  
 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
   ①スピリーバまだ残っている
   ②冷蔵庫になおしていると吸入を忘れてしまうことがある
  

 
□CASE 10の薬歴
 ♯2 スピリーバの保管とコンプライアンス
  S)冷蔵庫になおしていると吸入を忘れることがある
  O)スピリーバ残(+)→処方なし
  A)室温25℃以上にならずに毎日行く場所→洗面台はどうか?
  P)洗面台に保管し、歯磨き時に吸入してみては?と提案
  R)そこは寒い!そこなら大丈夫だね

  *R:患者のリアクション

  
□解説
 スピリーバの冷蔵庫保管がノンコンプライアンスの要因の1つであったという1例。

 25℃以下の保存でよいので、洗面台を提案し解決に至る。他の吸入薬も洗面台に設置することをよく薦めている。洗顔や歯磨きとセットで習慣にしてしまえばコンプライアンスは向上する。また、スピリーバでは必要ないがステロイド吸入のあとに歯磨きをすれば一石二鳥だ。

 
スピリーバ【取扱い上の注意】
1. 患者には専用の吸入用器具(ハンディヘラー)及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
2. 1ブリスター(7カプセル)は2列で構成されており、列の間にミシン目が入っている。ミシン目以外の場所で切り離さないこと。
3. カプセルを取り出す際は、ブリスターをミシン目にそって切り離し、吸入の直前に1カプセルだけブリスターから取り出すように指導すること。誤ってアルミシートを次のカプセルまではがしたときは、そのカプセルは廃棄するように指導すること(吸湿により吸入量の低下が起こる可能性がある)。また、カプセルを使い始めたブリスターは、残りのカプセルを続けて使い切るように指導すること(「適用上の注意」の項参照)。
4. 本剤のカプセル内容物は少量であり、カプセル全体に充填されていない。
5. 本剤は温度25度を超えるところに保存しないこと。冷凍しないこと。

□考察
 前回(10/15)の患者の質問「まだ冷蔵庫で保管?」の裏には、吸入のノンコンプライアンスの問題が見え隠れする。その時の状況を見ていないので何とも言えないが、患者の質問にパッパッと答えて薬を渡したのではないだろうか?
 

 質問の真意・背景を考える。日ごろから心掛けるようにしたい。さらに、間を大事にする。間をあえてつくる。薬剤師も患者も何もしゃべらない時間をつくる。間のない服薬支援は得てして一方的なものに陥りやすい。間抜けな薬剤師にはなりたくないものだ。

10月末から始めたブログ。毎週金曜日に更新で2ヵ月。祝10回。

来年も月3~4件はアップいていきたいと思います。応援よろしく。
 

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2008年12月19日 (金)

アーチストとCOPD

疑義照会はどこに記録すべきか?
もちろん、調剤録と薬歴。
薬歴ではどこに書くべきかを考える。

CASE 9
  72歳男性 
  既往歴:心房細動(af)、糖尿病、肺気腫(COPD)、前立腺肥大症(BPH)、白内障
  他科受診:なし 併用薬:なし

 
    Rp1)アマリール錠3mg 2T/2x
    Rp2)グルコバイ錠50mg 3T、ビオフェルミン錠 3T/3x毎食前
  Rp3)アーチスト錠10mg 1T、アクトス錠15mg 1T、ワーファリン錠1mg 2.5錠、ハルナールD錠0.2mg 1T/1x
  Rp1)~3)14TD
  Rp4)スピリーバ吸入用カプセル 14C

  患者のコメント:「少し歩くときつい。今度、C病院の呼吸器科に行ってみるつもり」

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:今日は患者が多かったので薬のみ

 疑義照会:アーチスト錠10mg→メインテート錠2.5mgへ変更となる

□CASE 9の薬歴
 ♯1 COPDとβ-ブロッカー
  S)少し歩くときつい。今度、C病院の呼吸器科に行ってみるつもり
  O)アーチスト服用中、β1選択性なし→COPD悪化の恐れあり
  A)β1選択性のメインテートなどが適
  P)疑義照会によりメインテートへ変更となる旨を伝える
   呼吸状態と脈拍の変化に注意するように指導
   脈拍が80以上→申し出る

  
□解説
 afのレートコントロールのためにアーチストを服用。アーチストはα遮断作用もあり有用な薬だが、β1選択性はない。
アーチストの添付文書によると

 禁忌
 1. 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者
  [気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。]


となっているがCOPDも注意が必要だ。

 そこでアーチストが症状悪化の原因と考え、β1選択性のあるメインテートを提案する。
βの効果は個人差があるので換算が難しい。afのレートコントロールは60~80回/minが目標である。

以上を踏まえ、服薬支援に至る。

 このCASEではメインテート変更後に劇的に改善。「肥後カントリークラブの坂道も楽々。ありがとう」とのうれしいコメントを頂いた。

□考察
 疑義照会はどこに書くべきか。O)の場合もあれば、P)の場合もある。SOAP形式の中には入れずに欄外として扱うこともしばしば。どこに書けば患者のためのP)ができるかを考えればよいのではないだろうか。

 
 もちろん、疑義照会は薬剤師のアピールすべき仕事である。しかし、服薬支援に直接関係ないのであれば、欄外に必要事項を記入しておけば十分と考える。今回のCASEでは、患者に処方変更となった経緯を説明する必要があり、それに伴う服薬支援が必要と判断したためSOAPの中に組み込んだに過ぎない。

 
 また、プロブレム(#)の広さも影響する。「#1:COPDとアーチスト」「#2:β-ブロッカー変更による心拍への影響」と分けて記載することもできた。どうやって適切な広さのプロブレムをとればよいかと訊かれると、答えに窮する。現実的には「費用対効果」でおちつくところを選んでいるように感じる。

 ただし、なんでもプロブレムを広くとっていると、アセスメントが書けない状態に陥ることもすくなくない。一朝一夕にはこのセンスは磨けないだろう。常住坐臥、意識して取り組みたい。

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2008年12月 5日 (金)

ノンコンプライアンスと用法

「用法・用量を守って、正しく服用ください」
1日に何回薬を飲んでいるかを考えたことがあるだろうか?
ノンコンプライアンスは薬識不足?患者のせい?

CASE 7

  63歳男性 
  既往歴:高血圧、糖尿病、糖尿病性神経障害、不眠症
  他科受診:なし 併用薬:なし

 
    Rp1)カルデナリン錠1mg 1T、デパス錠0.5mg 1T/1x就寝前
    Rp2)ディオバン錠80mg 1T/1x朝食後
  Rp3)メチクール錠500μg 3T/3x毎食後
  Rp4)グルファスト錠10mg 3T、ベイスンOD錠0.2mg 3T、エパタット錠50mg 3T/3x毎食前
  Rp1)~4)14TD
  Rp5)ランタス注ソロスター 32IU/朝 2キット

 
  前回の薬歴から得られた情報:
  血圧コントロール不良 BP:153/78
  ディオバン錠のみが7日分で他剤は14日分処方→飲み忘れ(+)
  飲み忘れに気が付いた時はすぐに服用するように指導

  患者のコメント:
  「心配事があるせいだと思うが、血圧が高めで150くらいある」

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
  「これ(ディオバン錠)のみが朝食後でしょ。だから忘れる」と依然コンプライアンス不良
     Rp4)は忘れずに服用できている

□CASE 7の薬歴
 ♯1 ディオバン錠の飲み忘れと用法
  S)ディオバンのみが朝食後でしょ。だから忘れる。
  O)患者は心配事のせいでBP↑(BP150)とコメントするが、
   ディオバンのコンプライアンス不良の為にBP↑と思われる
   Rp4)のコンプライアンスは良好
  A)ディオバンもRp4)と一緒の服用なら忘れないだろう
   ディオバンは食後の必要性なし
  P)ディオバンの飲み忘れがBPコントロール不良になっている可能性を示唆
   ディオバンも朝食前にRp4)と一緒に服用するように提案
  R)それなら忘れないと思う
   食後、食後と思っていたよ

□解説
 薬の服用回数(用法)は「服用時点」と「服用時間」で決定される。

 このCASEでは1日7回も服用回数がある。薬識の差のためか、あるいは習慣のためか食後のディオバンを飲み忘れるようになっている。薬識を補正してコンプライアンスを良くするにはかなりの時間を要するだろう。前回来局時の指導も活きていない。故に、ディオバンの用法変更を提案するに至る(本当は疑義照会が必要)。

ディオバンの添付文書では、

 用法及び用量
 通常、成人にはバルサルタンとして40~80mgを1日1回経口投与する。
 なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、1日160mgまで増量できる。


となっており、食後の必要性はない。

□考察
 このCASEでは、質問によりノンコンプライアンスの原因となる一言が引き出せた。
問題解決の糸口になるだけでなく、性格的なものも垣間見える。

 コンプライアンスの問題に取り組む際、患者へのアプローチが重要になる。それは取りも直さず、時間がかかることを意味する。さらに、薬歴への記載も時間がかかる。やり取りやニュアンスを記録として残す事が難しいためだ。CASE 5の「感情の矛盾」も同様である。

 
 思考パターンや薬歴記載パターンといったある程度の自分の型が必要かもしれない。
 

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