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2008年12月19日 (金)

アーチストとCOPD

疑義照会はどこに記録すべきか?
もちろん、調剤録と薬歴。
薬歴ではどこに書くべきかを考える。

CASE 9
  72歳男性 
  既往歴:心房細動(af)、糖尿病、肺気腫(COPD)、前立腺肥大症(BPH)、白内障
  他科受診:なし 併用薬:なし

 
    Rp1)アマリール錠3mg 2T/2x
    Rp2)グルコバイ錠50mg 3T、ビオフェルミン錠 3T/3x毎食前
  Rp3)アーチスト錠10mg 1T、アクトス錠15mg 1T、ワーファリン錠1mg 2.5錠、ハルナールD錠0.2mg 1T/1x
  Rp1)~3)14TD
  Rp4)スピリーバ吸入用カプセル 14C

  患者のコメント:「少し歩くときつい。今度、C病院の呼吸器科に行ってみるつもり」

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:今日は患者が多かったので薬のみ

 疑義照会:アーチスト錠10mg→メインテート錠2.5mgへ変更となる

□CASE 9の薬歴
 ♯1 COPDとβ-ブロッカー
  S)少し歩くときつい。今度、C病院の呼吸器科に行ってみるつもり
  O)アーチスト服用中、β1選択性なし→COPD悪化の恐れあり
  A)β1選択性のメインテートなどが適
  P)疑義照会によりメインテートへ変更となる旨を伝える
   呼吸状態と脈拍の変化に注意するように指導
   脈拍が80以上→申し出る

  
□解説
 afのレートコントロールのためにアーチストを服用。アーチストはα遮断作用もあり有用な薬だが、β1選択性はない。
アーチストの添付文書によると

 禁忌
 1. 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者
  [気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。]


となっているがCOPDも注意が必要だ。

 そこでアーチストが症状悪化の原因と考え、β1選択性のあるメインテートを提案する。
βの効果は個人差があるので換算が難しい。afのレートコントロールは60~80回/minが目標である。

以上を踏まえ、服薬支援に至る。

 このCASEではメインテート変更後に劇的に改善。「肥後カントリークラブの坂道も楽々。ありがとう」とのうれしいコメントを頂いた。

□考察
 疑義照会はどこに書くべきか。O)の場合もあれば、P)の場合もある。SOAP形式の中には入れずに欄外として扱うこともしばしば。どこに書けば患者のためのP)ができるかを考えればよいのではないだろうか。

 
 もちろん、疑義照会は薬剤師のアピールすべき仕事である。しかし、服薬支援に直接関係ないのであれば、欄外に必要事項を記入しておけば十分と考える。今回のCASEでは、患者に処方変更となった経緯を説明する必要があり、それに伴う服薬支援が必要と判断したためSOAPの中に組み込んだに過ぎない。

 
 また、プロブレム(#)の広さも影響する。「#1:COPDとアーチスト」「#2:β-ブロッカー変更による心拍への影響」と分けて記載することもできた。どうやって適切な広さのプロブレムをとればよいかと訊かれると、答えに窮する。現実的には「費用対効果」でおちつくところを選んでいるように感じる。

 ただし、なんでもプロブレムを広くとっていると、アセスメントが書けない状態に陥ることもすくなくない。一朝一夕にはこのセンスは磨けないだろう。常住坐臥、意識して取り組みたい。

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